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転職活動の軸の「形成」と「変化」をわかりやすく解説してみた

「この求職者の方、転職活動をしていくにつれて、転職活動の軸が変化していったのです」

と、当社のメンバーが言っておりました。僕も人材業界に携わって15年ほど経過しましたが、確かに、求職者さまが転職活動を通して感じたことをフックに、転職活動の軸が変化していくことを数多く見てきました。

ただ、ここで言う転職活動の軸が「変化」していくのか、もしくは「形成」されていくのか、これはものすごく深い話になると思っています。

本ブログは、求職者さまが、転職活動の軸についてどのように形成されていくのか、どのように変化していくのか、個人的な所感を記載したいと思います。



0. 転職活動の軸とは?

転職活動の軸とは:
転職活動をする上で外せないポイント(項目)

例えば、皆さまはどんなカフェがお好きでしょうか?

- 雰囲気
- 立地
- 価格
- コンセントがあるか
- 周りのお客様との距離感

様々な要素があるかと思います。
ただ、これらの要素を羅列して、自分がどのようなカフェが好きなのかを点数化している人はほぼいらっしゃらないのではないでしょうか。皆さまは、感覚的に自分が「好き」と思うカフェを選定しています。

そんな中、転職活動においては、カフェを決めるようなノリで進める事は少々乱暴な気もします。なぜならば、自分の人生を決めることだからです。

話を戻して、転職活動の軸、と表現をいたしましたが、軸は何通り/何項目あるのか?見て参りましょう。

ポテンシャライトが定義する魅力項目

概ねこれらの項目になるかと思います。
このスライドは、当社ポテンシャライトが作成している採用企業が打ち出している「魅力項目」の分類です。採用企業側の打ち出すべき魅力になるのですが、求職者さまが転職活動をする上での軸とほぼ同じだとご理解いただいて問題ないかと思います。

また、転職活動の軸は「転職理由」と非常に近しいです。転職理由とは「転職活動を始めたきっかけ」になります。つまり、転職活動は「転職理由を解決するために行う活動」と言っても過言ではありません。

ただ、「絶対的に〇〇の項目を解決したいから、転職活動しているのです!」と言う方は、そこまで多くはありません。むしろ、なんとなく転職活動をすることにして、良い企業があれば選考に進んでみたいのです、というかたちの方が多いのではないでしょうか。

皆さまも転職経験がある方がおられると思いますが、「転職活動の軸は何?」と聞かれたときに、自信を持って「〇〇です!」と回答をされていたというよりは「〇〇だと思います」というレベル感だったのではないでしょうか。


1. 転職活動の軸の「形成」について

「転職活動を進めていくにつれて、転職活動の軸が形成されていった」

これはよく起こり得ることです。
なぜこの事象が発生するのか。

僕の答えとしては、「様々な価値観に触れるから」だと思っています。転職活動を開始していた頃はぼんやりしていた価値観が、様々な企業のお話(価値観)に触れることによって、

「あ、自分は、〇〇の価値観を重要視してるのか」
「あ、自分は、〇〇の転職理由だったけれども、本当にモヤモヤしていたのは、〇〇だということがわかってきた」

という気づきを得ることになります。
ここで重要なのは「自発的」に転職活動の軸が「形成」されていったということです。

どういうことかというと、さまざまな企業様のお話を聞くことによって、「自分」が気づきを得るわけです。
そのため、そのお話(価値観)に触れることによって、「自発的」に転職活動の軸を形成をしていることになります。

次項と比較しながら話を進めたほうがわかりやすいかと思いますので、早速次項に話を移しましょう。


2. 転職活動の軸の「変化」について

「あれ、この前お話をしたときは、〇〇の軸の話なんてしていなかったのに。突然軸が変わったのですか?」

人材業界を中心に採用活動に携わられておられる方は、この事象に遭遇したことがあるかと思います。
もう少し丁寧に説明をすると、

・転職活動開始時は、〇〇が転職理由ではあったが、〇〇が確固たる転職理由ではなかった。
・ただ、転職活動を進める上で、〇〇が転職活動の軸として形成されていった。
・しかし、転職活動の終盤で〇〇の転職活動の軸が▲▲に突然変化していた。

こういうパターンです。 

 2-1.「自発的」な軸と「受動的」な軸

なぜこの「変化」が発生するのか?且つこの「変化」は突然発生します。
それは、「▲▲という項目があなたにとって重要なんだ」と説かれたからです。

整理しながら話を進めます。

前述した通り、当初の転職活動の軸は〇〇だったわけです。この〇〇の軸を「A」としましょう。
そして、突然 ▲▲の軸に変化をした。▲▲を「B」としましょう。

Aは「自発的」な軸
Bを「受動的」な軸

というイメージです。

この「受動的」な軸とは何なのか?

 2-2.「受動的」な軸とは

そもそも、転職活動をする上で、皆さまが重要視されている「軸」は、どのように生まれたと思われますか?

