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事業多角化をしている企業の採用ブランディング(魅力設計)のノウハウまとめ

「当社は事業が多数あるのですが、どのように採用ブランディング(魅力設計)をすれば良いのでしょうか?」

こんなご質問を頂戴しました。
たしかに、当社が取り組む採用ブランディング(魅力設計)は、特定の「事業」を軸に設計することも多いです。そのため事業が多角化した場合は、採用ブランディングのストーリーが崩れます。

では、どのように設計をすれば良いのか?
その答えをこのブログに書きたいと思います。



0. 採用ブランディングとは?

下記をご覧ください。

山根が言う「採用コンサルティング」の定義はこれです。主に採用領域において企業を魅力的に表現するための情報を引き出して整理することです。
ポイントはココだと思っています。

 「魅力的に」

 「引き出して」

 「整理する」

どんな企業でも必ず魅力的なポイントはあります。「自分の会社の魅力的なポイントは何ですか?」と言われると意外と出てきません。引き出す必要があります。そして、引き出したとしてもその内容が煩雑だった場合は、相手に伝えることができません。故に整理することが重要なのです。


1. これまでの採用ブランディングの弱点

本ブログの冒頭に記載しましたが、当社の採用ブランディングは、特定「事業」を軸に設計することが多いです。
軸と記載をすると分かりにくいかもしれませんが、イメージを下記いたします。

・事業内容(軽め) ★
・代表のキャリア(原体験)
・解決したい課題
・思想(ミッション/ビジョン)
・事業内容(詳しく) ★
・事業戦略
・Halfway Point、Final Point
・その他

※上記の採用ブランディングのストーリー設計について詳しく知りたい方は下記ブログをご覧ください。

このようなストーリーにすることが多いです。
上記における「★」は、特定事業を指しており、本ブログで主題にしている「事業多角化」をしている企業にとっては、設計が難しいかと思います。
では、どのように設計をすれば良いのか?次項で説明をいたします。


2. 事業多角化をしている採用ブランディング手法

結論から申し上げますと、事業が多角化されている企業さまは、

  • 「会社(全事業)」での魅力設計をする

  • 「各事業」における魅力設計をする

この2つのステップが重要になります。
この2つのステップにおいてどのような注意点があるのかを説明したいと思います。

 2-1. 「会社(全事業)」での魅力設計をする

繰り返しになりますが、本ブログでテーマにしているのは「事業多角化」をしている企業です。
仮に事業が10あるのであれば、すべての事業内容におけるブランディング(魅力設計)をするのは大変です。大変であることに加えて事業内容の魅力を設計するにあたり、内容が長々としたものになってしまいます。

では、どのように解決をすれば良いのか?
その答えは魅力の項目を絞ることです。
こちらをご覧ください。

※図の仕様上「profession」を割愛しております。
こちらは当社が定義している魅力「項目」をまとめた図です。あらゆる企業さまの採用ブランディングに携わるにあたり、こちらの魅力項目のフレームワークを適用して魅力の発掘/言語化/整理をして参りました。

では、事業多角化をしている企業において、上記の魅力項目の中で何を適用すれば良いのか?

こちらご覧いただいた通り、事業多角化をしている場合は、こちらの項目を重点的に魅力設計をするべきだと考えています。

 2-2. 「各事業」における魅力設計をする

では、各事業にスポットを当てた場合、魅力設計はどのように実施すれば良いのでしょうか。

こちらご覧いただきました通り、事業を軸にして魅力設計をすることができる内容について記載しています。

前項にて、「会社(全事業)」における採用ブランディングの魅力項目の話をしましたが、そこで得られた魅力項目においては、「各事業」においても「同様」と捉え、わざわざ設計し直す必要はありません。そのため、2-1(前項)+2-2(本項)という流れで設計をしていただければ、整理できた魅力設計が完成するのではないかと思います。
ちなみに、全魅力項目の中で、「全事業(会社)共通」「非共通」「どちらでもある」に分けることができると感じました。

例えば、「philosophy」「privilege」「brand」は事業を横断して「共通」であることが多いです。
一方で、「product」「market」「person」は事業によって変動をする「非共通」であるかと思います。
また、「culture」「strategy」は事業によって変動可能性があるかもしれないし、無いかもしれない。という内容で整理をしています。


3. 各事業部を「1つの会社」と捉えるのもアリ

もしかしたらこんな意見をお持ちの方がいらっしゃるかもしれません。

「会社(全事業)の採用ブランディングで設計された内容と比較して、自分の事業部は少し異なったカルチャーがあり、採用活動においても異なる色を打ち出していきたいんだ」

このように、各事業部を「1つの会社」として捉えて採用ブランディングを実施するのはアリかと思います。
僕自身も、つい先日10,000名を超える大企業様の「1事業部」の採用ブランディングに入らせていただきました。その際、「philosophy」よりも「product」「profession」などに寄った採用ブランディングを実施しました。ですが、「privilege」「culture」「person」なども魅力として設計することができ、もはや「1つの会社」として魅力設計をしていたことに気付きました。

