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採用競合企業の分析をしてみた結果、「規模感/フェーズ」×「業種」が大事であったと分かった話

「当社は採用活動においてどのあたりの企業様とバッティングするのでしょうか?」

年始にミーティングをさせていただいた企業様にこんなご質問を頂戴いたしました。
結論から申し上げますと、業種や職種によって、採用活動において競合する企業は大きく異なります。ただ様々な背景もあり、「採用競合企業」の選定が困難になってきていると思っています。

本ブログではその背景や具体的な内容について記載したいと思います。

0. 採用競合企業が業界や職種によって大きく異なる理由

採用活動/転職活動をする際に重要なのは
 - 経験業界/経験職種 
 - 希望業界/希望職種
です。

転職活動者は、これまで経験した業界と職種によって、次に転職する先の業界や職種が概ね決まってきます。ざっくり申し上げますと、

- 20代前半は「未経験」業界/職種でもチャレンジができる
- 20代後半は未経験業界はチャレンジ可能。未経験職種はやや厳しくなる
- 30代前半は経験業界/経験職種でなければ厳しくなってくる
- 30代後半は経験業界/経験職種に加えて、マネージメント経験もしくはスペシャリストの経験が必要

年齢によって未経験が受け入れられるか否かが決まるため、上記の内容は僕の経験論として記載させていただいております。
また、「未経験業界」にチャレンジをすることができる「職種」は大体決まっています。「業界を問わず存在する職種」についてはチャレンジが可能、とご理解いただけると良いかもしれません。例えば、

 - 営業職
 - 人事職
 - 経理職
 - 法務職

などはどの業界/企業でも概ね必要であり、「未経験業界」であっても、転職する事は可能な職種であると言えます。一方で、専門性が高い職種の場合は「未経験業界」への転職が難しいことが多いです。例えば、

 - 不動産開発
 - 医療事務
 - 研究者

などです。

つまり、該当する業界や職種によって採用競合企業は概ね決まってくるわけですが、昨今において特定の職種の場合、この方程式が崩れてきているように思えます。
そのひとつとなるのが「エンジニア」や「UI/UXデザイナー」、「プロダクトマネージャー」と呼ばれる職種です。これらはIT/Web業界の企業様にとって、成長するために必須の職種になるのですが、これらのポジションを欲している業界の幅が年々広がってきているように思えます。

※本ブログでは、内容を分かりやすくするために「エンジニア」に話を絞りたいと思います。


1. エンジニア採用が年々厳しくなっている理由

「エンジニア採用は難しい」

という話を聞いたことがある方がほとんどなのではないかと思うのですが、これは事実です。そしてこれは「年々」厳しくなっていると言えます。
何故かというと、あらゆる企業が「DX」と銘打ってエンジニアを採用し始めているからです。過去の話を紐解きながら説明をいたします。

  • 1990年代のIT業界は、いわゆるSIerがメインでした。そのため、事業会社やプロダクト企業がエンジニアを抱える事は少なかったように思います。

  • 2000年代になると、いわゆるWebサービスを持っている企業が台頭し、エンジニアを社内で抱える企業が徐々に増えてきました。

  • 2010年代になると、ベンチャー企業ブームが訪れ、メルカリやスマートニュースなどを始めとしたスマートフォンアプリを開発する企業や、コロプラやmixiなどスマホゲームを運営する企業も増えてきました。

  • 2020年代になると大手企業を中心にDX化を推進しており、著名企業でいうとシャープ、ニトリ、東急などがDX人材の採用を強化すると発信しておりました。

これらをご覧になっていただくとご理解いただけるかと思うのですが、年々エンジニア採用をする企業様が増加しています。1990年代と比較すると、エンジニアの人数は増えているかと思うのですが、それよりもエンジニアを「採用したい企業様」の数のほうが増えている状況です。
これらの動きは今後も過熱化すると考えられており、日々エンジニア採用が厳しくなることが予想されています。


