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受託/コンサル/制作企業の面接について

転職活動していると、「自社でサービス(プロダクト)を持っている企業」「受託/コンサル/制作側の企業」の両者と出会うことが多いです。
この2社においてどちらが良い/悪いと言う話ではなく、両者ともにメリット/デメリットがあるかと思います。本ブログでは後者の「受託/コンサル/制作側の企業」の面接準備/対策についてお伝えしたいと思います。

0. 受託/コンサル/制作側の企業とは?

具体的な事例ベースでご紹介したほうがわかりやすいかと思いますので、一つ一つ見てまいりましょう。

 0-1. 「システム」の受託開発企業

いわゆる「IT」にまつわる受託開発企業です。システム開発を希望している企業(発注側)から、システム開発のご依頼(受注)をいただき、システムを開発した後に納品します。文字通りシステム開発における「受託」をしている企業に当たります。
少し込み入った話になりますが、システム開発における受託開発企業を語る上で外せないのは SI / SES 企業の存在です。一般的に「受託」と言うのは、仕事を完成させること/成果物を納品することを指します。つまり、受託開発企業が、あるシステム開発の受託をした場合、その業務において「何人」で「どのくらいの時間」をかけて開発するのかは、受託開発企業の自由です。一方で、「SES」と言うのは、エンジニアを「派遣」することを指すため、1人のエンジニアが1ヵ月稼働したが故に単価がいくら、という計算の仕方をします。つまり料金のいただき方が異なります。

 0-2. Web制作受託企業

ここで言うWeb制作とは、「Webサイト制作」のことを指します。具体的には、ホームページ、プロモーションサイト、ECサイト、採用サイトなどさまざまなサイトが該当します。Web制作した企業は、あらゆるサイトの制作を受託しているため、Webサイトの企画/制作を一手に担います。

 0-3. Webマーケティングコンサル企業

前項で説明をしたWeb制作は、Webサイト制作が中心ですが、本項のWebマーケティングコンサル企業は、文字通り「Webマーケティング」になります。Webマーケティングとは、Webにまつわるマーケティングを指します。例えば、SNS広告、リスティング広告、SEO、アフィリエイトなど、ありとあらゆるWebマーケティング手法が該当します。本ブログでは「Webマーケティングとは」という詳しい内容の記載はしませんが、そんなイメージをお持ちいただければと思います。

また、前項の2つとは異なり、「コンサルティング」という表現をしましたが、誤解がないように申し上げると、Webマーケティングの「受託」をしている企業もありますし、「コンサルティング」をしている企業もあります。

「受託」とは前述した通り、仕事を完成させること/成果物を納品することを指すため、ほぼほぼ「外注」に近しい概念を持ってください。一方で「コンサルティング」とは、アドバイスがメインといいますか、実施作業はクライアント側が行うケースが多いです。コンサルティング企業がどこまで実作業を担当いただけるかは契約次第ですが、受託とは違いがあることを認識ください。何を伝えたいかと言うと、「受託」スタイルなのか、「コンサルティング」スタイルなのかで業務への入り込み方が異なります。これは、Web制作の世界でもシステム開発の世界でもWebマーケティングの世界でも、受託企業なのかコンサルティング企業なのかで業務範囲が異なる、そういった意味合いでご理解いただければ幸いです。

 0-4. ITコンサルティング企業

前項の「0-1」でシステム受託開発企業と表現しましたが、本項はITコンサルティング企業になります。前述した通り、「受託」と「コンサルティング」は異なります。ITコンサルティング企業は、顧客のIT課題におけるアドバイスを中心に行います。ただ、その企業の経営分析 / 事業分析 / 業務分析をしなくては、適切なアドバイスをすることができません。そのためITコンサルティング企業は実際にシステム開発をする「前」までに必要な様々な上流工程の業務をしているとご理解ください。そのため、システム開発という側面における実作業がないため、コンサルティング企業と表現しています。


受託 / コンサル / 制作企業 とは?と言う切り口において、4つの事例を説明いたしましたが、イメージは湧きましたでしょうか?
当社ポテンシャライトは、ベンチャー企業を中心にご支援しておりまして、ベンチャー企業は必然的に「IT」にまつわる事業をしていることが多いため、必然的に「システム」「Web」などにまつわる受託/コンサル/制作企業との取引が多いことをご理解ください。

1. なぜ受託/コンサル/制作企業を志望しているのか?

