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勤務360日目 郵便屋になろうか迷っている人へ

長年無職の人が「郵便配達やってみようかな……いやでも不安だな……」と考えるケース、意外にあると思うんです。

10年も無職で郵便屋になったぼくが、そんなあなたの不安に関し、勝手にお答えしましょう。

・歩くことは苦ですか?

郵便屋の仕事を勘違いされている方の中に、「ずっとバイクに乗ってるから楽じゃん」という人がいます。

担当区によっては、ポストの位置が良いところばかりでめちゃくちゃ歩かなくてもいい場合もありますが、しかし宅配業務というのは、みなさん、かなり歩いているはず。

毎日一万歩は当たり前に歩いているのでは。
ぼくは毎日二万歩近く歩くこともあります。

加えて、赤カブの操作でかなり足を酷使します。
いまでこそ慣れましたが、はじめの頃はずっと足の親指の感覚がありませんでした(いまでも部分的に感覚がありません)。

少し話がずれますが、はじめの頃は必ずバイクをこかします。
キャリーボックスに信じられない量の郵便物を積むので、バランスがとれないのです。少しくらい傾けてもええやろ、とバイクを傾けると、もう戻れません。
運が悪ければ骨折もあります(入社してすぐバイクの転倒で骨折した話を聞きました)。

いずれバランスは身につきます。
ぼくはもう半年以上バイクをこかしていません。めちゃくちゃに郵便物を積んでも。

これらのことを覚悟できている方。
もう素質があります。

・歩くの嫌いじゃないけど太っているからついていける自信ない&体力に自信ない

大丈夫です。
お腹がぽっこりされている郵便屋って多いんですよ。
ぱっと見100キロありそうな人もいます。ないとは思うのですが、ありそうにみえるくらい、大きいのです。

太っていても意外とできるのです。

ただ、痩せている人のほうが圧倒的に多いのは事実です。
というかこの仕事は痩せてしまうはずなのですが。

体力の問題に関しても、続けていけば意外に慣れていきます。

・頭よくないから仕事内容や住所覚えるの無理かもしれん……

懸念です。
ぼくはこれまで何度も何度も、何度も何度も、何度も、何度も、繰り返し述べているのですが、

この仕事は誰でもやれます。

誰でもといいましたが、最低限の条件はあります。
免許を所持しており、一日5時間以上赤カブを運転できて、ギリギリ人とコミュニケーションがとれる方。

郵便屋はコミュ障が多いです。
というか配達の仕事を選ぶというのは、コミュ障が多いのでは。

そうですぼくのことです。

10年無職の引きこもりが郵便屋をやっているので、このことについてはご安心ください。

話を戻すのですが、頭のよさは皆無です。
ただ毎日出勤して言われた業務をやっていけば、おのずと覚えられます。
記憶力なんていりません。
あなたは歌をなぜ覚えていますか?
リズムがあり、歌詞の流れがあり、それを何度も耳にしたからでは。

住所は歌を覚えるように、いずれ記憶に残っていきます。
無理して覚えようとする必要はありません。

・交通事故こわい

ぼくも恐ろしいです。
これまで幾度となく万が一の瞬間に出遭いました。

あとほんの少し時間が違ったら。信号無視の車にはねとばされていた。死角から飛び出した人をはねていた。細い道を突っ切る幼稚園バスに衝突していた。そういうのがいくらでもあります。

この仕事でもっとも大事にすべきことは、交通安全です。
そう断言できます。

むしろ事故を恐れているなら、素質があります。
その恐れが安全運転につながるはず。

・40歳すぎてるからついてけんかも……

これに関してはご本人のお気持ちしだいです。
郵便屋は平均年齢がかなり高いです。40近いぼくでも、局の中では若手です。

もちろん二十代ベテラン社員も多いです。
若い社員を見ているとぶっちゃけ自分が情けなく思えていましたが、いまでは気になりません。

・夏場は地獄では……

めちゃくちゃ暑いです。
しかしぼくの局では、熱中症で倒れた人はいません。意外と耐えられるんです。
みなさんきちんと水分補給をしたり休んだりして気をつけているのだと思います。

局によりますが、空調服も黙認されています。
使っている方は割といます。

・ガチのコミュ障だから自信ない

先ほども述べましたが、この仕事はコミュ障が多いです。
昇進するにはコミュ力が必須なようですが、現場の平社員にコミュ力はいりません。

人として挨拶くらいできたらいいのは当然ですが、それすらできない人が働いています。

なので大丈夫。ご安心ください。
ある意味懐の広い会社です。


いかがだったでしょうか。
やってみようかな、という思いに少しは傾いたのでは。

けどやめておいたほうがいいですよ(??!)

やるんだったら他の宅配にしたほうがいいです。
理由はいろいろあるのですが、一番の嫌なのは「郵便物を配る学校」みたいな雰囲気が気持ち悪いところです。

これは実際に入社してみないとわからないと思うのですが、本物の会社とは違います。
無駄なことが多すぎて、しかしいずれその無駄に慣れてしまうでしょう。

あとは、配達しているもののほとんどがお客さんにとってどうでもいいものだというのも、嫌というか悲しいポイントです。
大昔は世の中にとって重要な仕事の一つだったかもしれませんが、今や配達物は企業の広告やカタログが大半。

お客さんにとって必要なものを届ける仕事のほうが、間違いなくやりがいを感じられる。
実際ぼくは、この仕事の夜勤混合(荷物配達)が気に入っています。とてもやりがいがあります。
夜勤専門でできるならやりたい。

よくも悪くも、郵便屋は「いま仕事がない人向け」です。
わざわざ郵便屋を目指して就職というのは正気の沙汰ではないので、もし身近なお子さんが「将来、郵便屋さんに、俺はなる!」と宣言したら、どうか全力で別のやりがいを見つけてあげてください。


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