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採用ブランディングにおける「ストーリー設計」の解体新書

当社ポテンシャライトの社員数は増え続けており、皆様(お客様)の前に登場するメンバーも多岐に渡るようになって参りました。僕は会社の代表として、もちろん経営に関すること、事業運営に関すること、会社の人事に関することなど多岐にわたる業務に触れていますが、現場の業務についても触れ続けています。
特に、「採用ブランディング」については、採用支援をするにあたり最も重要と言っても過言ではないサービスラインナップの1つであり、且つ難易度も高いが故に、僕も携わり続けています。正解がない業務になるため、お客様と納得感を持ちながら進めるのですが、ある程度「型」は作れてきているのは事実です。
本ブログでは、採用ブランディングを進めるにあたり、どのようなストーリー設計をすると良いのかをお勧めしていきたいと思っています。

採用ブランディングとは
採用活動における魅力の「発掘」「言語化」「整理」をすること
採用活動をする上で、自社の魅力をどう打ち出していくのか、求職者様にどのような魅力を感じてもらうのかは非常に重要です。その魅力をなんとなく伝えるのではなく、自社の魅力をきちんと発掘し、そしてメンバーが伝えられるような言語化をし、整理することを目的としたものになっています。
当社の採用ブランディングPJは、下記の中の項目で魅力を整理することが多いです。

この項目のすべての魅力を網羅しなければならないというわけではなく、各企業によって重点的にPRすべき項目を整理し、アウトプットしていくことが好ましいと考えています。


1. 会社説明の仕方(流れ)

突然ですが、下記の順番で会社の説明をする際に、皆様どのような所感をお持ちになりますでしょうか?

福利厚生
働いている人
カルチャー
事業内容
職務内容
ミッション/ビジョン
会社のフェーズ
業界の概要

いかがでしたでしょうか?もし仮に、皆様が転職活動をする際に、会社の調査をするとしましょう。その際に、どのような項目をはじめにご覧になりますでしょうか?
もちろん、「働き方」に強い関心があり、最初に「福利厚生」を確認される方がいるかもしれません。また、「一緒に働く人」に強い関心があり、最初に「メンバーのキャリア」を確認する方もいるかもしれません。
ただ、これまで僕が人材紹介のケアカウンセリングをたくさんさせていただいての所感としては、皆様まずは「事業内容」に目がいくことがほとんどです。つまり、その企業様が「何をやっているのか」になります。
次にこちらをご覧ください。

事業内容
福利厚生
働いている人
カルチャー
職務内容
ミッション/ビジョン
会社のフェーズ
業界の概要

前述した通り、「事業内容(何をやってるのか)」を最初に持ってきました。少し雰囲気が変わってきましたね。最初に何をやってるのかを記載することによって、求職者様にわかりやすく表現することができます。
ただ、事業内容の説明をした後に「福利厚生」の説明をするのはいかがなものなのでしょうか?繰り返しになりますが、求職者様それぞれが持っておられる転職活動の軸はさまざまです。そのため一概に、どのような順番で会社の説明をするかはその求職者様の興味/関心によって分けるべきではあるのですが、それでも前述した流れに、少し違和感を感じます。

これまで2つの「流れ」を記載いたしましたが、なぜ違和感が生まれるのか。それは「ストーリー」になっていないからだと僕は思っています。


2. 採用ブランディングにおけるストーリー設計

では、どのような「流れ」で会社紹介をすることが好ましいのか、つまり採用ブランディングにおけるストーリーの「型」をご紹介できればと思っています。

 2-1. 事業内容(軽め)

前項で説明いたしましたが、まずは事業内容のご説明が適切かと思います。ただ、ご注意いただきたいのは事業内容は「特定の課題を解決するための手段」に過ぎません。皆様が所属している企業の事業内容の全てにおいて、顧客の課題を解決するために存在している事がほとんどです。
そのため、(軽め)と記載したのは、最初のタイミングで詳細に事業内容の説明をする必要はありません。ざっくりと何をやっているのかの説明に留める形で良いかと思います。

