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スカウト返信率を語る前に抑えておくべきこと

「スカウト返信率30%!脅威の返信率となりました」

メディアやSNSで、このような記事や発信を拝見いたしますが、違和感があることが多いです。そもそも、スカウト返信率はあらゆる要素が複雑に絡み合い、返信率が決まってきます。その「要素」次第で返信率が決まると言っても過言ではありません。
スカウト返信率が高いほうがもちろん良いことが多いと思いますが、スカウト返信率を構成している要素をきちんとマークすることによって、採用活動を本質的に進めることが可能ですので、本ブログではそれらの内容を書きたいと思います。

「スカウト返信率〇〇%!」への違和感

皆さまイメージして見ていただきたいのですが、「未経験の新卒インターンポジション」と「年収8,000,000円以上のエンジニアのポジション」のスカウトの返信率はどちらが高いと予想しますでしょうか?
言うまでもなく、前者の「未経験の新卒インターン」かと思います。

もうひとつイメージしてみてください。
あなたが人事をしている会社が「本当に何もない中小企業」と「誰しも社名を知っているメガベンチャー企業」のいずれかだった場合、どちらがスカウトの返信率が高いと予想しますでしょうか?
こちらも言うまでもなく、後者の「メガベンチャー企業」の可能性が非常に高いです。
冒頭で記載いたしましたが、スカウト返信率を構成している要素はたくさんあります。その要素が複雑に絡み合ってスカウト返信率が決定いたします。そのため、人事界隈のミーティングにおいては「スカウト返信率」を軸に話が進むこともありますし、またメディア要素が高いことをPRしていることもあるのですが、それらの構成要素を知っておくだけで正確に状況を理解することができます。
詳細は後述いたしますので1つずつ見て参りましょう。

1. スカウト返信率の構成要素

 1-1. 採用ターゲット(経験)

前項一部記載いたしましたが、スカウトメールの対象者である「採用ターゲット」における「レベル感」次第で、スカウトメールの返信率は大きく変動します。
最も返信率が高いのは「未経験採用」です。何故かと言うと、求職者さまにとっては未経験であるポジションへのスカウトメールについては、興味をそそる可能性が非常に高いからです。一方で、自分がこれまで経験してきた内容で、会社をスライドさせて次の職場でも全く同じ仕事をするのであれば、とてつもなく大きな魅力がなければ転職をする必要性を感じません。例えば、IT業界で営業していた方がいたとして、ほぼ同じようなIT企業の営業ポジションからスカウトメールが送られてきた。これに対して返信をするかどうかでいうと、返信をしない確率のほうが高いわけです。
本項では「採用ターゲット」という表現をしましたが、言い換えると「採用ターゲットのレベル感」と表現できます。

大学受験での「偏差値」で例えてみます。
もし仮に、採用市場における魅力、偏差値60の企業様があったとしましょう。その企業様がエンジニアを募集していたとして、採用市場におけるスキル偏差値が55のエンジニアがいたとしましょう。この場合、スカウトメールを送信した場合、返信率が高く見込めます。なぜならば、このエンジニアにとって、その企業様を魅力的に感じる可能性が高いからです。「何を持って幸とするのか」という定義は一旦さておいて、この感覚は割と大事な感覚になります。
ただ、1つ誤解がないようにお伝えいたします。偏差値60の企業様が、偏差値55のエンジニアさんを採用ターゲットに入れるかというと、その可能性はやや低めです。仮にポテンシャル採用するというジャッジをしたのであれば良いのですが、自社よりも明らかにレベルが低い求職者さまを積極的に迎えれる企業様は少ないです。
ただ、その企業様の様々な事情によって「未経験」の方に対して積極的にスカウトメールを送信することもありますので、その場合は必然的にスカウト返信率が高くなるとご認識ください。

 1-2. 採用ターゲット(年齢)

前項と被さる部分ではあるのですが、採用ターゲットにおける「年齢」は非常に大きな変数と言えます。
様々な媒体の担当者様から「採用ターゲットの年齢の上限を上げてください」と言われることが多いです。当社も日々様々な企業様のスカウト返信率とにらめっこしているのですが、スカウト返信率を年齢別に分類してみると、ホットゾーンと言われる25歳から35歳の候補者さまのスカウト返信率は高くはありません。一方で、40代以上そして50代以上まで年齢幅を広げてスカウト送信をしている企業様も増えて参りましたが、ホットゾーンと比較するとスカウト返信率が2倍以上という結果になっています。
そのため、年齢の上限を上げれば上げるほどスカウト返信率が上がる、と言うのは紛れもない事実であり、本ブログの主題とはややずれるのですが、採用成功をするための1つの手法と言えるかと思います。

