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サッカー日本代表の現在のポジションをCL出場クラブから検証してみた

はじめに


ワールドカップ2022カタール大会まであと5か月。出場32カ国もようやく全て出揃い、本番を迎える雰囲気が整いつつある。巷では「日本史上最強」の呼び声高い現在の日本代表であるが、その言い回しは「これで監督さえ良ければ」等という監督批判とセットの文脈で用いられる場面が少なくない。しかし強さ弱さとは相手あっての相対的なものであり、日本史上最強=必ずしも世界と伍していけるという訳では無いのも事実だ。

そこで現在の日本代表がどれだけ世界と戦っていけるだけの実力があるのか、「ヨーロッパチャンピオンズリーグ(以下CL)出場クラブに所属する選手」という指標を元に検証していきたいと思う。

言うまでも無くCLはヨーロッパ最高峰のカップ戦であり、各国リーグの上位が一堂に会したそれは世界最高峰のカップ戦と言い換えることも出来る。そしてそこに出場するクラブに所属しているということは、レギュラー・サブ問わずその選手が世界でもトップクラスの実力を兼ね備えているということに他ならない。

「彼を知り己を知れば百戦危うからず」とは孫子の言葉だが、CL出場クラブに各国代表選手がどれだけ所属しているのかを知ることは、彼我の戦力差を客観的に明らかにする上で一定の根拠となると思う。その上で、日本の現在の本当のポジションを明らかにしていきたい。

※結論だけ知りたいという人は、ルールとランキングを見て下さい。

ルール

①2022-23シーズンCL出場クラブ

現在2021-2022シーズンの各国リーグ戦及び欧州カップ戦の結果を元に、2022-23シーズンの出場32チーム中26チームが決定している。そのクラブを「グループ①」と呼ぶ。該当は以下の通り。

イングランド:マンチェスター・シティ、リヴァプール、チェルシー、トッテナム
スペイン:レアル・マドリード、バルセロナ、アトレティコ・マドリード、セビージャ
イタリア:ACミラン、インテル、ナポリ、ユベントス
ドイツ:バイエルン、ドルトムント、レヴァークーゼン、ライプツィヒ、フランクフルト
フランス:PSG、マルセイユ
ポルトガル:ポルト、スポルティング・リスボン
オランダ:アヤックス
ベルギー:クラブ・ブルージュ
オーストリア:ザルツブルグ
スコットランド:セルティック
ウクライナ:シャフタル・ドネツク

四大リーグから上位4クラブとそれに続くリーグの上位クラブ・優勝クラブが該当する。なお、フランクフルトはヨーロッパリーグ優勝による出場枠での出場となる。

②2022-23シーズンCLプレーオフ・予選3回戦クラブ

続いてCLプレーオフおよび予選3回戦からの出場が決定しているクラブだ。これを「グループ②」とし、該当は以下の通り。

プレーオフ
トラブゾンスポル(トルコ)
コペンハーゲン(デンマーク)

3回戦
アポロン・リマソール(キプロス)、レッドスター(セルビア)
モナコ(フランス)、ベンフィカ(ポルトガル)
PSV(オランダ)、サンジロワーズ(ベルギー)、シュトゥルム・グラーツ(オーストリア)、レンジャース(スコットランド)

上位リーグの3位あるいは2位と、中堅リーグの優勝クラブがここに該当する。「欧州トップクラス」と言えるのはここまでだと思うので、予選2回戦以下からの出場チームに関しては今回の検証の対象とはしていない。

③2021-22シーズンCL出場クラブ

最後に、2022-23シーズンの出場クラブではないが、昨シーズン(2021-22シーズン)は出場していたクラブを「グループ③」とする。残念ながら今シーズンのCL出場は叶わなかったものの、その実力自体は昨季CLに出場している通り何ら疑われるべきものではない。該当クラブは以下の通り。

