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施策ドリブンのシステム思考における副次的効果について

「ポテンシャライトのノウハウ(ゼロイチ)は課題が起点になって誕生するため、施策ドリブンでの副次的効果で期待できそう」

という気づきを先日 得たので、ブログに記載しておきたいと思います。

当社ポテンシャライトは、1ヵ月に12ほどの新しいノウハウ(ゼロイチ)を誕生させています。設立から6年ほど経過いたしましたが、その数は400を超えています。ゼロイチをきちんと意識し、意図的に創出し始めた頃は、ゼロイチの創出手法は意識していなかったのですが、最近は「課題」を起点にして創出しなさい、という話を社内にしています。
そんな中、社内であらゆる調査をしていた際に、冒頭に記載をした気づきを得ました。個人的には大きな気づきでしたので、詳しく説明していきたいと思います。


0. ポテンシャライトのゼロイチについて

ゼロイチとは:
HR系の新しいノウハウを創出すること

世間で「ゼロイチ」という言葉が使われることがあるかと思いますが、ポテンシャライトでの用語の意味だとご理解ください。当社はHR支援を行っている企業になりますので、採用活動のみならず、人事組織への活動などを含めHR全般のノウハウを創出しています。

どのようにゼロイチのノウハウを創出しているのか。
ポテンシャライトでは「お客様からいただいた課題」を起点にしてノウハウを生み出すようにしています。当社は、常時 数十社のHR支援をさせていただいていますが、各社と1週間に1回のペースでミーティングをする場合が多いです。そのミーティングの中で、様々なHRにおける質問をいただくことがあります。正直に言いますと、支援範囲外のご質問も多いのですが、当社が回答できる精一杯の内容をお伝えするようにしています。
ただ、そんな中でも回答が「できない」もしくは「しにくい」類のご質問をいただくこともあります。その類のご質問を頂戴した場合は、出来る限り早期に課題解決をするようにしています。
では、どのように課題を解決してノウハウ化するのかを簡単に説明いたします。


1. 課題解決の進め方について

とは言いつつ、そこまでエキセントリックな事はしていません。お客様から頂戴した課題、もしくは当社のメンバーが気づいた課題をどのように解決していくのかを考えます。

課題解決の手法は一般的だと思います。課題を解決するためのポイント(問題の原因)を洗い出し、解決ができるだろう優先順位を設定し、その原因に対して解決策を考えます。ただ、その解決策が、既存のHRノウハウである場合は当社は「ゼロイチ」とみなしません。ただ、これまでに400ほどのゼロイチを創出して参りましたので、本事象は割と多く発生します。
そのため、お客様から頂戴した課題が真新しかったとしても、結果的にその解決策が「既存のノウハウ」で解決するケースも存在しているのです。
話を戻すと、お客様から課題を頂戴し、その課題のポイント(原因)の仮説を立て、優先順位の設定をして、解決策を立てる。一般的な手法ではありますが、ここに当社なりのオリジナリティーを加え、これまでのノウハウとの差分を明瞭にするといった手法でゼロイチを立ち上げています。
そんな中、当社の社内である問題が発生していました。


2. 入社年次におけるノウハウ格差

これは当社のみならず、世の中に存在しているすべての会社が該当するかと思うのですが、これまで創出した400のノウハウを、直近入社したメンバーが全てインプットするまでにはもちろん時間がかかります。その400のノウハウを最も理解しているのは代表である僕でしょうし、執行役員である寳田だと思います。

そして、2年前に入社したメンバーと1年前に入社したメンバーでもノウハウの格差が生じており、1年前に入社したメンバーと3ヶ月前に入社したメンバーでもノウハウ格差は存在します。これは当たり前のことだと思います。
そんな中、新しく入社したメンバーは「ゼロイチのノウハウ」をインプットしていくわけですが、インプット手法について、ばらつきが生じていたのが半年ほど前のことでした。ばらつきというのは、「施策(ノウハウ)」起点でインプットするのか、「課題」起点でインプットするのかの違いです。前述した通り、ポテシャライトのノウハウは「課題」が起点になっています。そのため、課題が存在していて施策(ノウハウ)が創出されるわけですが、新しいメンバーは、施策に寄ったインプットをしていました。
ただ、この気持ちはすごく理解できます。学生時代に勉強していた際に、「答え」を早く知りたい気持ちが強く、問題の「解き方」いや「そもそも問題の本質」を深く理解しようとはしないかと思います。人間はとにかく答え(ノウハウ)をショートカットしてインプットしたいと考えるのが当たり前のことだからです。

話を戻すと、ノウハウ格差は必然的に発生しており、新しいメンバーはその格差を埋めるために、施策(ノウハウ)を急ピッチで覚えていたのです。
ただ、本音を言うと、年次が古いメンバーは存在しますが、400のノウハウに対して「どの課題を解決するため」に、それらのノウハウが存在しているのかをパーフェクトに回答できるメンバーはいないかもしれません。

どういうことかというと、
もちろんお客様から何かしらの課題を頂戴した場合に、「あ、その課題であれば当社のこの施策(ノウハウ)で解決できますよ)という回答はできるかなと思うのですが、

(本ブログのポイントの1つ目のポイントはココです)
HRにおける課題が何種類存在しているのか?その大項目、中項目、小項目等を整理することができるか?