 1-3. 求職者さまのHotな度合い

新しく使用する媒体でスカウトを開始するタイミングは、転職活動を積極的に実施している「Hot」な状態である求職者さまが多いです。ログイン検索をしたり、各媒体独自の「Hot」な状態を示す検索条件を設定し、「返信率が高く見込める」求職者さまにターゲットを絞ってスカウトメールを送信し続けることができます。

どのような媒体でも使用開始してから3ヶ月、6ヶ月、1年と長い期間が経過することによって、その「Hot」な求職者さまが検索結果に出てこなくなります。そのため、長い期間継続的に、同じ職種で、同じターゲットで高い返信率を見込む事は困難を極めます。
ただ、その媒体の「集客」のパワーや、その企業様の採用ターゲットが低ければ低いほど集客ゾーンは広がるため、長い期間 求職者様が「枯渇」状態にはなりません。
繰り返しになりますが、この「Hot」な状態である求職者さまにスカウトメールを送信することによって、高い返信率が見込める可能性が高いのです。

 1-4. 業種/職種

業種と職種によって有効求人倍率が大きく異なります。国が発表している有効求人倍率は、失業者の人数とハローワークに届け出がある求人を割り算したものです。世の中のすべての求人企業がハローワークに求人の届け出をしているかと言うと、全くそんな事はありません。
そのため、僕は定期的にDODAさんがアウトプットしている転職求人倍率を参考にさせていただいています。DODAに登録がある求職者さまの人数と、掲載をしている求人数の割り算をした数値について毎月業種別にアウトプットいただいております。

この内容を見ると、言わずもがなIT業界の数値は跳ね上がっており、一方で求人倍率が1倍程度の業界も多数存在しています。ここまで求人倍率が異なる中で、スカウト返信率に関しても大きく影響がある事は言うまでもありません。
上記URLを見ると業界観点で分けておりますが、「職種」においてもスカウト返信率が大きく異なる事は言うまでもありません。筆頭なのはエンジニア。有効求人倍率が非常に高いが故に、スカウト返信率も低くなります。
一方で、求人倍率が低い職種については、高いスカウト返信率を見込むことも可能です。

 1-5. 会社の魅力度

やはりスカウト返信率の高低のポイントは、採用企業の魅力度が重要です。もちろんのこと、魅力溢れる企業であればスカウト返信率が高いのは当然でしょうし、逆に競合他社との違いを明確に打ち出していない企業であれば、スカウト返信率は低迷します。

 1-6. スカウト文面、タイトルなど

「スカウト返信率を上げるためにどうしたら良いか?」というディスカッションが起こった場合 真っ先に話題に上るのは、スカウトの文面やタイトルになります。これは至極当たり前のことであり、スカウトメールの送信をしている方々は、やはりスカウト文面やタイトルが気になるのは確かです。求職者さまにダイレクトにご覧いただく文面やタイトルについては、改善がしやすく成果が出やすいような錯覚が発生します。
ただ、本ブログのテーマであるスカウト返信率の構成要素の1つであることには間違いありません。


2. 「スカウト返信率」だけ見ているだけでは、採用活動がうまくいってるとは言い切れない

本ブログの冒頭にも記載しましたが、「スカウト返信率が高い」という情報を見た時に、必ずしも一概に「スカウトのテクニック」が優れているというわけではありません。様々な構成要素において、より自社の有利な条件が揃っているのであれば、スカウト返信率はかなり高くなります。
ただ、採用活動はそんなに簡単なものではありません。どのような企業様も非常に優秀な方を採用したいと考えておられると思いますし、だからといってそういった人気の求職者さまばかりを狙っていては、採用活動もうまく進みません。
また、スカウトの送信要件を幅広く設定している企業様は、カジュアル面談/1次面接の通過率が低い傾向にあることも事実です。つまり、スカウトの送信要件が幅広いのであれば、その分最初の選考における見極め要素が強くなってきます。また別のブログで書きたいと思うのですが、書類選考通過率(スカウト送信要件)と1次面接通過率、2次面接通過率の関係性は切っても切り離せないものになりますので、ご認識いただければと思います。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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