【財務分析 Vol.21】会社のストーリー「PLと5つの利益」

すらまっぱぎ!うっちーです(@Life_is_UpToYou)
インドネシアからお送りいたします。

財務諸表をみればその会社がわかる。
未来分析実践活用編
Vol.21 『PL理解』

お読みいただいた後、こうなっていただけるような内容となります。

・なんとなく知っていたPLがクリアになる。
・会社の利益構造の構成がわかる。
・コスト意識が芽生える。

▶PLの基礎概念

PLはProfit & Loss Statementの略で、日本語で言うと「損益計算書」となります。
構成要素は、『収益』と『費用』のたったの二つだけです。

PLだけを切り取ってみるのであれば、「収支計算書(家計簿)」の概念に近いです。
今月の給料が『収益』そして家の家賃や水道光熱費が『費用』となります。

こう単純に捉えると簡単に考えられると思います。
『収益』・・・どのように儲けたか。
『費用』・・・儲けるために使ったお金

上の家計簿でもうちょっと具体的に表すならば、
『収益』飲食店でバイトしてお金を儲ける。⇒自らの時間を売って、対価としてのお金を収める。
『費用』しっかりとした「食事」や「寝れる場所」を確保するためにかかるお金。⇒自分の体を使ってサービスを提供するので、そのために必要となる出費

この収支計算を生み出しているのが、もともと持っているお金であったり、お金が形を変えたものを使って価値を提供することとなります。
このお金であったり、お金が形を変えたものを、正しくまとめたものが【BS】に乗ってくることになります。

そのため、PLだけをみたとしても、その会社の全体像はつかめないということを予めわかっていただけるといいかと思います。

財務三表と言われている【BS】【PL】【CS】のつながりについては別の機会で取り上げたく思います。

▶“5つの利益”

単なる収支計算(家計簿)だったら簡単そうだし見たらわかるな!と思って実際にPLを見てみたところ、ずらーっと縦長に並んでる項目群をみて「やっぱりよくわからない」と思われてしまった方もいらっしゃるかと思います。

ただこのPLには各要素に分けて、利益を5つに分類しているだけなんです。
水泳のメドレーリレーで言えば、「クロール」「背泳ぎ」「バタフライ」「平泳ぎ」それぞれのタイムのようなイメージです!
分類する理由としては、全国大会で優勝するにはどうしても「背泳ぎ」のタイムをあと10秒縮めなければいけないな、といったような『どこに手を打つべきなのか??』を明確にするためです。

それでは早速利益メドレーを見ていきましょう。

▶売上総利益

先に項目の構成を記載していきます。
【売上高―売上原価】

まず第一個目の利益は“売上総利益”通称“粗利益“です。
これが表すものはズバリ『商品付加価値力』

50円のコーヒー豆を買ってきて、550円で販売しているとしたら、
売上総利益の額は「500円」となりますね。
要するに、もともと50円だったモノに、超一流のバリスタが淹れた!とかラテアートが可愛くてインスタ映え!といったような価値を付け加える(付加)することで、稼ぎ出した利益を指します!

製造業でも同じです。
部品を買ってきて、加工によって価値を付け加えて売る。“安く買って高く売る“というビジネスの根底にある部分をはっきり映している部分と言えるでしょう。

他のスマホが1万2万円程度なのに比べ、AppleのiPhoneが10万円規模で高く売れている理由は、そのブランド付加価値に他なりません。
※ブランド価値は目に見えないものなので数字にはあがってきません。このあたりが経営×会計のつながりなどになっていておもしろいところの一つです。

▶営業利益

【売上総利益―販売費及び一般管理費】

営業利益は名前の通り『営業から利益』に他なりません!
言い換えれば、『本業からどれだけ稼げてる??』ってことです!