という質問をされた際には、回答することが限りなく難しいと思っています。話が少し拡散しますが、HRという業界は幾つかに分類することができます。ただ、それぞれ分類された項目は限りなく密接に繋がっており、Aという領域に問題が発生すると、Bという領域にも影響します。逆に、Cという領域に良い施策が投じられると、Dという領域にも良い影響が齎されます。それぞれの領域がクモの巣のように密接に絡み合っているのです(こちらについてはまた別の機会でブログに書こうと思います)。

話を整理すると、

・ポテンシャライトは施策(ノウハウ)起点で社内の情報が整理されている
・新しいメンバーは、そのノウハウ起点でインプットをしていることが多い
・ただ、現場で起こり得るのは「課題」の提起が多く、その課題を解決すのがノウハウであって、HR業界において幾つの課題が存在しているのか。そして幾つに分類ができるのかを整理するのはすごく有意義そう

そんなことをちょうど先週考えていました。そして、その場にいたメンバーに声をかけてこんなワークをしてみました。


3. 当社の全ノウハウはどのような課題起点だったのか?

当社がこれまでに創出した400のノウハウが、どのような「課題」を解決したい内容だったのかを全て文言化してみました。ゼロイチを創出した「時期」によって、課題の粒度にはばらつきがありましたし、何より当社が設立した直後は、「課題」を強く意識せずに施策ドリブンでゼロイチを創出していたため、
「このゼロイチノウハウは何の課題を解決するために作られたものなのか?」
とブログと睨めっこしながら考えたりしました。
そんな中、複数のメンバーに集まってもらい、すべてのノウハウの課題を文言化することができました。そこで幾つかの気づきがありました。

 3-1. 課題が具体的であればあるほどノウハウも具体的である。その逆も然り。

課題提起が曖昧であればあるほど、それを解決するための施策へのこだわりも薄くなります。これは当たり前に起こる事象です。解決したい課題が不明瞭である場合は、例えるのであれば、ゴールキーパーがいないサッカーゴールにシュートを打つようなものです。つまり、適当に打ってもゴールすることができます。逆に、課題が具体的であればあるほど、解決策も限定的になり、且つ強いこだわりを見せなければなりません。
そのため、ここ数年で創出していたゼロイチノウハウのほうが具体的な内容が多かったと感じました。なぜならば、これまでは大雑把なものは創出できてきていたため、直近のほうが具体的であると言えるかもしれません。

 3-2. 課題提起が曖昧ではあったが、ノウハウが先進的であり必要性はありそう

このパターンは、ポジティブにもネガティブにも捉えられます。
まずネガティブ側ですが、課題提起が曖昧であれば、そのノウハウの必要性が問われます。なぜならば、どのような場合にそのノウハウを使ってよいか分からないからです。ポジティブ側としては、「今」直面していない課題ではあるが、将来的に直面する可能性がある課題であるかもしれないこと。つまり課題を明瞭にできていないのは、これまでの日本のHR市場においてその課題に直面している人口が少なく、イメージが湧かないだけかもしれないということです。

例えば、2015年時点でこんなにもリモート勤務が当たり前になるなんて、誰も考えていなかったかもしれません。そんな中、「ハイブリット出社」という課題が誕生しており、マネージャー以上のメンバーは四苦八苦しているかもしれません。そのため課題が曖昧と表現しましたが、もしかすると将来的に起こり得る課題なので、課題と捉えられていないだけかもしれません。
そんな中、「先進的」という表現をしましたが(少し複雑な話をします)、前述した通り、一般的に「課題」と認知されていない「将来的な課題」を解決するノウハウを提示されたときに、皆さんの反応としては、

「…。そのノウハウ、すごく面白いですね。近い将来にそのトレンドが訪れるような気がします。面白そうなのでやってみましょうか」

という反応だったりします。
この類で言うと、日本で1番最初に誕生した採用ピッチ資料、採用podcast、そして当社が起案させていただいたEntrance Bookもこの類だと思います。
もちろん、ごく少数の方々が「課題」と認識した上で創出されたノウハウであるかと思うのですが、一般的には課題と感じられていないものもあったのではないかと思います。

 3-3. 課題の議論をする前に、ノウハウを細かく分類した方が良さそう

前述した通り、400に及ぶゼロイチノウハウの「課題」は文言化することができました。ただ、文言化してみて気づいたのですが、ノウハウの分類の粒度が荒く、課題の整理もままならない状況でした。そのため、当社のノウハウをより細かく分類することにしました。


4. HRのノウハウ/課題を細かく分類してみる

前述の通り分類してみたのですが、結論を先に記載します。

EX/人事組織
 - 人事組織全般
 - MVVC
 - マネージメント
 - 人事制度
 - 定着
 - 研修
 - 福利厚生
 - ペルソナ設計
 - その他(EX)

母集団形成
 - 採用手法
 - 職種別採用手法
 - スカウト
 - 求人票
 - プール
 - データ活用
 - その他(母集団)

