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人事評価制度の運用から1年経過。人事担当者のリアルな振り返り

皆さんこんにちは。ポテンシャライトの小原です。
8/1からスタートした「Potentialight 2022 真夏のブログリレー」
今回は、2本目の発信となります!

 当社が先月に移転をして、会社として勢いがあるタイミングだからこそ、「新しいチャレンジしてみよう!」ということで暑い夏の期間に多くのメンバーが参加するブログリレーを実施することにいたしました。
スケジュールはこんな感じです。

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では、最後までご覧になっていただけると嬉しいです!

本ブログの概要

私が所属する株式会社ポテンシャライトでは、2021年4月から人事評価制度の運用を開始、1年が経過するなかで直近で二度目の評価が終了しました。

運用の振り返りが何かの参考になれば...と思い、こちらのブログに至ります。ちなみに、初回の振り返りブログにご興味ある方は以下をご覧ください。

こちらの記事では、以下の方を対象としています。

- これから人事評価制度の策定に取り組もうとしている方
- 組織課題が表出してきていて、何か施策がないか検討している方
- ポテンシャライトの人事評価制度を知りたいという方


第一回目の課題からの振り返り

前回のブログでは、評価制度を作って良かったことを3つの理由で説明させていただきました。

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その上で、残す課題を『納得感の高い適切な評価とその効率化』とし、360評価を手段として第二回では導入してみました。

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導入の結果、完璧ではないが概ね課題解決に一躍かってくれている。
といった結論を持っています。
完璧ではないが...という記載したのは以下理由からです。
・納得感について
360結果を被評価者へ非公開としました。その結果、用途は「最終評価者の意思決定の参考」となり、持つ意見の裏付けをとるための手段に着地しています。ただ、目的である「被評価者の納得感」については、形を変えてその解決に一役買ってくれています。

・効率化について
この成果は得られませんでした。理由としては以下です。
結果的に「360評価を補助機能として利用したのみで、評価フローが省略されたわけではない」ためとなります。
しかし、今回わかったこととして、最終評価者と360による同僚の評価には大きな差分がありませんでした。そのため、将来的には自己評価と360評価のみによる最終評価を行う、といった選択肢が増えました。

これらの理由により、導入自体は成功。継続的に360評価を実行していくこととしています。

第二回目の課題とは?

2022年3月末日で年度が締まり、5月で評価面談が終了しました。
その上で、第二回目の課題が幾つかあがってきました。
それらを、項目ごとに分類した結果が以下になります。

<課題一覧>
(1)評価制度
・5段階評価の各項目が定性的でわかりにくい。
・能力評価とValue評価の間に類似項目があり余計
・評価結果の算出ロジックが意図にあっていない
・成果評価がないことによる、評価結果に対して不満
(2)等級制度
・各等級定義が曖昧である。
(3)賃金制度
・賞与支払いを通じた従業員還元の財務との連携
(4)運用
・自己評価と最終評価者との間に乖離があった場合の対応不明瞭
・360評価の最後につけた質問項目の使い勝手が悪い
・評価実施者の対応メンバー数の限界 

ご覧いただいた通り、粒度の大小ありますが、それなりの数が課題としてあがってきています。前回は多めに見ても3つ程度でした。

なぜ、今回はこれだけの課題が出てきたのだろうか?

理由としては、2つあります。

・被評価者の在籍期間の長期化
・被評価者数の増加

退職者数は年々減少傾向にあり、結果的に被評価者の在籍期間が長期化しています(嬉しい限りです)。それにより、複数回の評価を受けるメンバーが増加しています。
そして、被評価者数の増加があります。
以下は従業員数の推移です。

2020年11月:10名    ・・・評価制度の作成開始
2021年3月  :12名(+2名) ・・・運用開始
2021年10月:19名(+7名) ・・・第一回目評価
2022年4月 :26名(+7名) ・・・第二回目評価

人事評価制度を作っていた時期は対象者は10名程度でしたが、第一回評価の頃には、作り始めていた頃の2倍近い対象者数の増加、直近ではおよそ3倍近い数に増えています。
これらのにより、「前提」の変化が主要因として考えています。

課題が多い。どの課題の着手から行うか?

