俳句のいさらゐ ♦♦♦ 松尾芭蕉『奥の細道』その四。俳句の背景を、天候・疲労具合から一考する。
今回は、ある地点へたどり着くまで、その行路にどんな困難があったか、また天候が足どりにどう左右したかを探り、生まれて来た俳句とのつながりを見つめる試み。先ず取り上げる句は、『奥の細道』の旅のピークをなす平泉で詠まれた次のふたつの名句。
❖ 五月雨の降り残してや光堂
松尾芭蕉『奥の細道』より
この句を詠んだ前日は、新暦では6月28日。登米 ( とめ ) を立ち、一ノ関までの歩きと途中から馬で、終日移動である。曽良の日記から、合羽もとお