※受託/コンサル/制作企業と表現すると、文字数が多いため、本ブログではこれ以降「受託企業」と記載しますので、ご認識ください。  

受託企業の選考に進むにあたり、「あなたはなぜ受託企業を志望しているのですか?」というご質問をいただく事が多いです。もし、質問がなかったとしても、受託企業で働く上で明瞭にしておいたほうが良いです。受託企業で働く魅力を記載いたしますので、ご確認ください。

 1-1. 多くの企業/案件に携わることができる

これは王道の魅力です。1つのサービス(プロダクト)を開発している企業と比較すると、受託企業はたくさんの企業 / 案件に触れることができます。どこまで深く入り込むのかによって異なりますが、多ければ5社程度、少なくても2社程度とアクティブに携わることができます。つまり、1社で経験するよりも幅広く事例を見ることができますし、それに応じてスキル/経験を積むことができます。また、「個人」としては触れることができる社数は前述した通りですが、「企業」としては100社以上の企業とアクティブに取引している受託企業もあります。

当社ポテンシャライトの事例を説明すると、当社はHR業界における受託開発企業です。つまり、1社の人事ではなく、1人のHRコンサルタントが複数社のHR業務を受託します。また、ポテンシャライトという会社として、常時70社前後の企業に携わっています。そのため、1人のHRコンサルタントが担当できる会社は複数社程度ですが、ポテンシャライトという会社として70社の取引が常時ありますので、70社分のHRの事例を常に吸収できる環境にあります。知見が身に付くスピードはすごく早いですし、スキルアップをしたい方にとっては魅力的な環境であると言えます。

 1-2. あらゆる課題解決事例が蓄積されている

もちろん会社の規模感によりけりですが、受託企業は自分と同じ業務を「別企業」に対して実施していることが多いです。つまり、自分が直面した業務課題を、既に周りのメンバーが解決している可能性もあります。さまざまな業務の課題に直面したとしても、自社における仲間が既に解決している可能性があるため、課題解決の参考事例も多く解決スピードも速いことが多いです。

 1-3. 正社員としてジョインできないような企業の案件を担当できる

これもその受託企業の力によりけりですが、あっと驚くような大手企業からのご依頼をいただくことももちろんあります。その企業に正社員として入社するのは選考ハードルが高いが故に難しいことが多いですが、受託企業としてご支援することもできます。

当社ポテンシャライトの事例ですが、当社がまだ10名程度の頃に、セブン銀行様の採用顧問に入ったり、直近だと東急株式会社様の新規事業部門のHR活動の戦略/戦術/設計/実務を担当していたりします。当社のこれまでの実績を評価いただいてご依頼いただいた形ですが、それでもこの2社に中途採用で正社員でジョインする事はかなり難関である事はご理解いただけるかと思います。そんな中、受託会社としてご支援することができたりします。

 1-4. 常に最新の情報/スキルをキャッチアップできる

受託企業として様々な企業 /  案件に携わりますが、顧客の要望も変化しますし、自社のスキルも変化していきます。その業界におけるトレンドが変化したり、業務支援をするにあたり新しいツールの登場があったりします。毎月のように新しい企業/案件が開始しており、常にアップデートされた情報/スキルを新しい支援企業に提案 / 支援していることもあるかと思いますので、その業界 / 職種における最新の情報 / スキルをキャッチアップすることができるかと思います。                           

受託企業によりけりですが、自分が担当していない企業/案件の支援内容や支援進捗をメンバーに公開している企業も多いかと思います。そのため、自身が積極的に、自分が担当していない支援事例のキャッチアップをする姿勢があれば、ものすごく情報のキャッチアップができるのではないかと思います。

 1-5. 業界のプロフェッショナルを目指せる

前述の通り、様々な情報やスキルをキャッチアップできる立ち位置であることがご理解いただけたかと思います。どのような業界/職種においてもトレンドが常に変化します。そのトレンドに置いてかれてしまうと、取り戻すまでに時間もかかりますし、困難だったりします。

受託企業に所属していると、トレンドを常に把握できる立場におりますし、そのトレンドを活用して業務支援も実行できます。つまり、その時点において、常に業界のプロフェッショナルとして位置づけることもできますし、そう名乗ったとしても不思議なことではありません。                                        

1社の企業でサービス/プロダクトを開発したり制作したり、もしくは人事業務をしたり経理業務をしたり、それ自体は素晴らしいことです。あるべき姿かと思います。ただ、所属している企業の状況や課題によって自分の業務は制限されます。もしかしたら自分の業務が無くなってしまうこともあります。何より、その1社に帰属した課題のみ直面することになるため、スキルもやや限定的になる事はご理解いただけるかと思います。

2. それぞれの受託企業の違い

受託企業の面接に進む際に、誰しも直面する悩みは「それぞれの受託企業の違い」を明瞭にしにくいことです。なぜならば、受託企業は取り組んでいる業務内容がどうしても似通ってきてしまうからです。つまり、前項で説明をした内容は、ある程度どの受託企業だったとしても経験することができる場合もあります。ただ、そんな中で受託企業における「違い」も存在します。説明したいと思います。

 2-1. ミッション/ビジョン

敢えて 1つ目に「ミッション/ビジョン」について説明したいと思います。「敢えて」と表現したのは、8割程度の受託企業は、このミッション/ビジョンをぼんやり設定していることがあります。なぜならば、自社にサービス(プロダクト)が存在しないが故、ミッション/ビジョンを表現しにくいのが受託企業の悩みです。

ただ、そんな中でも強い想い(思想)を持って受託企業として在り続ける企業もあります。割合としては2割程度です。この2割程度の企業は、このミッション/ビジョンに強いこだわりを持っているため、競合企業との違いであると言えます。2割程度に該当するか否かの確認の手法としては、ホームページを確認することです。何社か受託企業のホームページを見るとご理解いただけるかと思いますが、このミッション/ビジョンの説明が薄い企業が多いです。そんな中、かなり濃い目に記載している企業はミッション/ビジョン型の企業であると認識していただき、読み込むようにしてください。そして面接でミッション/ビジョンを読んでいただいた上での皆様の意見をお伝えいただけると企業様も喜んでいただけるかと思います。