それは、

「これまでの人生/社会人生活で受けた影響」

によって形成されています。

少し遠回りして説明をします。

この世に、誰1人として全く同じ価値観の人間は存在しないと個人的には思っています。なぜならば、生まれ、育ちも異なりますし、学校や部活、ゼミ、そして会社、上司、チームなどが異なります。同じ会社でも、異なる上司であれば、価値観も異なってきます。そして、世の中には、本当に無数の価値観が存在しており、ほんの一部の出逢った方々やチームによって、僕らの価値観が形成されている事はなんとなくご理解いただけるかと思います。

何が言いたいかと言うと、皆さまの転職活動の軸は、これまで歩んできた人生や奇跡的とも言える出会った方々の影響によって形成されている、ということです。そして忘れてはならないのは、その価値観は今後変わっていく可能性もあり、そして

転職活動で出会う方々からも、大きな影響を及ぼされること

これを認識しておく必要があります。

話を戻します。
本項において、「受動的」な軸と表現しました。これを言い換えるのであれば、

「転職活動で出会った方々の影響によって、自動的に作られていった価値観」

になります。
採用企業で「口説き」が上手な企業は、この転職活動の「変化」をさせることが非常に上手です。

例えば、ある求職者さまの軸が〇〇だったと仮定しましょう。そして、ある企業様の打ち出したい魅力が△△だったとしましょう。この場合は、その企業様は〇〇をプッシュするのではなく、△△をプッシュした方が「口説き」やすいということになります。

この場合、その企業様が△△についての話を重点的に説明をします。求職者さまは、△△についての軸(価値観)をこれまで視野に入れていなかった場合、

「転職活動において、△△の軸は重要なのではないか?」

という気づきを得ることになります。
そして、その企業様が△△の項目において魅力を説明し続けると、その求職者さまの軸も△△に変化する事があったりします。

ただ、この転職活動の軸の変化は必須の危険性も隠されています。

 2-3. 受動的な軸の「危険性」について

「●●さんと会って人生変わったよ!」

という言葉を聞いたことはありますでしょうか?これはポジティブにもネガティブにも捉えることができます。
ここで言う「人生が変わる」というのは、「価値観が変わる」と近しい表現だと思っています。つまり、

「これまでは〇〇の価値観を持っていたけど、●●さんと出会って、△△な価値観(人生)になった」

という意味合いだと思っています。

そして、●●さんとお会いして△△について感銘を受けた故に、衝動的にその企業にジョインした。ただ蓋を開けてみると、△△についての価値観は自分にとって本当に重要だったのか?と悶々としてしまう。
むしろ、△△という価値観が、自分にとって重要な価値観だったのか?と冷静に振り返ってみると…、あれ?そうではなかったかも?

こんなことはよく起こり得ます。

本項は「危険性」と表現したのですが、何故かというと、

「これまでの20年以上の人生において形成されてきた価値観」

「転職活動でお会いした企業から感銘を受けて新たに発生した価値観」

でいうと、やはり前者のほうが信頼できる価値観であることが多いです。
後者の新たに発生した価値観が悪いというわけでは一切ないのですが、その価値観は「ひとときの心の変化」に過ぎなかったのか?は、その価値観に触れてみなければわかりません。
新たに発生した価値観を信じて触れ続けて感じ続ける意思も必要でしょうし、新しい価値観にアラインしていくため、ストレスがかかる可能性も高いです。

そのため危険性もあるということをご認識いただければ幸いです。


3. 転職活動の軸の「形成/主体的」と「変化/受動的」についてまとめます

少し複雑な内容になってしまったため、改めて情報を整理したいと思います。

 3-1. 転職活動の軸の「形成/主体的」について

これは転職活動を進めていく上で、自身が「主体的」に「形成」していった軸になります。転職活動でさまざまな方とお会いして、お話を聞いて、これまで自身が大事にしたい軸を明文化していくイメージです。
つまり、すでに自身に染み付いている価値観を、改めて認識して明文化したかたちですね。
これは転職活動でよくあることです。

 3-2. 転職活動の軸の「変化/受動的」について

これは転職活動を進めていく上で、自身が「受動的」に「変化」していった軸になります。
転職活動でお会いした方の話に、ある種の「感銘」を受けて、これまで触れたことがない価値観が発生したイメージです。
つまり、自身にとっては新しい価値観になります。
これも転職活動で発生はしますが、採用活動が上手な企業と出会ったり、口説きが上手な方と出会ったりすると発生することが多いです。


4. 採用企業側が覚えておくべきこと

採用企業側においても、こんなことが発生することがあるかと思います。

Aさんに内定を提示した。
Aさんは自社に対しての志望順位も1位だし、軸の◯◯もマッチしている。
来週月曜日に1社だけ面接が残っていて、その企業の面接も一応受けたい。
ただ、その1社は軸である◯◯とはそこまでマッチしていない。

皆さま、このパターンでいうとAさんは自社に内定承諾いただけそうなイメージを持ちますよね。
来週月曜日に実施される面接の企業様は、◯◯という軸にはそこまでマッチしていない。

ただ…

「すみません、月曜日に面接をした企業の志望度が一気に上がりまして、内定承諾期限の延長をしていただけますでしょうか?」

え!

となりますよね。
これは3-2で記載をした転職活動の軸の「変化/受動的」に当てはまる可能性が高いです。Aさんの軸は◯◯であったが、その月曜日に面接をした企業の面接官が▲▲の価値観を説き、Aさんに新たな▲▲の価値観が発生した、ということになります。

これは自社が意図せずに発生する事象です。
そして、本事象が発生すると、採用企業側はこんなことを思うかもしれません。

「Aさんは、転職活動の軸がブレてるな。Aさんは筋が通っていないから、信用できないなー」

人材業界/採用市場において、こんな言葉を聞いたことがある方もおられるかもしれません。ただ、これはAさんが悪いのか?僕はそうは思いません。
Aさんに新しい価値観を植え付けた、月曜日に面接をした企業の「口説き」の力が強かったのだろうなと捉えるようにしています。

行ったり来たりしてしまいますが、Aさんの新しい価値観が発生したことはAさんにとってはポジティブだったのかネガティブだったのかは、数年後に検証できます。その新しい価値観がAさんの人生にとってバイブルとなるような価値観になる可能性もあります。もしくはひとときの心の迷いだった可能性もあります。
採用企業に入社された後の上司の方のフォローアップ次第ではあるのですが。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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