2. エンジニア採用において「採用競合」が変わってきている理由

本ブログのメインテーマは「採用競合」についてです。また本ブログでは、エンジニア採用にスポットを当てて説明をしております。

前項において「年々エンジニア採用が厳しくなっている」という話をしました。厳しくなっている理由はあらゆる業界/規模感の企業様がエンジニア採用に取り組み始めており、採用候補者であるエンジニア側からすると、選択肢が急増しております。

そのため、20年前と比較すると、採用活動において競合する企業は変化していると考えることが自然な考え方です。また、エンジニア採用において特に過熱化しているのが「Webエンジニア」と言われるポジションです。さらに具体的に申し上げると「サーバーサイドエンジニア」「フロントエンドエンジニア」というポジションです。何故かというと、この2つのポジションはあらゆるIT企業にとって必須であるポジションだからです。

もう少し具体的な話をしましょう。
仮にあなたが1990年代に設立されたWebサービスを運営している企業様だとしましょう。設立してから25年が経過しており、何度か躓きがあったものの顕著に成長してきた企業様と仮定します。この各時代において採用競合となった企業様が異なるはずです。

◆時代別の採用競合企業
1990年代:SIerが中心
2000年代:老舗のウェブサービス企業(ナビタイム、インフォマート、mixiなど)
2010年代:上記に加えて、下記が該当
 - スマホゲーム企業(コロプラ、Cygames、ガンホーオンライン)
 - ウェブサービス企業(メルカリ、freee、マネーフォワード)
2020年代:上記に加えて、下記が該当
 - 大手DX系企業(シャープ、ニトリ、東急)

いかがでしょうか?ここまで記載した内容より、なぜ各時代(時期)によって採用活動が上手くいったり、上手くいかなかったりしているのかがご納得いただけたかもしれません。


3. 御社はどのような企業様と採用競合になっているのか?

前述した通り、エンジニア採用においてはあらゆるタイプの企業様が採用競合企業となっています。とはいえ、求職者さまのそれぞれの思考もあるかと思いますので、前述したすべての企業様が採用競合となるかというとそんなことはありません。

本ブログの冒頭に記載をいたしました、

「当社は採用活動においてどのあたりの企業様と、バッティングするのでしょうか?」

この質問は、時代のトレンドに即した質問であり、今の時代だからこそ把握すべきことだと思います。では、転職活動を検討しているエンジニアがどのような基準で応募企業を決めているのかを調査してみました。

 3-1. 各エンジニアの応募企業の調査

詳細は割愛いたしますが、50名ほどの各エンジニアの方がどのような企業様を「並行応募」をしているのかをあらゆる手法を用いて調査してみました。並行応募というのは、同時に応募している企業(皆様も転職活動時に1つに絞って応募するよりも、複数社並行してご応募される方が多いかと思うのですが)それを「並行応募」と表現しております。
結論としては、僕にとっては新しい発見だらけでした。気づいたことを羅列して参ります。

 3-2. 並行応募企業の結果を見て気づいたこと

気づいたことが大きく4つありました。順番に記載いたします。

1つ目は「規模感/フェーズ」です。
ある候補者さまはメガベンチャーのみに選考を絞っており、ある候補者さまはアーリースタートアップに絞って選考に進んでおりました。つまり、会社の規模感やフェーズに絞って選考企業を選定している方が多く見受けられました。

2つ目は「業種」です。
ある候補者さまはSaaS企業を中心に選考に進んでおり、ある候補者さまはtoCサービスに絞って選考に進んでおりました。また別の方は「リアル×Web」のサービスを運営している企業にばかり選考に進んでいる方もおりました。「業種」と表現しましたが、サービス形態/ビジネスモデルと言いますか、これも変数の一つでした。