まだまだ組織が小さいため、人事評価制度の運用は兼務で動かしています。そのため、人事評価制度という特性上、課題の全てをタイムリーに片付けることより、ある程度の慎重さをもつことのバランスを考え、緊急度と重要度によって、ステップを複数にわけ実行に移しました。以下のように、時間軸で3ステップにわけました。

<次評価から反映>
[評価]5段階評価の各項目が定性的でわかりにくい(①update)
[評価]評価結果の算出ロジックが意図にあっていない(②update)
[評価]能力評価とValue評価の間に類似項目があり無駄配点が存在
(以下は、評価者側のアップデート)
[運用]自己評価と最終評価者との間に乖離があった場合の対応不明瞭
[運用]360評価の最後につけた質問項目の使い勝手が悪い

<下半期から反映>
[評価]成果評価がないことによる、評価結果不満
[等級]各等級定義が曖昧である。

<来年度から反映>
[賃金]賞与支払いを通じた従業員還元の財務との連携
[運用]評価実施者の対応メンバー数の限界 

この様に分けて進めていきます。

その中でも今回は、「直近の改善項目事案2点」について詳細を記載します。

[評価]5段階評価の各項目が定性的でわかりにくい

1点目はタイトルの項目です。
弊社では5つのValueを設定しています。それぞれのValue評価項目はかなり主観によった判断しかできず、定性的でわかりにくい。

メンバーの声:
「5段階評価であることは理解できるが、3には該当するが2には該当しないなどがある。この場合は3で良いのでしょうか?」

「私としては、これが出来ている自負をしているが、なぜ、この評価になってしまうのでしょうか?」

こうした声をもらい改善へ向けた動きを取り始めました。
ポイントは、
「できる限り、客観性を持てる評価内容へ」
とし、文量は増えますが、できる限り双方で納得感を持ちやすい内容へとアップデートしました。

Before

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↑作成当初は一生懸命作り納得感があったものの、運用し始めて改めてみてみると、「不足あるなー」と感じてしまいますね。
After

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気をつけた点は3点でして、

・できる限り定量的に
・その期間を明らかに
・レベル1~5までの評価軸を共通に。

3点目の理由を補足すると、他項目でも同様な評価方針に枠組みを作っています。

レベル1:出来ていない状態
レベル2:経験はある状態
レベル3:定常的に出来ている状態
レベル4:他者からも認められている状態
レベル5:相対評価しても実績十分・自信も十分な状態

概ね、上記の枠に当てはめながら、他の評価項目もアップデートしています。

[評価]評価結果の算出ロジックが意図にあっていない

こちらは表を見ていただいた方が分かりやすいので、まずは以下を。

Before

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縦軸が「評価結果(高S~低D)」
横軸が「ランク」
各等級ごとに、こちらの表が存在します。
その中で、横軸のランクは仮にこの表が等級1の評価表であれば、
「等級1-1 ~ 等級1-6」
に位置するメンバーの評価点をS~Dランクに割り振ります。
ここでは、どのランクでも得点が同じであることが確認いただけるかと思います。

After

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こちらの表では、ランクがあがるごとに得点が2点ずつあがっていることをご確認いただけます。

つまり、これまでの評価点はランクが上がっても基準が変わりませんでした。これからは、ランクがあがれば、S評価をもらえる基準も比例してあがる、といった仕様にアップデートされました。

こちらは、気づいてみると至って普通なことではあるのですが、これまで気にならずに運用しており、今回の評価を通じ
「あれ、前回から目立った成長は感じないけど、評価的にはSランクになってる。」
という振り返りから顕在化しました。
こうして、
「現状維持ではランクはあがることはなく、"+2点分の成長"がなければランクをあげることが出来ない」
といった、あるべき状態になりました。

まとめ

第二回では、9つの課題が顕在化しました。
それらを「緊急度と重要度」にわけて解決する流れへ。
その中では、以下2点のアップデートを中心の取り組みをもって今年度、上半期の評価の実施となっています。

[評価]5段階評価の各項目が定性的でわかりにくい
[評価]評価結果の算出ロジックが意図にあっていない


最後に

人事評価制度の運用第2回の振り返り内容はいかがでしたでしょうか?
回を重ねるごとに、ポテンシャライトらしい評価制度に近づいてきている手応えを既に感じています。
「人事評価制度は作るのは簡単、運用からがスタート」
こんな話を運用前には耳にしていましたが、本当にこれです。
組織が大きくなってからでは影響範囲が大きく改善・運用コストが非常に高くついてくると思います。
二回目を通じて、評価制度こそスモールスタートで早めに導入し、テスト回数を増やしていくことをお勧めします。

同じような悩みを抱えるご担当者の方を心から応援しています!

参考資料

組織設計概論: 戦略的組織制度の理論と実際(書籍/Amazonへ飛びます)
人事制度ハンドブック(有料級Blog)




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