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[エンジニア採用の新ノウハウ] プログラミング言語別の採用成功率を算出してみました

「プログラミング言語別に、採用成功率の傾向があるのではないか?」

当社のあるメンバーがこんなことを呟いており、興味があっていつか調べたいと思っていました。

そんな中、素晴らしいデータを出していただいたのがFindyさんでした。

※下記URLからデータはダウンロードできるので、ご興味をお持ちの方はご認識まで。

Findyさんの登録者に対して「現在使用している言語」と「今後使用したい言語」をアンケート収集しており、その結果が非常に興味深かったです。

本ブログでは、Findyさんのデータを用いて個人的に感じたことを記載したいと思います。


 0-1. Findyとは?

ハイスキルなエンジニアと企業をマッチングする転職サービス。
独自に開発した AIでエンジニアのスキルと企業の求人票を解析し、最適なマッチングを実現。現在、8万人のエンジニアと700社の企業が利用しています(Findyさんのページより引用)。

詳細は以下ブログをご覧ください。

 0-2. 本ブログをご覧いただくにあたっての注意点

本ブログはあくまでもFindyの登録者のデータになります。つまり、日本に存在している全エンジニアのデータではないことをご理解ください。後述しますが、エージェントに登録しているエンジニアの言語比率は全く異なるものになっていますので、ご認識ください!


1. 現在使用している言語について

こちらをご覧いただくと一目瞭然ですが、Findyの登録者の「現在使用している言語」における比率が記載されています。繰り返しになりますが、あくまでFindyの登録者という前提はあるものの、個人的な所感としては、FindyはWebエンジニアの採用媒体において日本トップクラスであり、信頼性があるデータと言えると思います。

山根個人が感じたことを記載します。

 1-1. エージェントの登録者は全く異なる比率となる

興味があって、データ収集をしてみたのですが、エージェント(人材紹介会社)における、プログラミング言語別の登録者の比率をヒアリングしてみました。すると、

  • Java+PHPの比率が6〜7割

  • SIer出身者の比率が6〜7割

でした。
つまり、エージェントの登録者とFindyの登録者の属性は大きく異なることをご理解いただけるかと思います。そのため、本項における補足としては、エージェントを中心に採用活動をしておられる方にはピンとこないデータかもしれません。ただ、御社の採用ターゲットに寄りけりですが、Findyにおけると、という観点でご理解ください。これは全くもって僕の主観(勝手な解釈)ですが、Forkwellや転職ドラフトなどもFindyの比率との差異はそこまで無いのではないかと思っています。

※繰り返しになりますが、これは僕の主観です。データを取得しているわけではありません。

 1-2. TypeScript、JavaScriptがTop

TypeScriptはバックエンドとフロントエンドの両者において活用することができるプログラミング言語であるため、最近は「フルスタック」を超えて、「フルサイクル」という言葉も出てきておりますが、バックエンドとフロントエンドの両者を担当することができるエンジニアが増えていること、そして採用企業側のバックエンドとフロントエンドの両者を担当してほしいという意向が増えていると肌で感じています。そのため、そういった場合はTypeScriptが最適なのではないかと思っています。
また、本アンケートが「複数回答可」である故にフロントエンドにJavaScriptを用いることが多いため、回答比率が高いと推測しています。

 1-3. PHP / Python > Ruby / Perl

予想通りなデータではありましたが、Python > Rubyであることは少々驚きました。僕らのお客様もRubyを用いている比率は高いと感じておりましたが、PHPやPythonのほうが使用比率が高い。つまり、現在Rubyを用いている企業様がPythonエンジニアを対象「外」にするのは危険行為であることがわかります。なぜならば、意外にも人口が少ないからです。
そしてPerlの比率は1.3%です。確かに昨今で使用している企業様を耳にする事はほとんどなくなりましたが、実態を理解できました。

 1-4. Goの使用比率は意外にも高い?

「意外」という表現が適切か分かりませんが、僕の感覚としては「意外」にも高い比率でした。なぜならばGoエンジニアの採用難易度が非常に高く、ほぼ不可能に近いと感じておりました。ただ、比率がバックエンド言語の中でも3番目に高く、この数値であればGoエンジニアの採用を成功させることができる可能性もあるのではないかなと。

 1-5. スマホエンジニアは希少価値は高い

バックエンド/フロントエンドエンジニアよりも、スマホエンジニアの方が採用難易度が高いと日々感じておりました。この比率を見ると、Kotlin/Swiftの比率はそれぞれ6%程度です。
バックエンドエンジニアの採用については、何かしらのWeb系言語の開発経験(PHP/Python/Ruby/Perl/Go/Javaなど)があればokとしていることが多いですが、スマホエンジニアはそんな事はありません。つまり、iOS開発はSwiftが必須、Android開発においてはKotlinが必須となると、開発エンジニアの6%の人口ということになります。そのため、採用難易度は非常に高いと言えるでしょう。