コーヒーを売っているのであれば、当然売る為の“場所“を確保しなければならないし、
淹れるためには水、さらに水を沸騰させるためには電気、などが必要となります。
さらには、超一流のバリスタへのお給料や新商品開発のためなど、出費を伴います。

そのため、【商品付加価値】から【営業するために必要なお金】を差し引いた【本業からの利益】ということとなります。ビジネスモデルや稼ぐ力を測られる部分ですね。

ここの費用項目には、減価償却費や貸倒引当金繰入など、すこしめんどくさい科目も出てきますが、総じて「本業と紐づいて必要になるもの」と理解していただければと思います。

ご存じStarbucksなどは、売上総利益が高く、この一般管理費が高くなっています。
どういうコンセプトや想いをもってお金を使っているかを、こういった面から推察できると、おもしろいんじゃないかと思います!!

▶経常利益

【営業利益―営業外損益】

“ケイツネ” と言われる日本において、よく大事だよーって言われてきたやつですね。
こいつは『カネ事情』を表しています。

営業外の項目に入ってくるものは、例えば「利息」「配当金」と言ったものです。
前の【Vol.17番外編CCC分析】にてキャッシュの回りをみましたが、事業をおこなっていくにはどうしも借入金などでお金を調達する必要が出てきます。
その調達したお金に紐づく収益や出費となります。

営業利益ですっごい利益を上げているのに、経常利益が全然ない?という場合は、利息を多く払っているかもしれないと推察できます。ここでも、答え合わせとしてBSを見てみると借入金の額が確かに多いな、などつながりが見れておもしろいかと思います。

“経常“と言われている理由は、利息などは一般的に周期的に起こるもので、”時が経ても常に得られる利益“と覚えてください!

▶税引前当期純利益

【経常利益―特別損益】

『事件は起きていないか』がわかります。
その名の通り、「特別」なことが起きていないかどうかということです。

「特別」とはどんなものかというと、コーヒーショップが火事で燃えてしまったとか、持っていたモノの価値が時代の流れで激減してしまって、値段を再定義しなければならない、といったようなことです。

M&Aなどを活発におこなっている会社で買った会社の価値が下がった時など、ここに計上されてきます

▶当期純利益

【税引前当期純利益―税金】
そこから、さらに税金計算にて算出された税額を払った後の『最終的な利益』はいくらでしたか??を表します。


いかがでしょうか??
世の中へ提供した価値の測定指標である【売上高】から
付加した額はいくらなのか?【売上総利益】
営業するのにはどれくらいかかって、【営業利益】
カネのやりくりにはどうなっていて【経常利益】
事件は起きていないか?【税引前当期純利益】
結果どんだけ儲かったのか【当期純利益】

というストーリー展開が利益の構成要素の姿です!言葉を難しくしているけどだけなんですね。

▶コスト意識

この構造と、この構造に占める額を「率」で表したり、グラフにて見える化するとどの要素でお金を稼いでいて、どこを改善するべきかが見えてきます。

ムダやムラを発見し、コストを抑えた経営で日本一、世界を代表する会社へと君臨している会社トヨタを代表すると、よくわかると思います。

また営業利益が平均10%な会社であれば、昇給や研究開発などの投資をおこなう際に、
「10,000円多く使うなら、その10,000円が本当に100,000円の売上に相当するかどうか??」といったような逆転の目線にて、モノの価値を測れコスト意識を体感できると思います。

~まとめ~

多くの決算書を見ると、業種によって利益構造が違ったり、その会社がどのような経営をおこなっているかなどの色が見えてきます。

私のブログ内では主に「比率分析」を使っている通り、構成要素や率での期間比較をおこなうとより多面的にPLというものを見ていけると思います。

さらにBSやCFとのつながりなどわかると、もっと立体化してくるためおもしろさが増してきます。

それはまたの機会に。。。

過去の資料である財務諸表から結果を読み取り、その原因を考え、要因分析し将来の施策を考えると、その企業の動向をつかめるようになります。

一緒に財務の観点から物事を把握できるよう頑張りましょう!


参考

財務分析項目について下記サイトがすごく便利です!是非活用してみてください。

財務諸表ハック|各種企業財務チャート、複数社比較も簡単にできるXBRL財務分析ツール
財務諸表ハックは、XBRLをベースに企業財務情報を財務分析チャート、帳票に展開するWebアプリです。
www.tukuttemiru.biz


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