選考/CX
 - CX
 - IX
 - OX
 - 歩留まり
 - その他(CX)

採用戦略/戦術
 - スタートアップ×採用
 - 採用決定
 - 採用人数策定
 - 採用予算

採用マーケティング
 - 魅力設計
 - 採用広報
 - 採用マーケティング全般
 - 採用ピッチ資料
 - 採用イベント
 - 音声
 - 動画
 - Book
 - その他(採用マーケ)

大項目は6つ、中項目は合計で33、小項目は合計で160 存在していました。
この分類を終えた後の気づきとしては、これまで当社が認識していた分類よりも正確であり、そして「課題」起点における分類をすることができ、より現場視点での分類ができたと感じました。現場では「この施策をやりたいから進めよう」とはならないかと思います。「こんな課題が発生しているけど、何をすれば良いのか?」のほうが圧倒的に多いわけで、つまり、HR業界の課題起点における分類はすごく希少価値が高いものであると感じました。
ここで反省をしたのですが、僕のこれまでの社会人人生の中で、自社のサービスラインナップを作る際に「自社はどんなサービスが存在しているのか」という考えが起点となっていましたが、それは割と自分視点の考えだったのかなと感じました。


5. 施策ドリブンで進めるメリットもある

「課題」が起点であるほうが良い、という話をこれまで進めて参りましたが、いや、施策の進め方にもメリットがあるぞ、という気づきがありました。これは僕にとっても大きな気づきでした。

詳細な説明をする前に、事例をお伝えします。
当社のノウハウの一つに「エントリーマネジメントブック」があります。最終面接前に、候補者さまに提示するブックで、「入社前」に読んでいただけるとメリットがありそうな内容を並べています。このノウハウを創出した課題提起としては、「入社前後のギャップを限りなくゼロにすること」でした。皆様も経験があるかもしれないのですが、入社後に「こんなはずではなかった」と口ずさんでしまう。これは、入社する側、受け入れる側の双方において責任があると捉えるほうが健全です。ただ、候補者さま側からすると、入社前に気になるすべての質問を思いつくわけでもないでしょうし、何よりそこまで時間を確保していただけない企業様のほうが多いかと思います。そのため、この「エントリーマネジメントブック」をご覧いただくことによって、入社前後のギャップを限りなくゼロにする、すなわち「離職率の低下」をしたいと考えていました。
結論としては、本ノウハウ(施策)は、想定通りの効果が出ており、「こんなはずではなかった」という言葉を聞く事は、以前と比較して少なくなってきたと感じています。課題起点での施策としては有効的であったと思います。

そんな中、僕も想定していなかった副次的効果が発生したのです。それは、
「ポテンシャライトさん、入社前にここまで情報を開示いただいて、すごくオープンな会社様なのですね。そして、ここまで細かくドキュメントを整備されている企業様はこれまで見たことがなく、社内のドキュメント管理、ノウハウ管理もきちんとされていらっしゃるので、すごくイメージが良いです」
という反応を頂戴することができました。
僕が解決したかった課題の最終地点は「離職率の低減」だったのですが、副次的効果として「社内の情報の透明性」「ノウハウ管理の精度」という新しい効能を感じていただくことができたのです。

話を戻すのですが、
あくまでも「課題」を起点にしたほうが良いという考えは変わらないのですが、「施策」ドリブンで実行することによって別の課題を解決することができた、なんてことも発生することが分かりました。これは偶発的に発生した事象ではあるのですが、ポテンシャライトならではの強いアドバンテージがあると感じています。それは、

ノウハウの数が多いこと

です。
本項で記載をした内容は、後天的に発生する事のほうが多いかと思いますが、当社では400のゼロイチノウハウがあり、理論上は400の課題が提起されていることになります。
ただ、400の「施策」の「副次的効果」が発生するのであれば、「別の課題」も同時に解決できるということになります。

つまり、こんな感じで説明することができます(整理します)。
・ゼロイチノウハウ(施策)は「特定の課題」起点で誕生している
・課題起点で誕生したノウハウ(施策)は、その課題を解決することができる
・ただ、各ノウハウは、想定していた課題「以外」の課題を「副次的に」解決(効果がある)することができる場合がある

情報を整理すると、こんな気づきがありました。それは、

  • 異なる「複数の課題」が存在していたとしても、最終的に「同じ施策」になることがある

  • 「特定の課題」起点で創出される「施策」は、「その他の課題」を偶発的に解決することがある

  • 施策ドリブンで「施策実行」をすると、偶発的に「複数の課題」を解決できることがある

この3つの気づきは、僕にとってすごく貴重な経験となりました。そしてここで新しい課題が生まれたのですが、上記の3つの大きな気づきについて、クモの巣のようなマッピングを作成できるのではないかと感じています。つまり、課題と施策を並べた際に、きれいな1本の線でつなぐだけではなく、それが副次的効果でクモの巣のように絡み合うようなマッピングをイメージしています。次々と新しい課題が生まれて、その課題を解決していく。日々楽しく仕事をさせていただいています。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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