ただ、一つ感じたことは、
「採用ブランディングをストーリーとして設計しにくい」
ことでした。

どういうことかというと、やはり「事業部」は様々な背景があって立ち上げられます。利益目的、ミッション/ビジョン達成目的、メンバーからのアイディア起案など。最も綺麗なストーリーとしてはミッション/ビジョンを達成するためにその新規事業が立案され、そしてその新規事業が新たな事業の軸となり、会社が成長をしていく、という流れかと思います。ただ、そんな綺麗なストーリーで新規事業を設計されることはあまりありません。
多くの場合は、「この事業いけそうだからやろうか!」「利益が出そうだからやろうか!」というパターンが多いかと思います。そのため、もし仮に「その事業を立ち上げることが、会社のミッション/ビジョンを達成するための必須ルート」であれば、それは間違いなく魅力としてPRをすることがおすすめです。


4. 各職種(部署)を「1つの会社」と捉えるのもアリ

SmartHRのインサイドセールス部門の方からこんなメッセージをいただきました。

「ポテンシャライトさんが提唱しているEntrance BookをSmartHRのインサイドセールス部門でも作成しようかと思っています」

おーなるほど!と思いました。
たしかに、当社が採用支援をさせていただいているベンチャー企業さまも、

  • エンジニア採用向けのEntrance Book

  • デザイナー採用向けのEntrance Book

  • ビジネスサイド向けのEntrance Book

など「職種」によって分けて作成をすることがありました(Entrance Bookの概要を知りたい方はこちら👇からご覧ください。)

ただ、このEntrance Bookは、採用コンテンツ(例:採用広報)を「整理」するために作成をするBookです。つまり、会社(全職種)の採用ブランディングによって設計された魅力において「その職種」に内包される採用コンテンツを抜粋して、職種別のEntrance Bookに掲載していく流れです。
ただ、SmartHRのインサイドセールス部門の方々は、(僕の推測ですが)「世の中にあるSaaS企業のインサイドセールス部門と比較すると、何が魅力なのか?」を熟考したうえで作成されているのではないかと思います。

話を戻すと、本ブログをご覧いただいている皆さまはいずれかの会社に所属しておられる方がほとんどかと思います。また、その会社の中で「ある職種(部署)」に所属されているかと思います。その職種(部署)単位において採用ブランディングをしてみる、という手法もすごくアリかと思いますので、是非試していただければと思います。


5. 各事業部において「同じ職種」を募集している場合の方法

メガベンチャー企業さまは、プロダクト/サービスが10を超える、なんてこともあるかと思います。
その場合「バックエンドエンジニア」の求人が10存在しており、候補者さまやエージェントさまにとっては、求人の数が多すぎてよく分からないというご意見をいただくことも多くあります。
また、募集をしている企業様側もあらゆる苦悩をお持ちかと思います。
例えば、

  • 使える採用媒体数が少ない中で、エンジニアの集客が難しい

  • 媒体上に同じような求人が10存在している

  • エージェントからは紹介しやすい求人のみ応募がくる

あるあるですよね。
ちなみに僕も前職はエージェントに勤めていましたが、あるメガベンチャー企業様が同じようなポジションを10以上オープンしていることもありました。
では、この場合はどのように対処すれば良いのか?方法は2つあります。

 5-1. バックエンドエンジニアを「1つ」にするパターン

つまり、10存在するポジションを「1つ」にまとめる手法です。
そのため、1つにまとめた求人内容の中に「10」のポジションの概要説明がすべて書かれているのです。これは採用媒体側やエージェント側からすると助かります。なぜならば1社の求人数が多ければ多いほど管理をする工数がかかり、求人も探しにくくなります。また、10ポジションがあれば10のポジションにエントリーをすることができ、その「企業」に興味を持って応募をしている場合は、どのポジションで通過するかなという期待も持てます(もちろん、10のポジションの中でも希望度の甲乙はありますが)。

ただ、採用企業側のデメリットもあります。それは、10のポジションがあるが故に、その求人に応募がきた場合は10のポジションの担当に声をかけなければならない。もしかしたら7のポジションから手が挙がるかもしれない(=書類選考通過)。この場合は7回も面接をするわけにはいかないし、7人同席するわけにもいかない。という悩みのループに入ることがほとんどです。

 5-2. バックエンドエンジニアを「10つ」作成するパターン

これは前述した通りですが、10つの求人を作成します。これはシンプルな手法であり、採用企業側が社内で揉めることはありません。ただ、10のうち人気がある求人のみに応募が集まります。

例えば、「(新規事業)宇宙産業をカタチにするバックエンドエンジニア」と「社内システムエンジニア」という求人が存在していた場合は、明らかに前者に応募が集まります。10のポジションを募集しているにも関わらず、後者の年間応募数はゼロかもしれません(もちろん候補者さまの希望次第ですが)。というデメリットが存在します。
山根は「人材企業側」としては5-1を推奨したく思っていますが、何の課題を解決したいかによって手法は変えるのがよいでしょう。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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