ヴォルフスブルク(ドイツ)、ビジャレアル(スペイン)、リール(フランス)、ゼニト・サンクトペテルブルク(ロシア)、ベシュクタシュ(トルコ)、アタランタ(イタリア)

以上の3グループに、各国代表選手がどれだけ所属しているかを一言感想とあわせて検証していく。なお出場国の選手については、ワールドカップのデータベース様のサイトを参考に、直近の親善試合・ヨーロッパネイションズリーグ等の出場選手に基づき検証している。

グループA

カタール

グループ① 0人
グループ② 0人
グループ③ 0人
合計 0人

のっけからこれである。CLどころか国外選手もおらず、全て国内リーグのアル・サッド、アル・ガラファ、アル・ドゥハイル、アル・ワクラ、アル・ラーヤンのいずれかに所属する。お国事情というのもあるのかもしれないが、国内選手のみというのはホームアドバンテージを抜きにしても非常に厳しいと言わざるをえない。

エクアドル

グループ① 1人
ピエロ・インカピエ(レヴァークーゼン)

グループ② 0人

グループ③ 1人
ペルピス・エストゥピニャン(ビジャレアル)
合計2人

今年のゴールデンボーイ候補100人に選ばれたインカピエと、久保建英の元同僚エストゥピニャンが該当。

セネガル

グループ① 7人
エドゥアール・メンディ(チェルシー)
アブドゥ・ディアロ(PSG)
フォデ・パロ・トーレ(ACミラン)
カリドゥ・クリバリ(ナポリ)
パプ・ゲイェ(マルセイユ)
イドリサ・ガナ・ゲイェ(PSG)
サディオ・マネ(リヴァプール)

グループ② 0人

グループ③ 1人
ブライェ・ディア(ビジャレアル)
合計8人

いずれ劣らぬ大物揃い。しかもポジションに偏りが無くバランスが良いので、グループリーグの突破状況では台風の目になるかもしれない。

オランダ

グループ① 13人
ユリエン・ティンバー(アヤックス)、ディリー・ブリント(アヤックス)、ステファン・デ・フライ(インテル)、デンゼル・ダンフリース(インテル)、マタイス・デ・リフト(ユベントス)、ナタン・アケ(マンチェスター・シティ)、フィルジル・ファン・ダイク(リヴァプール)、ディヴィ・クラーセン(アヤックス)、ルーク・デ・ヨング(バルセロナ)、メンフィス・デパイ(バルセロナ)、スティーヴン・ベルフワイン(トッテナム)、ノア・ラング(クラブ・ブルージュ)、スティーヴン・ベルハイス(アヤックス)

グループ② 2人
ヨルダン・テゼ(PSV)、コーディ・ガクポ(PSV)

グループ③ 2人
ハンス・ハテブール(アタランタ)、トゥーン・コープマイネルス(アタランタ)

合計 17人

つよい(こなみ)。所属クラブの殆どがただCLに出場というだけでなく、そこから決勝トーナメント、更には優勝を狙えるクラブというのもメンツの豪華さを物語る。

グループB

イングランド

グループ① 11人
リーズ・ジェームズ(チェルシー)、カイル・ウォーカー(マンチェスター・シティ)、ジョン・ストーンズ(マンチェスター・シティ)、アレクサンダー・アーノルド(リヴァプール)、フィカヨ・トモリ(ACミラン)、ジュード・ベリンガム(ドルトムント)、メイソン・マウント(チェルシー)、ハリー・ケイン(トッテナム)、フィル・フォーデン(マンチェスター・シティ)、ラヒーム・スターリング(マンチェスター・シティ)、ジャック・グリーリッシュ(マンチェスター・シティ)

グループ② 0人

グループ③ 0人

合計11人

意外にもオランダよりも少ない結果に。所属選手が世界最高峰の自国リーグに集中していることが原因か。それでも強いことには変わりない。

イラン

グループ① 2人
サンダル・アズムン(レヴァークーゼン)
メフディ・タレミ(ポルト)