 2-2. バリュー/スタイル/ポリシー

前項で説明したのはミッション/ビジョンです。つまり、「なぜ」やっているのか、「どこ」に向かうのか、です。本項の「バリュー/スタイル/ポリシー」とは、「どのように」やっていくのかを指します。つまり、「how」になります。前述した通り、受託企業は差別化を表現しにくい状態と言えます。なぜならば似通っているからです。ただ、この業務内容を「どのように」取り組むのかは、企業によってカラーが出ます。このカラーに共鳴できた場合は面接でお伝えするべきですし、何より入社した後のマッチングにも影響してくる箇所ですので、見ていただけると良いかと思います。ただ、このバリュー/スタイル/ポリシーを明瞭にしていない受託企業もたくさんあります。そのため前項で説明した通り、ホームページを見て確認してください。バリューの類のページを濃い目に掲載している企業ほど、こだわりが強いかと思います。

 2-3. 業務「範囲」

確認する難易度は高めですが、業務「範囲」をご確認いただけると良いかと思います。本ブログの「1」で説明いたしましたが、派遣なのか受託なのかコンサルティングなのかで、業務範囲が大きく異なります。また、一言で「受託企業」と言っても、業務範囲が異なります。例えば、「現状分析」に強みを持っている企業なのか、「企画」に強いのか、「設計」に強いのか、「実装(作業)」に強いのか、「運用(フォローアップ)」に強いのか、など さまざまな 業務範囲が存在しています。どの範囲に強みがあるのかをホームページに掲載している企業とそうでない企業がありますが、もし実態を把握できるのであれば把握しましょう。

 2-4. 得意な「業界」

上記「2-3」とやや内容は被りますが、「2-3」は業務の「範囲」の話。本項はその受託企業が得意としている「業界」の話です。
受託企業は様々な業界の顧客を担当しているケースと、特定業界に強みがあるケースの二通りがあります。前者のケースにおいても、「敢えて言うと〇〇業界が得意」という場合も多く、事前に認識しておくと面接も進めやすくなるかと思います。

得意な業界を把握しておくべきか理由は2つあります。1つは、「求める人物像」が決まってくるからです。顧客が金融業界中心なので、エンタメ業界中心なのでは、受託企業としての仕事の進め方や振る舞いが異なってきます。本質的にはサービスクオリティーを上げることに集中すれば良いのですが、言わずもがな金融業界は堅い雰囲気があります。そのため必然的に丁寧なコミュニケーションや仕事の進め方をする方の方が求める人物像としてはマッチします。2つ目は、「自分が身につけたいスキル」が変わってくるからです。1つ目に記載をした通り、顧客の業界によって求める人物像が異なります。また、顧客の業界によって身に付くスキルも変わってきます。
先程の事例で言うと、金融業界の顧客であればセキュリティー観点の知見も増すでしょうし、地に足付けたコミュニケーション力や設計力が増すのではないかと思っています。

 2-5. 実績

実績とは、どのような企業/案件を担当してきたのかを指します。ただ、受託企業は、顧客との契約で「クライアント事例としては公開してはならない」という場合もあります。それが故に、ホームページに実績を掲載していない企業も多いです。そのため、事前に実績を確認できない場合もあります。そんな中、ホームページに企業/案件の実績を掲載している企業は必ず確認をするようにしましょう。掲載できていた場合は、その企業様から高く評価いただいてる場合が多いため、面接で話題に出していただいても良いかと思います。

3. 受託企業の面接

自社でサービス(プロダクト)を持っている企業の面接とさほど大きな違いはありません。ただ、自社サービス系企業は、面接においてサービスに対しての言及が多いのですが、受託企業は自社サービスがないが故に、自身のスキルに対しての言及が多くなります。それに加えて、本ブログの「1」に記載いたしました「なぜ受託企業へ?」「なぜ当社へ?」と言う内容が多くなることをご認識ください。

まとめ

本ブログは受託企業の面接準備をするにあたり必要な内容を記載いたしました。お伝えしたい内容を整理すると、

 - 受託/コンサル/派遣の違いを理解する
 - 受託企業と自社サービス企業のメリットの違いを理解する
 - 受託企業の差別化ポイントを理解する

こちらの3点を理解していただいた上で、各社の面接対策を実施いただけると、すごくスムーズにご準備いただけるかと思います。

最後になりますが、
本ブログの筆者である山根としては、受託企業の就業を皆さんにお勧めしています。理由は本ブログの「1」に記載した通りですが、自分の意向次第で、ものすごく多くの事例をキャッチアップすることができます。また、業界のトレンドを「作る」側での仕事もすることができるため、ワクワクすることのオンパレードです。

そして、スキルを身に付けるのであれば受託企業はすごく良いと思っておりますので、ご認識いただければと思います。

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