3つ目は「希少価値性」です。
他企業とバッティングしないような特徴がある企業様を中心に選定しておられる方もいました。Web/スマホアプリ/ゲーム/リアル×Webに該当をしない企業様と言いますか、エキセントリックと表現できるかもしれないのですが、何かしらの強い特徴がある企業様を中心に選定をしている候補者さまもいらっしゃいました。一発芸枠と言いますか、そんなイメージです。

4つ目は「傾向がない」です。
3〜4割くらいの候補者さまは選考企業の傾向がありませんでした。
ただ、「傾向がないことが傾向」であったように思えます。どういうことかと言うと、前述した「規模感/フェーズ」「業種」を跨いで選考企業を選定しておりました。つまり「規模感/フェーズ」でいうと、メガベンチャー枠から2社、大手上場企業枠から2社、スタートアップから2社。「業種」でいうと、SaaSから3社、toCサービスから2社、リアル×Webから2社などです。つまり、自分(候補者さま)の興味/関心がさほど決まっていない場合はこの類なのかもしれません。

 3-3. どういった方が上記4つの傾向があるのか?

ここで一つ感じたのは、下記でした。

選定基準が「規模感/フェーズ」の方はどういった方なのか?
選定基準が「業種」の方はどういった方なのか?
選定基準が「希少価値性」の方はどういった方なのか?

これはいわゆる「転職活動の軸」と近しいのかと感じたのですが、結論としてはどういった方が上記4つに分類されるのかは、傾向が掴みきれませんでした。ただ、各エンジニアの「転職活動の軸」はこれまでの人生によって形成されたものかと思いますので、レジュメ(在籍企業/経歴などを含めたキャリア)を見たうえでの判断が難しいと感じました。

ただ、これはHR業界で仕事をしている方は共感いただけるかもしれないのですが、

「●●社に所属していた方は▲▲を重視して転職活動をする方が多いな」

という傾向が何となくあります。所属企業のカルチャーが明瞭であればあるほど、違和感を感じるポイントを予想しやすくなります。
そのため、3-3に記載をしている4つの項目は所属企業を見れば何となく予想ができたりするのですが、本ブログで具体的な企業名(所属企業)を出すのもアレなので、ここでの深掘りは割愛します。

4. 採用競合企業はどのように分類すれば良いのか?

これまで調査をして気づきをいくつか得たのですが、求職者さま側の「選考企業」の分類の中で、僕が特に注目したポイントは2つでした。

1つ目は「規模感/フェーズ」
これは外せない要素なのではないかと。もちろん候補者さまの志向によって「規模感/フェーズ」は検討外になる可能性もあるかと思いますが、今回の調査を進めていると、本項目を軸に企業選定される方が多いとお見受けいたしました。

2つ目は「業種」です。
やはり業種については個人によって好みが分かれると感じました。SaaSのみの方もいらっしゃいましたし、toCサービスを中心に受けている方もいらっしゃいました。また、少しトリッキーと言いますか、リアル×Webの企業様を中心に受けている方もいらっしゃいました。

この2つがまずはメインなのではないかと思っています。
それでこの2つをマトリクスのように分類してみようかと考えました。

まずは「規模感/フェーズ」で分類しました 👇

次に「規模感/フェーズ」×「業種」でマトリクスにしてみました 👇

次に各セグメントに名前を設定してみました 👇

そして、各セグメントの比率(業種別)を記入してみました(これは感覚値です) 👇

最後に、各セグメントの比率(全項目)を記入してみました(これも感覚値です) 👇

これらを作成して感じたのですが、候補者さまはそれぞれ「希望」しているセグメントがあるかと思うのですが、転職活動「前」に確固たる拘りがある方は多くはないかと思うのですが、セグメント別の「候補者さまの人気度合い」はございます。下記をご覧ください 👇

これもあくまで僕の感覚値になるのですが、上記スライドにおいて太陽の箇所は人気ですし、曇りの箇所は太陽の箇所よりは人気度がやや低い傾向にあります。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
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