 2-2. 代表のキャリア(原体験)

前提として本ブログはベンチャー企業様を中心とした皆様に参考になるように記載しています。
2つ目は対象のキャリア(原体験)です。なぜ序盤に代表のキャリア(原体験)が必要かというと、前述した通り会社の事業や思想(ミッション/ビジョン) は、どこかで誰かが体感/直面をした課題を解決するために発生していることが多いです。もし仮に、自社の事業内容や思想が誰のどの体験にも紐付いてないようであれば、採用ブランディングにおけるストーリー設計に少々歪みが生まれ、一本の線につなぎにくくなります。

話を戻して、 御社が設立したのはおそらく代表様が大きな影響を及ぼしているかと思っています(もちろん会社の事情として、代表交代があったり、事業内容が大きく変化している企業様は異なるかもしれません)。そのため、事業内容や会社のミッション/ビジョンが発生した原体験をまず初めに説明できると非常に良いです。
ちなみに当社ポテンシャライトは、代表である僕の原体験の説明を30分ほどするようにしています。その原体験が当社の事業内容やミッション/ビジョン、そして会社のカルチャー、人事制度などに大きく起因しています。僕がこれまでのキャリアで感じたこと、具体的には人材業界における課題やモヤモヤがあったわけですが、それを解決するために発生した事業や思想なわけです(しつこく申し訳ないのですが)。

 2-3. 解決したい課題

前項でも少し触れましたが、代表の元体験において何かしらの課題と直面しています。その課題を解決するために会社は成り立っていることがほとんどです。代表的な課題としては「業界」の課題です。世に存在するベンチャー企業は、特定業界における「負(課題)」をこれまでのキャリアで感じていることが多いです。
ただ、誤解がないように申し上げますと、解決したい課題の種類は「業界」に関するものだけではありません。例えば会社の「カルチャー」に帰属する課題もあります。皆様もこれまでに所属していた企業において「どうしてもカルチャーがマッチしないな」と感じた経験があるのではないかと思います。もし仮に、あなたにとって会社の「カルチャー」が働く上で最も重きを置く項目なのであれば、その課題を解決するために会社を立ち上げるのも1つの大きな理由となります。

他には、例えば「思想(ミッション/ビジョン)」も課題として成り立ちます。僕が所属している人材業界を事例に上げると、人材業界は「思想と利益のバランス」がよく議論されます。「利益」に注力しすぎると、転職者様のことを深く考えずに事業を行う企業になってしまい、「思想」に注力しすぎると逆に株式会社として利益を上げることが困難になってしまう。どちらに振り切り過ぎるのも適切ではないかもしれませんし、ただそれは企業の「在り方」の議論であるため、どちらが良いというわけではありません。つまり、今所属している企業の「思想」が自分にどうしてもマッチしない場合は、自分が理想とする会社を立ち上げるのもありだと思います。

ちなみに本項の「解決したい課題」は、誰しもチャレンジをしたことがない課題であったり、その課題の難易度が高いほうが求職者様にとってはワクワクするかと思います。もちろん、その課題解決をするための具体的な手法(経営戦略/事業戦略)が明瞭であることが前提にはなりますが。

 2-4. 思想(ミッション/ビジョン)

何度も繰り返し記載をして申し訳ないのですが、事業内容や思想は代表の原体験や解決したい課題に起因しています。このタイミングでミッション/ビジョンに言及するのが適切です。
ちなみにミッションとビジョンの違いも明瞭にしておきましょう。

