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さくらいろ、春。

すっかり春だ。というよりもう夏のほうが近いかも。
今年の春は思った以上に早くて、気持ちが追いつく前に夏が来そうだ。

みんなでお花見はしなかったけど、桜は見た。
一人で見た。
去年までは会社の人と何人かで集まって、ちゃんとお花見してたんだよなぁ。
…なんて思いながら。

***

去年・一昨年と、正直とても桜を愛でられるような心境じゃなかった。

一昨年は、私が社内で唯一信頼していた上司が鬱状態になり仕事を辞める最中で、引き継ぎや人間関係で社内はゴタつき、精神的にも追い詰められながら見上げた桜は真っ黒だった。
こんなに黒い桜を見たのは、人生で初めてだ。

去年は、今度は自分が仕事を辞めるための引き継ぎ準備や、後輩に背負わせる荷の重さに一年前の自分の姿が重なり、いつまでも続く負の連鎖にすっかり辟易していた。
去年の桜も相変わらず真っ黒だった。

もう、私は黒い桜しか、見れないのかもしれない。
本気でそう思った。

***

あれからまた一年経った。

会社は辞めたけど、状況がすごく良くなったとは思っていない。

体調を崩し、寝てるだけで過ぎる一日が怖くて、泣きながらもベットから出れなかった日も少なくなかった。
感情を表に出すのが苦手で、親や友達に弱音を吐くことも結局できなかった。
仕事を辞めた本当の理由は、誰にも言えなかった。

何がやりたいのか、今もぼんやりしていて足掻くしかない現状。
何となくだけど、もう一度正社員になろうという気は起きなくてバイトばかり続けているフリーター。
4月から友達とシェアハウスをする予定だったけど、友達の仕事がゴタついた関係で結局一緒に住むことは叶わなかった。
いつかやりたいと思っていたカフェの開業も、あと一歩のところで手が届かなかった。

でも、変わらないけど、変わった一年だった。

***

たくさん足掻いた。
絵を描くことも、文を書くことも好きだったから、これだけは続けたかった。
絵本、エッセイ、漫画、小説 etc…色々作っては応募した。何にも引っかかってないけど。
それでも止める気はまだ無い。

足掻いて分かったことは、結局何にも変わってないってこと。
一発逆転にすがる自分、浅ましいなってこと。
それでも頑張ろうとする自分のことは、嫌いじゃないなってこと。

ただ、今年見上げた桜は、ほんの少しだけ、ピンクがかってた。

春の色だと、思った。


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