グループ② 0人

グループ③ 0人

合計 2人

いつものアズムン、タレミの強力二枚看板は健在。この後に続く選手が望まれるところ。

アメリカ

グループ① 7人
ザック・ステッフェン(マンチェスター・シティ)
キャメロン・カーター・ヴィッカース(セルティック)
マリク・ティルマン(バイエルン)
タイラー・アダムズ(ライプツィヒ)
ウェストン・マッケニー(ユベントス)
クリスチャン・プリシッチ(チェルシー)
ブレンデン・アーロンソン(ザルツブルク)

グループ② 1人
ティモシー・ウェア(リール)

グループ③ 0人

合計 8人

やはり各所に粒ぞろいの選手を擁する、隠れた強国の印象通りといったところ。ティモシー・ウェアはジョージ・ウェアの息子。

ウェールズ

グループ① 4人
ジョー・ロドン(トッテナム)
ベン・デイヴィス(トッテナム)
ネコ・ウィリアムズ(リヴァプール)
ギャレス・ベイル(レアル・マドリード)

グループ② 0人

グループ③ 1人
アーロン・ラムジー(レンジャース)

合計 5人

FIFAランキング(18位)の割には意外と多くない。選手の多くがプレミア所属という選手層の平均の高さによるものか。

グループC

アルゼンチン

グループ① 14人
リサンドロ・マルティネス(アヤックス)、ニコラス・タグリアフィコ(アヤックス)、クリスティアン・ロメロ(トッテナム)、ゴンサロ・モンティエル(セビージャ)、マルコス・アクーニャ(セビージャ)、エセキエル・パラシオス(レバークーゼン)、パプ・ゴメス(セビージャ)、ロドリゴ・デ・パウル(A・マドリード)、アンヘル・コレア(A・マドリード)、アンヘル・ディ・マリア(PSG)、リオネル・メッシ(PSG)、ラウタロ・マルティネス(インテル)、パウロ・ディバラ(ユベントス)、ホアキン・コレア(インテル)

グループ② 1人
ニコラス・オタメンディ(ベンフィカ)

グループ③ 4人
ファン・ムッソ(アタランタ)、ヘロニモ・ルジ(ビジャレアル)、ファン・フォイス(ビジャレアル)、ジオバニ・ロ・チェルソ(ビジャレアル)

合計 19人

優勝候補ってこうですよねと言わんばかりのメンツ。それ以上に言うことが無い。

サウジアラビア

グループ① 0人
グループ② 0人
グループ③ 0人

国内リーグオンリー国家その2。ちなみに2021-22シーズンのサウジアラビアのトップリーグには「アル」の付かないクラブが16クラブ中2クラブ存在する。

メキシコ

グループ① 3人
エドソン・アルバレス(アヤックス)
エクトル・エレーラ(A・マドリード)
ヘスス・マヌエル・コロナ(セビージャ)

グループ② 1人
エリック・グティエレス(PSV)

グループ③ 0人

合計 4人

実績の割にあまりパッとしない人数。でもグループリーグはキッチリと突破してくるという国。逆に言うとベスト8の壁もこの辺りにあるのだろうか。

ポーランド

グループ① 4人
ポイチェフ・シュチェスニー(ユベントス)
ピオトル・ジエリンスキー(ナポリ)
ロベルト・レヴァンドフスキ(バイエルン)
アルカディウシュ・ミリク(マルセイユ)

グループ② 2人
カミル・グラバラ(コペンハーゲン)
ティモテウシュ・プハチ(トラブゾンスポル)

