「ボーはおそれている」、何についての狂気かといえば
またしても、1ヶ月前に観て覚え書き程度のメモを残すのみにしてしまってたこれ
・やりたい放題だ
・言われてるほど狂気という感じではなく、むしろ緻密で落ち着きのある理性の塊といった印象だった、ヘレディタリーからミッドサマーを経て大長編のこれを作るというスタンスそれ自体は狂気的ではあると思う
・起きる出来事のひとつひとつは本当にめちゃくちゃなんだけど、縦軸がしっかりしてるので先が気になる程度には整然としたストーリーテリングなのがまた意地悪
・それぞれの段取りが長いという不安感
・ボートで洞窟を抜ける最後の展開は、産道のモチーフとして「生まれ変わって新しい人生を送る」ということなんだろうと思ってハッピーエンド展開に安心してたんだけど、違った
・精緻な映像と画面構成、整えられた色調はさすが
・作中の現実と妄想はもう区別どころの話じゃないし、何がどれをどう意味するのかを紐解くとかはもう関係ない気がした
・終盤のネタばらしにはさすがに驚いたけど、それも虚実の入り混じり具合にむしろ安心感すらあった
・観客への露悪というよりは、明確に親や家族という縛りに対する呪い
・これでボーにハッピーエンドが訪れてたら、こういう形での解放を肯定してしまうということにもなるからね…
・ヘレディタリーとミッドサマーが鋭い切り傷の映画だとしたらボーは鈍痛、ジャブどころじゃない柔らかな殴打を受け続けるような体験だった
・それでいて隣の部屋の爆音とか、普通に笑っちゃうところもあるので妙な魅力があったな
・ミッドサマーを劇場で観た後は、花も生肉も木造建築も全部怖くなってしまって、それはそれは不安な気持ちでしばらく過ごしたことを覚えてる
・その意味では今回トラウマ云々は全然、むしろもう一回観たい気持ちはあります
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