 1-6. Rust/Scalaの比率はやはり低い

これも予想しておりましたが、Rust/Scalaの使用比率は低いです。そもそも使用している企業様がそこまで多くないことが起因してるかと思うのですが、引き続きRust/Scalaエンジニアを採用する事は、非常に難易度が高いと言えるでしょう。


2. 今後の希望する言語について

次に、今後の希望する言語についての言及をしたいと思います。本項も予想通りと予想外が入り混じった結果となりました。

 2-1. GoがTopでした

Goを希望しているエンジニアは全体の42.0%。これは予想よりも高い数値でした。つまり、Findyに登録しているエンジニアの約半数弱がGoを希望しているということになります。
ただ、昨今においてGoを用いている採用企業様は10%程度の肌感覚があります。そのため、各社においてGoエンジニアの採用活動が非常に苦戦をしており、必須要件を広げて「静的言語」における開発経験がある方を求める傾向があります。
ここで一つ課題提起としては「静的言語」の人口もそこまで多くないということです。主には、

  • Scala 2.0%

  • Java 12.5%

  • C♯ 8.2%

ただ並べてみるとそこそこ人口は存在すると感じましたが、Web系言語の開発経験(PHP/Python/Ruby/Perl/Go/Javaなど)と比較すると人口は少ないと感じています。本ブログはGoエンジニアの採用について細かく触れませんが、概要のみ記載しました。

 2-2. TypeScriptはもはやまだ上がり続けるのでは?

ここまで数値が高いのは意外でした。トレンドが訪れていることについては何となく肌感覚がありましたが、まさか38.7%まで数値が到達しているとは。3人に1人のWeb界隈のエンジニアがTypeScriptを希望している、ということになります。
TypeScript希望が多い≒バックエンド+フロントエンドの両者を経験したい、という意向なのではないかと思っています。昨今コンパウンドスタートアップがトレンドとなってきており、「各機能」別にプロダクト企画/UX UIデザイン/フロントエンド/バックエンドのすべてを担当するエンジニアが登場しているなどの兼ね合いから、バックエンド+フロントエンドの両者を経験したい、というニーズは必然なんだと思います。

 2-3. Rustはかなり高い比率

Rustを用いている企業は5%程度である一方で、Rustの希望比率は33.1%です。現人口の6倍程度が該当します。Rustを用いている企業は、Rust「以外」の言語の開発エンジニアを対象としている場合は採用成功確度が高いと言えるかもしれません(本データから推測するに)。当社のお客様もRustを使用している比率は低めですが、今後上がっていくことが予想されますよね。

 2-4. Flutterも上昇傾向

スマホエンジニアにとってトレンドになってきているFlutter。もはやSwift/Kotlinよりも人口が増えてきています。

  • Flutter 6.9%

  • Swift 4.9%

  • Kotlin 6.6%

こちらは「使用比率」ですが、Flutterが今後も使用比率が上がることを鑑みると、さらにトレンドになることが予想されます。

 2-5. Rubyは堅調

後述しますがPHPと比較した際にRubyは堅調です。10.2%のエンジニアが今後も使用したいという「希望」があります。一方でPHPは3.3%です。僕は2008年からIT系の採用/転職活動に携わっておりますが、PHPとRubyは非常に人気なプログラミング言語でした。PHPとRubyエンジニアは希少価値が高く、複数企業から内定をいただく方のオンパレードでした。
そんな中、2023年現在においてプログラミング言語の人気度合は変化してきていると言えます。とは言いつつ、Rubyは堅調であると言えるでしょう。

 2-6. PHPは曲がり角かもしれない

PHPを今後も使用したいと回答しているエンジニアは 3.3%でした。少々驚きました。前述した通り2008年頃からWeb企業が突如として使用し始めたPHP。15年が経過した今、曲がり角かもしれません。
とは言いつつ、使用企業比率は17.4%、つまりPHPを用いている企業様はPHPエンジニアの採用をするのはかなり難易度が高いと言えます。他言語の経験者をターゲットにしなければ採用は難しいと言えるでしょう。