グループ③ 0人

合計 6人

FWレヴァンドフスキとGKシュチェスニーの絶対的支柱を中心にどこまで戦えるか。中盤の主導権争いを巡ってメキシコとは良い試合をしそう。

グループD

フランス

グループ① 19人
ウーゴ・ロリス(トッテナム)、マイク・メニャン(ACミラン)、ウィリアン・サリバ(マルセイユ)、プレスネル・キンペンペ(PSG)、バンジャマン・パヴァール(バイエルン)、リュカ・エルナンデス(バイエルン)、テオ・エルナンデス(ACミラン)、イブラヒマ・コナテ(リヴァプール)、ジュール・クンデ(セビージャ)、プバカル・カマラ(マルセイユ)、マテオ・ゲンドゥージ(マルセイユ)、アドリアン・ラビオ(ユベントス)、エンゴロ・カンテ(チェルシー)、カリム・ベンゼマ(R・マドリード)、アントワーヌ・グリーズマン(A・マドリード)、キングスレイ・コマン(バイエルン)、ムサ・ディアビ(レバークーゼン)、クリストファー・エンクンク(ライプツィヒ)、キリアン・エンバペ(PSG)

グループ② 2人
オーレリアン・チュアメニ(モナコ)
ウィサム・ベン・イェデル(モナコ)

グループ③ 0人

合計 21人

つよい(こなみ)。それ以外に何か要りますか?

オーストラリア

グループ① 1人
アイディン・フルスティッチ(フランクフルト)

グループ② 0人
グループ③ 0人

合計 1人

これが大陸間プレーオフに回る国の現実。それでもペルーには勝つ。

番外:無所属 4人

多分この検証時点で一番無所属の多い国と思われる。

デンマーク

グループ① 8人
ラスムス・ニッセン・クリステンセン(ザルツブルク)
アンドレアス・クリステンセン(チェルシー)
ダニエル・ヴァス(A・マドリード)
トーマス・デラネイ(セビージャ)
ピエール・エミール・ホイビェア(トッテナム)
マルティン・ブライスワイト(バルセロナ)
ユスフ・ポウルセン(バルセロナ)
アンドレアス・スコヴ・オルセン(クラブ・ブルージュ)

グループ② 2人
ニコライ・ポイレセン(コペンハーゲン)
アンドレアス・コルネリウス(コペンハーゲン)

グループ③ 2人
ヨアキム・メーレ(アタランタ)
ヨナス・ヴィンド(ヴォルフスブルク)

合計 12人

3月末時点のFIFAランキングで11位。組み合わせ抽選の際にはこんなに高いのかと言われていたが、やはりそれが妥当と言われるだけのメンツと人数が揃っている。

チュニジア

グループ① 0人
グループ② 0人
グループ③ 0人

合計 0人

まさかの0人。そういえば最近、所属クラブの性能の差が戦力の決定的差ではないということを嫌というほど思い知らされた某国がありましたね……。ある意味この企画に最も反逆する国と言えるのかもしれない。

グループE

スペイン

グループ① 16人
ジョルディ・アルバ(バルセロナ)、エリック・ガルシア(バルセロナ)、ダニ・カルバハル(R・マドリード)、マルコス・アロンソ(チェルシー)、セサル・アスピリクエタ(チェルシー)、ガビ(バルセロナ)、セルヒオ・ブスケツ(バルセロナ)、マルコス・ジョレンテ(A・マドリード)、コケ(A・マドリード)、ロドリ(マンチェスター・シティ)、アルバロ・モラタ(ユベントス)、ダニ・オルモ(ライプツィヒ)、パブロ・サラビア(スポルティング・リスボン)、マルコ・アセンシオ(R・マドリード)、フェラン・トーレス(バルセロナ)、アンス・ファティ(バルセロナ)

グループ② 0人

グループ③ 1人
パウ・トーレス(ビジャレアル)

合計 17人

強いと分かっていても、改めてこう数字と共に示されるとよりその強さが実感できる。しかしスペインも昔と比べると国際色豊かになったなあ。

コスタリカ

グループ① 1人
ケイラー・ナバス(PSG)

グループ② 1人
ブライアン・オビエド(コペンハーゲン)