このスライドを用いて説明することが多いのですが、スライド内に「桃太郎で表現すると」という記載がありますが、それを見ると理解しやすいかと思います。
前提論にはなりますが、もし仮にミッション/ビジョンがなければ、同じ事業を行っている企業(同業他社)と違いはありませんよね。ただ、事業内容のみならず会社の存在意義(思想)を明瞭にすることによって、その会社のカラーははっきりしてきます。これは僕の持論になりますが、ミッション/ビジョンに共鳴いただけていないと、その会社に所属する意味が薄くなってくると感じています。そして、会社が存在している理由は「ミッション/ビジョンを達成するため」と僕は定義しているのですが、非常に大事な項目になります。
話を戻すと、これまでの流れを踏まえて、このタイミングでミッション/ビジョンを研究することによって、求職者様に御社の思想がものすごく伝わりやすくなります。

 2-5. 事業内容(詳しく)

このタイミングで事業内容を詳しく説明いたしましょう。
これまでの流れで詳しく説明ができていると、事業内容の説明もより明瞭に理解することができます。なぜならば、「なぜその事業を行っているのか」を理解をしていただいたうえで事業の詳細をご説明できるからです。

例えば、スターバックスコーヒーを事例に挙げると、スターバックスコーヒーはカフェです。同業企業には、ドトールコーヒー、サンマルク、上島珈琲など多数存在していると思います。同じコーヒーショップだったとしても、「なぜやっているのか」を理解したうえで「何をやっているのか(コーヒーショップ)」を認識すると見え方が変わってきます。特に、同業企業が多ければ多いほど、有効的であると言えるでしょう。ちなみに、大胆な言い方をすると、「事業内容はミッション/ビジョンを達成するための手段に過ぎない」という表現もできます。そのため、このタイミングで事業内容を詳しく説明することが適切であるという証拠の1つになります。

 2-6. 事業戦略

前項で事業内容の説明をいたしましたが、事業内容はあくまで「今」取り組んでいることを表現しています。ただ、「ビジョン」を達成するためには、具体的にどのような戦略や戦術を考えているのかは当然ながら気になるところです。
ミッションやビジョンが「絵に描いた餅」にならないためには、具体的なロードマップが必要です。夢を語るのは誰でもできますが、具体的な手法がないと納得感がありません。また、この事業戦略が具体的であればあるほど、これまで語ってきた企業の魅力がより光輝くようになります。もちろん、事業戦略をどこまで公開できるのかという論点はあるかと思いますが、お話しできるように準備いたしましょう。

 2-7. Halfway Point、Final Point

このHalfway PointとFinal Pointは当社ポテンシャライトが作った造語です。そのため耳にしたことがない方がほとんどなのではないかと思っています。ちなみに本ブログの最も伝えたい項目はこれだったりします。
前述した「2-4. ミッション/ビジョン」の延長線上が「Halfway Point、Final Point」とご理解いただけるとわかりやすいです。ただ、ミッション/ビジョンの「延長線上」とは何なのか。むしろミッション/ビジョンは目指すべき世界観/ゴールのため、最終地点なのではないか?というご質問をいただくかもしれません。具体的な事例を交えながら説明いたします。

例えば、御社が「不動産業界の〇〇の課題を解決する」というビジョンを設定し、「不動産業界を前に進める」というミッションを設定したとします。ありきたりな、と説明するとやや失礼かもしれませんが、一般的な内容かと思います。ここで1つ考えてみていただければと思うのですが、仮にこの企業様が「不動産業界の〇〇の課題を解決」して、「不動産業界を前に進める」ことができた「後」は、不動産業界はどのような状態になっているのかをイメージしてみていただいてもよろしいでしょうか?
例えば、

- 不動産業界の市場規模が大きくなった
- 不動産業界で働く人々の生産性が上がった
- 不動産業界に活気が溢れた
- 不動産業界の残業が減った
- 不動産業界に新規事業が増えイノベーションが生まれやすくなった

などが考えられますよね。もちろんこの企業様が成し遂げたいことは「不動産業界の〇〇の課題を解決する」ことかと思うのですが、そのさらに先の未来も想像できるはずです。
もう少し視野を広げて「日本」の観点で考えてみましょう。この企業様がミッション/ビジョンを達成した暁に、