 2-7.結論

本項と前項で「使用言語の比率」と「希望言語の比率」を取りまとめましたが、1つの表を羅列したいと思います。

「使用言語の比率」と「希望言語の比率」

上記は前述した「使用言語の比率」と「希望言語の比率」、そして「希望比率 − 使用比率」でまとめた表です。特に「希望比率 − 使用比率」については、

  • 0以上を青字

  • 0以下を赤字

にしています。ポジティブを青、ネガティヴを赤で表現しているとご理解ください。この表についての所感も含めて後述しておりますので、本項においては詳細な説明は避けます。

3. 言語別のオススメな採用ターゲット

御社が「どの言語」を用いているかによって、採用ターゲットを変える必要があります。そちらについて説明したいと思います。

 3-1. TypeScriptを用いている企業

TypeScriptの使用比率は40.0%であるため、TypeScriptを必須要件に入れても採用確度はある程度高いと言えます。ただ、昨今でトレンドになったTypeScript、JavaScriptの経験者を採用ターゲットにしていた企業が多かったかと存じますが、JavaScriptの使用比率は34.4%である故に、JavaScriptエンジニアを採用ターゲットに追加することでさらに採用確度が上がるでしょう。ただ本データでは複数回答可であるため、本項で記載している内容の信憑性は確実ではないことはご理解ください。

 3-2. JavaScriptを(メインに)用いている企業

少々対策をする必要があります
JavaScriptの使用比率が34.4%である一方で、今後の希望は16.4%です。つまり、希望がそこまで高くない故に採用ターゲットは多い一方で、採用が難しい傾向が発生しています。とは言いつつ、JavaScriptエンジニアの採用において、JavaScript以外の採用ターゲットは考えにくいため、バックエンドエンジニアとして採用をして、フロントエンドに慣れていただきながらJavaScriptの経験を積んでいただくと良いかもしれませんね。

 3-3. Pythonを用いている企業

これはバックエンドPythonだとご理解ください。
バックエンドPythonについては少々曲がり角な傾向があります。使用比率が17.4%である一方で、今後の希望は11.5%です。JavaScriptと同様ですが、希望がそこまで高くない故に採用ターゲットは多い一方で、採用が難しい傾向が発生しています。ただ、Pythonを用いている企業でPythonを必須要件に設定している企業は少ない?所感があります。Web系言語の開発経験(PHP/Python/Ruby/Perl/Go/Javaなど)を採用ターゲットにするのであれば、採用確度は上がると思います。

 3-4. Rubyを用いている企業

RubyはPythonとほぼ同じ傾向です。
Rubyは少々曲がり角な傾向があります。使用比率が13.1%である一方で、今後の希望は10.2%です。JavaScriptと同様ですが、希望がそこまで高くない故に採用ターゲットは多い一方で、採用が難しい傾向が発生しています。ただ、Rubyを用いている企業でRubyを必須要件に設定している企業はある程度存在しています。ただ、Web系言語の開発経験(PHP/Python/Ruby/Perl/Go/Javaなど)を採用ターゲットにするのであれば、採用確度は上がると思いますので、ご認識まで。

 3-5. PHPを用いている企業

PHPを用いている企業は注意が必要です。
使用比率が17.4%で、今後の希望は3.3%です。前述もしましたが、PHPの使用企業がPHPエンジニアを採用する難易度は非常に高いと言えます。
そのためPHP使用企業はJavaなどその他のエンジニアを採用ターゲットにしなければ採用が難しいと言えます。また自社プロダクト開発企業ではなく、受託系企業出身者にターゲットを広げなければならないと言い切れるかもしれません。

 3-6. Scalaを用いている企業

使用比率が低い言語である故、採用企業側もScalaエンジニアを採用するのは難しいという印象があるかと思います。
そのため、Scala使用企業は別の開発言語のエンジニアにターゲットを広げるのは必然となるでしょう。また、Scalaの希望比率は2.3%です。つまり、希望度が低い故に「Scalaを用いてことにおけるメリット」を明文化しなければ採用活動は前に進みません。御社の訴求をする前にScalaの訴求をしなければ採用活動を前に進めることは難しいでしょう。


4. 最後に改めて補足を

本データはFindyに登録しているエンジニアのデータになります。そのため、御社がターゲットとしているエンジニアの属性がFindyにマッチしていなければ、少々異なる解釈になります。例えば、SIerやハードウェアメーカー、ソフトウェアベンダーなどの業務系/組み込み/制御系エンジニア、そしてウォーターフォール型の開発プロジェクトにおけるプロジェクトマネージャーなどが採用活動における中心となる職種である場合は、ご注意いただければ幸いです。

何度も記載しておりますが、皆さまが採用活動を進めるにあたり、「正確な」ジャッジをいただけるよう、本ブログを執筆しております。予めご了承いただければ幸いです。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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