グループ③ 0人

合計 2人

ナバスナバスアンドナバス。ナバスで守って後は国内組がどこまで頑張れるか。

ドイツ

グループ① 21人
マヌエル・ノイアー(バイエルン)、ケヴィン・トラップ(フランクフルト)、ヨナタン・ター(レバークーゼン)、ベンヤミン・ヘンリヒス(ライプツィヒ)、ルーカス・クロスターマン(ライプツィヒ)、ニコ・シュロッターベルク(フライブルク)、ニクラス・ジューレ(バイエルン)、ティロ・ケーラー(PSG)、アントニオ・リュディガー(チェルシー)、ユリアン・ブラント(ドルトムント)、ジャマル・ムシアラ(バイエルン)、ヨシュア・キミッヒ(バイエルン)、レオン・ゴレツカ(バイエルン)、レロイ・サネ(バイエルン)、セルジュ・ニャブリ(バイエルン)、イルカイ・ギュンドアン(マンチェスター・シティ)、カイ・ハヴァーツ(チェルシー)、ティモ・ヴェルナー(チェルシー)、カリム・アデイェミ(ザルツブルク)、トーマス・ミュラー(バイエルン)、マルコ・ロイス(ドルトムント)

グループ② 0人
グループ③ 1人
ルーカス・ヌメチャ(ヴォルフスブルク)

合計 22人

チームバイエルンと愉快な仲間たち。書くのも嫌になるこの人数の多さは、やはり優勝候補の証。

日本

グループ① 4人
鎌田大地(フランクフルト)
南野拓実(リヴァプール)
古橋 亨梧(セルティック)
前田大然(セルティック)

グループ② 2人
三笘薫(サンジロワーズ)
堂安律(PSV)

グループ③ 0人

合計 6人

人数こそ全くいないわけではないものの、その所属クラブを見ると南野以外に4大リーグ上位からの出場クラブは無い。人数が少ない代わりにその選手が突出しているわけでもなく、人数・所属クラブともに中途半端な印象。

グループF

ベルギー

グループ① 14人
ティボー・クルトワ(R・マドリード)、シモン・ミニョレ(クラブ・ブルージュ)、ブランドン・メシェレ(クラブ・ブルージュ)、ハンス・ヴァナケン(クラブ・ブルージュ)、アレクシス・サーレマーケルス(ACミラン)、アクセル・ヴィツェル(ドルトムント)、トーマス・ムニエ(ドルトムント)、ドルガン・アザール(ドルトムント)、ヤニック・フェレイラ・カラスコ(A・マドリード)、ケビン・デ・ブライネ(マンチェスター・シティ)、エデン・アザール(R・マドリード)、ロメル・ルカク(チェルシー)、ドリエス・メルテンス(ナポリ)、シャルル・デ・ケテラエル(クラブ・ブルージュ)

グループ② 1人
ヤン・ヴェルトンゲン(ベンフィカ)

グループ③ 3人
クーン・カステールス(ヴォルフスブルク)
アマドゥ・オナナ(リール)
ミチー・バチュアイ(ベシュクタシュ)

合計 18人

4年を経ても相変わらずのこの陣容。日本がグループリーグを突破出来たとして、このグループの突破国と戦うことになるのだが……。

カナダ

グループ① 3人
ステファン・エウスタキオ(ポルト)
アルフォンソ・デイヴィス(バイエルン)
ダジョン・ブキャナン(クラブ・ブルージュ)

グループ② 1人
ミラン・ボージャン(レッドスター)

グループ③ 3人
アティバ・ハッチンソン(ベシュクタシュ)
ジョナサン・デイヴィッド(リール)
サイル・ラリン(ベシュクタシュ)

合計7人

今大会のダークホースになり得る存在と目されているが、ダークホースというのは強すぎてもいけないし弱すぎてもいけない。その意味で人数・所属クラブともになるほどまさにダークホースと呼ぶに相応しい陣容といえる。