- 日本人のプライベートの時間が増える
- 日本人の家族で過ごす時間が増える
- 日本人が趣味などに没頭できる
- 日本人が仕事における新たなチャレンジができる
- 日本が活気溢れた状態になる

いかがでしたでしょうか?
ちなみに当社ポテンシャライトのFinal Pointは「日本が活気溢れる状態になる」です。当社は「Grow Up Ventures」というミッションがあるのですが、そのミッションを達成した暁には、仕事に意欲的な人が増え、その結果日本が活気溢れた状態になることを目指しています。
話を整理すると、今御社が掲げているミッション/ビジョンが既に日本や世界を視野に入れているものなのか、もしくは狭い範囲に設定しているものなのか。これはどちらでも構わないのですが、会社が存在している理由についてなるべく遠い未来まで設定できているとその会社が存在している意義を数多く語ることができ、会社の色が明瞭になり、魅力として表現しやすくなります。

 2-7の補足

少し複雑な話をします。
このHalfway PointとFinal Pointの議論を各社様としていると、回答に窮する方が多いです。ただ、それは当たり前なことだと思います。本ブログで何度も記載しておりますが、事業内容やミッション/ビジョンは直面した課題を解決するために発生していることがほとんどです。「日本に閉塞感がある」という壮大な課題を提起すると、手段(事業内容)は無数に存在してきます。会社を立ち上げて、会社を成り立たせる(売り上げを作る)ためには、身近な課題を設定しなければならない事は皆様ご理解いただけているかと思います。
そこで、このHalfway PointとFinal Pointの話を多くの方とさせていただく際に気づいたことがあります。
それは、「日本」「世界」を視野に入れたHalfway Point、Final Pointは経営者様の「原体験」が起因していることが多いです。例えば、ご両親がほぼ仕事で家におらず、寂しい思いをした。自分が地方出身で、大都市にいる子供よりも不便な思いをした。自分の周りにいる大人が仕事へのやる気がなく、大人になることに絶望していた、などです。
これらは、原体験でぼんやり感じていたことになるかと思うのですが、目の前にある皆様が所属している業界の課題を解決した暁に、潜在的に皆様が成し遂げたい世界観、日本/世界をどうしていきたいのか、という話になります。

本項は「補足」と記載いたしましたが、僕もこの仕事を長くさせていただいて、「そこまで先の未来を創造する必要はあるのか?」という問いがあることを理解しつつ、僕個人的な意見としてはあった方が良いと感じており、記載させていただきました。

 2-8. その他

これ以降に何を魅力として打ち出していくのかは、その企業様の優先順位次第かと思います。魅力として打ち出せる項目としては、

 - 働いている人
 - 福利厚生
 - 働き方
 - 会社のフェーズ
 - カルチャー
 - 成長環境

等が該当します。
会社によっては打ち出し難い項目もあるでしょうし、これは会社のジャッジになるかと思いますので、社内において検討しながらジャッジいただければ幸いです。


3. ポテンシャライトの場合

当社ポテンシャライトはどのように採用ブランディングのストーリー設計をしているのかをご紹介したいと思います。

3-1. 代表のキャリア
3-2. あるベンチャー企業との出会い(原体験)
3-3. HR×ベンチャー企業の課題
3-4. 事業内容
3-5. ミッション/ビジョン
3-6. 他HR企業が当社領域に入り込まない理由
3-7. 日本のGDPにおける実態
3-8. ポテンシャライトがやらなければならない必然性
3-9. ミッション/ビジョン達成に向けたロードマップ
3-10. 職務内容

という順番でお話をしています。少しざっくりめに書いていますがこれらの内容を粒度細かくカジュアル面談でお話するイメージです。
ちなみに本ブログのメインテーマとはずれますが、当社はカジュアル面談において会社のプレゼンテーションの時間は40分程しております。少々長く時間はとっておりますが、ストーリー立てて話しているので割と皆様楽しんでいただけている印象です。


最後に

皆さんいかがでしたでしょうか。
※当社の採用/人事組織系支援にご興味がある方はお気軽にお声掛けください。

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