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俳句のいさらゐ

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松尾芭蕉の俳句が、上質のエピグラム(寸鉄詩)であることを探ります。
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#奥の細道

俳句のいさらゐ ∔✴∔ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十四。「夏山に足駄を拝む首途 ( …

『奥の細道』の俳句の特徴として、物に魂がこもる、あるいは霊験が宿ると信じる思想が、かいま…

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俳句のいさらゐ 🏳✍🏳 松尾芭蕉『奥の細道』その二十三。「蚤虱馬の尿 (ばり) する枕…

今回は、私の解釈の結論から言う。 この俳句の主題は、馬の尿の音である。よって、「尿」の読…

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俳句のいさらゐ ∮⦿∮ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十二。「松島や鶴に身をかれほとと…

この俳句の「ほととぎす」の受け止め方には、異なる次の解釈が出来る。 一。 聞き止めたその…

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俳句のいさらゐ ☬◙☬ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十一。「語られぬ湯殿にぬらす袂か…

湯殿山での吟、「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」は、さっと読み飛ばされてしまう俳句だろう。句…

瀬戸風 凪
11日前
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俳句のいさらゐ ◬∬◬ 松尾芭蕉『奥の細道』その二〇。「あつみ山や吹浦かけて夕すゞ…

「あつみ山」は、漢字表記では温海山。わかった上でひらがな表記にしているはずだ。その理由は…

瀬戸風 凪
2週間前
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俳句のいさらゐ ◈∔◈ 松尾芭蕉『奥の細道』その十九。「笠嶋はいづこさ月のぬかり道…

芭蕉が行きたかった笠嶋とは、平安朝 ( 紫式部と同時代人 ) の一頭抜きん出た歌人、藤原実方ゆ…

瀬戸風 凪
2週間前
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俳句のいさらゐ ▧⊛▧ 松尾芭蕉『奥の細道』その十八。「笈も太刀も五月にかざれ紙幟 ( かみのぼり ) 」

多くの解説書では、名吟とも評されず、深く触れられてはいない俳句である。前文から俳句の意味はわかるようでありながら、先ず気にかかる言葉がある。紙幟 (かみのぼり ) とは何か。なぜそれを飾れと言うのか。 参考になる図版がある ( 下の図 ) 。 井原西鶴の『武家伝来記』の挿絵に描かれている旗状のものが紙幟である。『武家伝来記』は、貞享四 ( 1687 ) 年の発行で、『奥の細道』の旅が、元禄二 ( 1689 ) 年だからまさに同時代で、当時の江戸の風俗がうかがい知れる。 江

俳句のいさらゐ ⋓◍⋓ 松尾芭蕉『奥の細道』その十七。「一家に遊女もねたり萩と月」

「一家に遊女もねたり萩と月」                      芭蕉『奥の細道』…

瀬戸風 凪
3週間前
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俳句のいさらゐ ◬👁◬ 松尾芭蕉『奥の細道』その十六。「涼しさを我宿にしてねまる也…

今回は、尾花沢での芭蕉と曽良の俳句を解釈する。 先ず、芭蕉の最初の俳句「涼しさを我宿にし…

瀬戸風 凪
4週間前
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俳句のいさらゐ ■⇋■ 松尾芭蕉『奥の細道』その十五。「行ゝ(ゆきゆき)て たふれ伏…

この曽良の俳句で、おやと目に止まるのは、「萩の原」である。なぜ、倒れ伏すことがあろうとも…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ◉↹◉ 松尾芭蕉『奥の細道』その十四。「波こえぬ契ありてやみさごの…

曽良のこの俳句を、『奥の細道』象潟の段の掉尾に置いた意味を考えていて、第一句である芭蕉の…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ・物語仕様 ✧☽✧「松尾芭蕉/影法師①」

🎬 以下の文は、「俳句のゐさらい  松尾芭蕉『続猿蓑』より。「埋火 ( うずみび ) や壁には客…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ❍✡❍ 松尾芭蕉『奥の細道』その十三。「あかゝと日は難面もあきの…

🟡 あえて同じ季語の句を同じ段に並べた◈ あかゝと日は難面(つれなく)もあきの風  芭蕉  …

瀬戸風 凪
3か月前
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俳句のいさらゐ ❂◙❂ 松尾芭蕉『奥の細道』その十二。「野を横に馬牽(ひき)むけよほとゝぎす」

🔶「走馬看花聞香下馬」の思い「野を横に馬牽むけよほとゝぎす」 この句から先ず連想するのが芭蕉の次の句だ。 いざ行む雪見にころぶ所まで     芭蕉『笈の小文』より 上に引いた「いざ行む」の句は、まるで童子のしぐさのような滑稽な姿を詠んで、ややおどけている。心の弾みをそれで示しているのだ。 『奥の細道』の「野を横に」の句にも、この無鉄砲さに通うおどけぶりが、かすかに含まれていると私には感じられる。 「野を横に」は「野の横道方向に進もう」という意で、つまりは、横道に逸れて、(