モロッコ

グループ① 7人
ヤシン・ブヌ(セビージャ)
ヌサイル・マズラウィ(バイエルン)
アクラフ・ハキミ(PSG)
アイメン・バルコク(フランクフルト)
ユセフ・エン・ネシリ(セビージャ)
ムニル・エル・ハダディ(セビージャ)
アミール・アリ(マルセイユ)

グループ② 1人
アデル・ターラブト(ベンフィカ)

グループ③ 0人

合計 8人

ハリルホジッチ監督が何かと今回もトラブルを起こしているモロッコ。ただ、メンツ自体は各ポジションにCL出場クラブ所属の選手を揃えバランスが良い。監督が上手く嚙み合いさえすれば、本当のダークホースはこの国になるかもしれない。

クロアチア

グループ① 12人
ヨシプ・ユラノビッチ(セルティック)、ドゥイェ・チャレタ・ツァル(マルセイユ)、マリン・ポングラリッチ(ドルトムント)、ヨシュコ・グヴァルディオル(ライプツィヒ)、ヨシプ・スタニシッチ(バイエルン)、シメ・ヴルサリコ(A・マドリード)、ルカ・スチッチ(ザルツブルク)、マルセロ・プロゾビッチ(インテル)、マテオ・コヴァチッチ(チェルシー)、ルカ・モドリッチ(R・マドリード)、イヴァン・ペリシッチ(インテル)

グループ② 2人
ドマゴイ・ヴィダ(ベシクタシュ)
ボルナ・バリシッチ(レンジャース)

グループ③ 1人
マリオ・パシャリッチ(アタランタ)

合計 15人

やはり前大会準優勝は伊達ではない。もはや優勝候補の一角として数えても何ら問題はないことが数字からも伺い知ることが出来る。

グループG

ブラジル

グループ① 15人
アリソン・ベッケル(リヴァプール)、エデルソン・モラレス(マンチェスター・シティ)、マルキーニョス(PSG)、アレックス・サンドロ(ユベントス)、ダニーロ(ユベントス)、チアゴ・シウヴァ(チェルシー)、エデル・ミリトン(R・マドリード)、ダニエウ・アウベス(バルセロナ)、ファビーニョ(リヴァプール)、カゼミーロ(R・マドリード)、ネイマール(PSG)、ヴィニシウス(R・マドリード)、ロドリゴ(R・マドリード)、マテウス・クーニャ(A・マドリード)、ガブリエウ・ジェズス(マンチェスター・シティ)

グループ② 0人
グループ③ 0人

合計 15人

文字に書き起こしてみると改めて溜息しか出て来ない。単にCL進出というだけでなく、その中で優勝を目指すクラブの主力中の主力達。そりゃあやっぱり世界1位にランキングされるだけのことはある。

セルビア

グループ① 7人
マルコ・ドミトロビッチ(セビージャ)
ドゥシャン・タディッチ(アヤックス)
マルコ・グルイッチ(ポルト)
ネマニャ・グデリ(セビージャ)
フィリプ・コスティッチ(フランクフルト)
ルカ・ヨビッチ(R・マドリード)
ドゥシャン・ヴラホビッチ(ユベントス)

グループ② 3人
ミレ・スヴィラル(ベンフィカ)
ストラヒニャ・エラコビッチ(レッドスター)
ネマニャ・ラドニッチ(ベンフィカ)

合計 10人

同じバルカン半島のクロアチア程では無いが、こちらも多くのタレントが揃っている。強いて言えばDF陣が弱いか。

スイス

グループ① 4人
グレゴール・コベル(ドルトムント)
マヌエル・アカンジ(ドルトムント)
ノア・オカフォー(ザルツブルグ)
ジブリル・ソウ(フランクフルト)

グループ② 2人
イヴォン・ムヴォゴ(PSV)
ハリス・セフェロビッチ(ベンフィカ)

