怪物

わたしは戻れないところまで来てしまった。
もう陸には帰れない。
貴方という海はどこまでも黒く深い。

どうしてこんなに引きずり込まれてしまうのだろう。

貴方はわたしには全く興味がないのに。

沈み切ったわたしを、貴方はいったいどうするつもりなのか。

貴方の為になら、どんな怪物にでもなれる。
でも怪物になったわたしを、貴方は知らないふりをする。

貴方はわたしに優しい言葉も態度も示してはくれない。

特別になりたいわけじゃない、でも愛されたいと思うのは私だけじゃないでしょう?

どうして本音を言ってくれないの?
どうして誤魔化すの?
どうして私を見てくれないの?

決まっている。
最初から私には一切興味がないからだ。

もう既に足の感覚は無くなってしまった。
このまま全身が貴方への思いでふやけるまで、この海で1番醜い怪物になろう。

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