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「シン・ウルトラマン」面白くないけど大好き!ってあるじゃないですか、どうですかね


#ネタバレ

2年前の今日が公開日であったとのことで、当時の書き殴りを投稿しておきます
映画の魅力ってやっぱり、一面的には語れない部分が本当にたくさんあると思う、何度も観たけどこれ面白いのかと改めて問われたら分かんない

確かこれ書いたあとに4DXでも鑑賞して、荒めの画質と小さいスクリーンがむしろテレビ的で良かったり、怪獣にしっかり恐怖を覚えたりできて最高だったことをよく覚えている





面白かった〜〜!!!いやはやとてつもない満足感…

純然たる庵野、オタクの奔放なイマジネーションがギチギチに詰め込まれつつクールなまとまりで安心しかない、でもやっぱりよく分かんない妙な映画でもあり

保護者のような目線でニヤニヤしながら子ども心をわしづかみにされた、シンだった







まず個人的に年始ごろ初めてエヴァの新劇場版4作をしっかり観て、あまりの面白さに即2周したしシン・ゴジラも観直したしっていう急速な沼落ちをした上での今回で、作品数で言えばまだ全然追えてない作品の方が多いけれども
ゴジラほどじゃないけど随所にエヴァというか庵野を垣間見る楽しい時間でもあったな〜



体感としては、ちょうどエヴァの新劇場版4作を通して描かれた高揚と絶望と希望、みたいなものを全部ぎっちり盛り込むような話になってたと感じた
もちろんそんなに単純な構想じゃないことは承知の上だけど!ネロンガとガボラまでが序、ザラブが破、メフィラスがQ、ゼットンがシンみたいな大枠




それからシン・ゴジラがとにかく国民誰でも楽しめるレベルで普遍的な恐怖と希望の話になってたことを踏まえると、今回は見た目こそ似てるけどむしろ対極ですらあるというか

初代への強い強いリスペクト、あとトレースとアレンジの絶妙な塩梅とかっていうあたりはシン・ゴジラとも共通してる方向性だと思うけど


シン・ゴジラが災害シミュレーション映画としての徹底したリアリティを持ってたのに対して今回は明らかにフィクション性の強調、昭和特撮の軽くてやぼったい空気感をそのまま受け継ぐ演出の数々、もはやリアリティとは明らかに距離を置いてる部分が多くて

その意味でこれ誰でも楽しめるかって言うと微妙なバランスだとは思う…
私は初代を子どもの頃から知ってたのでオタク的な細かいニヤニヤ要素をかなり受け取れたと思うんだけど、まっさらで観たらどうなんだろこれ、詰め込みすぎでキャラクターの掘り下げとか中途半端な部分は多いし



でもこれ、シン・ゴジラの大成功を受けて引き続き国民的な娯楽超大作を期待されてる現状にあって、ここまで堂々と軽やかなオタク丸出しの一本を作っちゃった!っていう思い切りの良さが個人的にはかなり嬉しかった、背負いすぎずしっかり狭い需要に応えてくれたというか



ウルトラマンのデザインとか動きもけっこう異物っぽさ強めで、なんかヌメっとしてたり人間には不可能な動きをするのがむしろ合理的だったりするから余計に気持ち悪い
パッと見で明らかにヒーローだとは思いづらいこのバランスが逆に良いよな〜と思ったり

ディティールの話をすればもうそれこそ夜が明けるまで全部語れる、オープニングから最高すぎたし!!
敵にビビるネロンガの実在感、ガボラの理にかなった生体システム、文字通りペラッペラなザラブ、話が通じてる感はあるのに誰よりも怖いメフィラス、そしてゼットン型の使徒…

特にメフィラスの人間態は大好きになってしまったな〜早く初代も観ないと!文化への適応能力がウルトラマンの比じゃないことをブランコとか居酒屋で示すクールさよ、私の好きな言葉を言いたい!!!