グループ③ 3人
ケヴィン・ムバプ(ヴォルフスブルク)
レナト・シュテッフェン(ヴォルフスブルク)
レモ・フロイラー(アタランタ)

合計9人

ザ・中堅国。突出した選手がいない代わりに平均が高く穴の少ないまさに中堅国の鑑。FIFAランキング14位というのもこれはこれで納得であり、日本が次のステップへの目標としたい国の一つ。セルビアとは実力伯仲の良い試合が期待できそう。

カメルーン

グループ① 3人
アンドレ・オナナ(アヤックス)
アンドレ・フランク・ザンボ・アンギサ(ナポリ)
エリック・シュポ・モティング(バイエルン)

グループ② 0人

グループ③ 1人
ジョルジュ・ケヴィン・エンクドゥ(ベシュクタシュ)

合計 4人

正直他の3カ国と比べると見劣りすると言わざるをえない選手層。セルビアとスイスはここでは勝ち点を落とせない。

グループH

ポルトガル

グループ① 14人
ディオゴ・コスタ(ポルト)、ペペ(ポルト)、ヌーノ・メンデス(PSG)、ダニーロ・ペレイラ(PSG)、ラファエル・ゲレイロ(ドルトムント)、ジョアン・カンセロ(マンチェスター・シティ)、ヴィティーニャ(ポルト)、オタビオ(ポルト)、マテウス・ヌネス(スポルティング・リスボン)、ジョアン・パリーニャ(スポルティング・リスボン)、ベルナルド・シウバ(マンチェスター・シティ)、ディオゴ・ジョタ(リヴァプール)、アンドレ・シウバ(ライプツィヒ)、ラファエル・レオン(ACミラン)

グループ② 0人
グループ③ 0人

合計 14人

人数・所属クラブともに充実の陣容。これに加えてC・ロナウド(マンチェスター・ユナイテッド)というジョーカーがこのリストには入っていないという事実も忘れてはいけない。

ガーナ

グループ① 3人
デニス・オドイ(クラブ・ブルージュ)
モハメド・クドゥス(アヤックス)
アブドゥル・ファタウ・イサハク(スポルティング・リスボン)

グループ② 0人
グループ③ 0人

合計 3人

先の親善試合で日本を相手に結果が出なかったのもある意味納得という感じ。比較的恵まれたグループに入っているが、それでもグループリーグ突破は厳しいか。

ウルグアイ

グループ① 6人
セバスティアン・コアテス(スポルティング・リスボン)
ホセ・マリア・ヒメネス(A・マドリード)
ロナルド・アラウホ(バルセロナ)
マヌエル・ウガルテ(スポルティング・リスボン)
マティアス・ベシーノ(インテル)
フェデリコ・バルベルデ(R・マドリード)

グループ② 1人
ダルウィン・ヌニェス(ベンフィカ)

グループ③ 0人

合計 7人

グループ内ではポルトガルに次ぐ二番手と言える陣容だが、二位で通過した場合ベスト16でほぼ確実に当たると思われるブラジルと比較するとやはり1歩も2歩も見劣りして見える。

韓国

グループ① 1人
ソン・フンミン(トッテナム)

グループ② 0人
グループ③ 0人

合計 1人

FCソン・フンミンの一言。FCナバスのコスタリカのFW版と考えると面白い。中盤から後ろがほぼJリーグ・Kリーグ連合なので、ある意味Jリーグ・Kリーグのクラブとしての立ち位置を知ることができそうで興味深い。

