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俳句のいさらゐ

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松尾芭蕉の俳句が、上質のエピグラム(寸鉄詩)であることを探ります。
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#奥の細道

俳句のいさらゐ *◻* 松尾芭蕉『奥の細道』その三十四。「草の戸も住替る代ぞひなの…

                                   上の和歌では、すむ…

瀬戸風 凪
2週間前
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俳句のいさらゐ ⚙⋄⚙ 松尾芭蕉『奥の細道』その三十三。「行春や鳥啼 (とりなき) 魚…

鳥が啼き魚も涙を浮かべているのは、何に対してそうなのかと問えば、行く春に、ということにな…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ◪☆◩ 松尾芭蕉『奥の細道』その三十二。「田一枚植て立ち去る柳かな…

この俳句の要点は、ひとことで言えば余情である。次に向けて歩み始め、振り返った一瞬の名残り…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ◎✴◎ 松尾芭蕉『奥の細道』その三十一。「木啄も庵はやぶらず夏木立…

啄木鳥 ( きつつき ) は、あたかも門を敲 ( たた ) くようだ、という比喩は、漢詩では好まれて…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ∞✭∞ 松尾芭蕉『奥の細道』その三十。「早苗とる手もとや昔しのぶ摺…

先ず、前文の「さもあるべき事にや」に注目しよう。 文字摺り石があるばかりに、それを見に来…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ☮♓☮ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十九。「月清し遊行の持てる砂の上…

この俳句で最もクローズアップされているのは何か、という問いを投げかければ、見方によりいく…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ⋄♾⋄ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十八。「風流の初めやおくの田植うた」

「風流の初めやおくの田植うた」の須賀川の章を読むと、道行き文を連想する。道行き文の典型は、『平家物語』に見ることができる。 『平家物語』巻第十 「海道下(かいだうくだり)」を例に引く。 たどり行く順に過ぎる土地の名、名所の名を並べ、調子を整えて、文に勢いをつけるのが道行き文である。 芭蕉が、須賀川の下りで道行き文を思わせるような書き出しにより、「風流の初めやおくの田植うた」につなげているのは、次のことを意図しているのだろう 田植うたが、道行唄であったとは思わないが、芭蕉は田

俳句のいさらゐ ❁✣❁ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十七。「石山の石より白し秋の風」

「石山の石より白し秋の風」は、現在石川県小松市の那谷寺での吟。 『奥の細道』の旅のあと、…

瀬戸風 凪
2か月前
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俳句のいさらゐ ◈✇◈ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十六。「蛤のふたみにわかれ行秋ぞ…

「蛤のふたみにわかれ行秋ぞ」をもって、『奥の細道』は閉じられる。先ずはこの俳句の技巧を見…

瀬戸風 凪
2か月前
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俳句のいさらゐ ❀◌❀ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十五。「浪の間や小貝にまじる花の…

これは、私独自の見解だろうと思っているが、敦賀の種の浜で詠んだこの俳句は、象潟のおとない…

瀬戸風 凪
2か月前
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俳句のいさらゐ ∔✴∔ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十四。「夏山に足駄を拝む首途 ( …

『奥の細道』の俳句の特徴として、物に魂がこもる、あるいは霊験が宿ると信じる思想が、かいま…

瀬戸風 凪
2か月前
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俳句のいさらゐ 🏳✍🏳 松尾芭蕉『奥の細道』その二十三。「蚤虱馬の尿 (ばり) する枕…

今回は、私の解釈の結論から言う。 この俳句の主題は、馬の尿の音である。よって、「尿」の読…

瀬戸風 凪
2か月前
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俳句のいさらゐ ∮⦿∮ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十二。「松島や鶴に身をかれほとと…

この俳句の「ほととぎす」の受け止め方には、異なる次の解釈が出来る。 一。 聞き止めたその…

瀬戸風 凪
2か月前
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俳句のいさらゐ ☬◙☬ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十一。「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」

湯殿山での吟、「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」は、さっと読み飛ばされてしまう俳句だろう。句の姿は伝統的に、端正に整っているから、つまらない俳句に見えて来る。 湯殿山神社を参拝した者は、掟として見たさまを語ることは許されない。今その秘儀を賜っているありがたさに涙がこぼれる、という意味だと諸本は解釈している。 しかし私には、そういう、説明に堕しかねないことを詠んでいるだけなのかという疑問が大いにわく。 その疑問を持って俳文の方を詠むと、参道の山道で遅桜の花に心を奪われたこと、その