ガボラ戦でドリルを受け止める手の痛そうな描写が非常にエヴァ的だったりとか、変身の理屈とか登場ポーズの合理性とか、細かい理由づけもいちいちニヤニヤだったな〜
禍特対の現代的な立ち位置にも納得、しかしテトラポットは何だったんだろう


あと音楽もね!分かりやすく作り手のスタンスを示してくれる工夫がニヤニヤだった
初代の音楽をきっちり使いつつ中盤から混ざるギラギラのエレキギター、からの気づけば荘厳なオーケストラっていうグラデーションがもう心地よくて



そして西島秀俊を筆頭に主要キャストのほとんどが棒読み傾向強めな俳優で固められてた点、これ昭和特撮の味わいって土俵だとむしろ一貫性のある演出になるから賢いな〜とも思った、それゆえ際立つ田中哲司・竹野内豊の表現力も圧巻

前半の急展開に比べてかなり鈍重になる後半についても、第三村みたいな独特の寂しさを表現する方法の一つだったとは思うし、あのカウントダウンの切れ味もね〜〜本当どこにピント合わせてるんだっていう、最高





ただエヴァでとにかく飲み込みづらかった女性描写、シン・ゴジラもそうだったけどどうも紋切り型で実在感に欠けることに加えて、そこまでしてエロい方向で強調して描かなきゃダメ?っていうのはずっとノイズで苦手で

今回もやっぱりそこは気になった、早見あかりの薄っぺらい感じも長澤まさみのマンガ的なあれこれも、そういえばシン・ゴジラの石原さとみも割とそうだったな…これを昭和の匂いってだけで片づけるなら不快極まりない


ただ今回は、その描写をアウトと思ってるかどうかの冷静な線引きもギリギリ入ってはいて、まぁ庵野作品として見れば思春期的な作家性と少しずつ距離を置こうとしてるのかな〜とは思った

でも別にいわゆるお色気とか必要ないじゃんこれってのがチクチク気になるバランスではあったな、ネットで議論になってるけど画面に映ってる尻は現実なのであって



やたら結婚指輪を強調した画が多いのも、エヴァと違って大人の話なんですよってことの表明なのかなとか考えたりもした





終わってみると話の主人公はもうはっきりウルトラマンで、自己犠牲の精神に目覚めたことで人類を守るヒーローになるっていう根本はブレずに描かれてたから安心っていうのと

一方で自分の都合とか考えによって地球に干渉するっていうスタンスは他の外星人と共通してる部分でもあって、というかザラブもメフィラスも一度はしっかり人類に受け入れられてたりもして

神か悪魔か決めるのは当事者の性質そのものではなくあくまで人々の評価、っていう冷めた視線が入ってるのが面白かったな


なおかつ光の星からやって来た完全無欠の生命体が自動的にヒーローになる話ではなく、あくまで何者になるかっていう選択の話でもあり!いいじゃないですか〜ちゃんと太い芯がある



それにしてもこの手のリメイク企画にありがちな失敗を正しく回避して、過去作から減退してる要素は何も無いんじゃないかなくらいの、ひたすら驚異的な矜持とアイデアと愛…
そりゃ着ぐるみプロレス見たい人には合わないだろうしこの世界設定ならぜひ三部作とかで観たかったけど、個人的には全方位的にお腹いっぱい大満足だった!!!


しかし庵野さん、シンゴジラで怪獣特撮の可能性を大きく広げて、シンエヴァで作家人生に大きな区切りをつけ、そして今回シンウルトラマンでまたしても特撮史に個人的かつ大胆な提案を叩きつけて


この世界が一本だけで終わってしまうのは寂しいとも思う、ここはひとつ「帰ってきたシン・ウルトラマン」でどうだろうかと希望を抱いたりしながら、いや〜今後も面白い映画をたくさん作ってほしいな

来年のシン仮面ライダーはどうなるのか全く想像できない、いやむしろ想像できる部分がありすぎるとも思う

とにかくこれほど大規模な歴史の転換点に生きてることが幸せでならない、、、次もまた必ず映画館で観る


#映画 #シンウルトラマン #庵野秀明 #感想

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