各種ランキング

以上、グループA~Hまでの所属選手が揃ったところで、各種ランキングを見ていきたいと思う。

グループ①の人数


1位 ドイツ 21人
2位 フランス 19人
3位 スペイン 16人
4位 ブラジル 15人
5位 アルゼンチン、ベルギー、ポルトガル 14人
8位 オランダ 13人
9位 クロアチア 12人
10位 イングランド 11人
11位 デンマーク 8人
12位 セルビア、セネガル、アメリカ、モロッコ 7人
16位 ウルグアイ 6人
17位 スイス、ポーランド、日本、ウェールズ 4人
21位 カナダ、メキシコ、カメルーン、ガーナ 3人
25位 イラン
26位 エクアドル、コスタリカ、オーストラリア、韓国 1人
30位 カタール、サウジアラビア、チュニジア 0人

①~③合計の人数


1位 ドイツ 22人
2位 フランス 21人
3位 アルゼンチン 19人
4位 ベルギー 18人
5位 スペイン、オランダ 17人
7位 ブラジル、クロアチア 15人
9位 ポルトガル 14人
10位 デンマーク 12人
11位 イングランド 11人
12位 セルビア 10人
13位 スイス 9人
14位 セネガル、アメリカ、モロッコ 8人
17位 ウルグアイ、カナダ 7人 
19位 日本・ポーランド 6人
21位 ウェールズ 5人
22位 メキシコ、カメルーン 4人
24位 ガーナ 3人
25位 イラン、エクアドル、コスタリカ 2人
28位 オーストラリア、韓国 1人
30位 カタール、サウジアラビア、チュニジア 0人

合計人数ではイングランドがベスト10から漏れるのは面白い。そしてドイツ・スペインはやはり最上位に位置している。日本は合計では19位となっている。

終わりに

今回「CL出場クラブに所属する選手の人数」というトピックに焦点を当てて検証してきたが、上はチームが1つ2つ組めてしまうところから下は0人まで、出場国の中でも想像以上の格差があることが浮き彫りとなった。

その中で日本は合計で19位というポジションに位置しているわけだが、その所属クラブを見ると他の国と比較してあまりパっとしない印象を受けた。セルティックやサンジロワーズはCLという舞台ではどちらかというと刈られる側の立場で、決勝トーナメントを目指していけるクラブではない。例えばウルグアイとは合計人数で1人しか差が無いが、その中身を見てみるとその質の差は歴然としている。

そうして見た場合、やはり国別の感想でも書いたように日本は他国と比べると質(所属クラブ)・量(人数)ともに中途半端という印象にならざるを得ない。確かに多くの欧州組が軒を連ね「日本史上最強」とも言われる現代表だが、あくまでそれは「当社比」のものであることに留意しなければならない。

実際のところこれでベスト8に行けるかと言われると、上記ランキングを見る限り、監督や組み合わせという要素以前にそもそもそも今の戦力的にはかなり厳しいというのが率直なところではないだろうか。個人的にベスト8という目標を掲げることで、選手・ファン・メディア共々日本中が「ベスト8を目指すに相応しい実力を兼ね備えている」という暗示に囚われているような気がしてならない。

もちろんCL出場クラブへの所属が全てという訳ではない。しかし実際問題としていわゆる優勝候補として挙げられるポット1のグループはいずれもCL出場クラブ所属に人数が2桁を超えている。そしてその殆どが控えではなく所属クラブの主力としてプレーしているのも事実だ。

上のランキングでも分かる通り日本は人数でも19位タイ、それも絶対的なワールドクラスの選手がいる訳では無い。人数が少なければ少ない程、その選手が絶対的選手である、あるいは他の選手の平均が高いこと等が必要になる。そして何より一番必要なのは組み合わせに恵まれるという運要素だ。突破の為の組み合わせを気にしなければならないという点で、まだまだ日本はベスト8以前にグループリーグ突破を目指す側の国と言えるだろう。

現実の目標としてベスト8を目指すのであればやはり2桁人数、それも4大リーグ上位のストレートイン出来るクラブ所属の選手がそれぐらいは欲しい。そうした選手達で1チーム組める程のスカッドを日本が持てるようになった時、ベスト8、あるいはそれ以上の高みが現実として見えてくるのではないだろうか。

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