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俳句のいさらゐ

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松尾芭蕉の俳句が、上質のエピグラム(寸鉄詩)であることを探ります。
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#奥の細道

俳句のいさらゐ ∞✭∞ 松尾芭蕉『奥の細道』その三十。「早苗とる手もとや昔しのぶ摺…

先ず、前文の「さもあるべき事にや」に注目しよう。 文字摺り石があるばかりに、それを見に来…

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俳句のいさらゐ ☮♓☮ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十九。「月清し遊行の持てる砂の上…

この俳句で最もクローズアップされているのは何か、という問いを投げかければ、見方によりいく…

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俳句のいさらゐ ⋄♾⋄ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十八。「風流の初めやおくの田植う…

「風流の初めやおくの田植うた」の須賀川の章を読むと、道行き文を連想する。道行き文の典型は…

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俳句のいさらゐ ❁✣❁ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十七。「石山の石より白し秋の風」

「石山の石より白し秋の風」は、現在石川県小松市の那谷寺での吟。 『奥の細道』の旅のあと、…

瀬戸風 凪
12日前
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俳句のいさらゐ ◈✇◈ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十六。「蛤のふたみにわかれ行秋ぞ…

「蛤のふたみにわかれ行秋ぞ」をもって、『奥の細道』は閉じられる。先ずはこの俳句の技巧を見…

瀬戸風 凪
2週間前
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俳句のいさらゐ ❀◌❀ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十五。「浪の間や小貝にまじる花の…

これは、私独自の見解だろうと思っているが、敦賀の種の浜で詠んだこの俳句は、象潟のおとない…

瀬戸風 凪
3週間前
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俳句のいさらゐ ∔✴∔ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十四。「夏山に足駄を拝む首途 ( かどで ) 哉」

『奥の細道』の俳句の特徴として、物に魂がこもる、あるいは霊験が宿ると信じる思想が、かいま見える点が挙げられる。もちろんそれは芭蕉特有の思想ではなく、近代以前の人々は、違和感なく持っていたであろう思想である。いわんや今日でもそれは、人々の精神の底流にはあると言っても間違いではないはずだ。 では、『奥の細道』の特徴だと指摘したのはどういうことかというと、信奉の対象となる物が、芭蕉の俳句では、俄然類例を見ない個性的な把握になっていることである。そしてそれが、物語への架け橋になってい

俳句のいさらゐ 🏳✍🏳 松尾芭蕉『奥の細道』その二十三。「蚤虱馬の尿 (ばり) する枕…

今回は、私の解釈の結論から言う。 この俳句の主題は、馬の尿の音である。よって、「尿」の読…

瀬戸風 凪
4週間前
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俳句のいさらゐ ∮⦿∮ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十二。「松島や鶴に身をかれほとと…

この俳句の「ほととぎす」の受け止め方には、異なる次の解釈が出来る。 一。 聞き止めたその…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ☬◙☬ 松尾芭蕉『奥の細道』その二十一。「語られぬ湯殿にぬらす袂か…

湯殿山での吟、「語られぬ湯殿にぬらす袂かな」は、さっと読み飛ばされてしまう俳句だろう。句…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ◬∬◬ 松尾芭蕉『奥の細道』その二〇。「あつみ山や吹浦かけて夕すゞ…

「あつみ山」は、漢字表記では温海山。わかった上でひらがな表記にしているはずだ。その理由は…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ◈∔◈ 松尾芭蕉『奥の細道』その十九。「笠嶋はいづこさ月のぬかり道…

芭蕉が行きたかった笠嶋とは、平安朝 ( 紫式部と同時代人 ) の一頭抜きん出た歌人、藤原実方ゆ…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ▧⊛▧ 松尾芭蕉『奥の細道』その十八。「笈も太刀も五月にかざれ紙幟…

多くの解説書では、名吟とも評されず、深く触れられてはいない俳句である。前文から俳句の意味…

瀬戸風 凪
1か月前
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俳句のいさらゐ ⋓◍⋓ 松尾芭蕉『奥の細道』その十七。「一家に遊女もねたり萩と月」

「一家に遊女もねたり萩と月」                      芭蕉『奥の細道』より 省略が極みに達しているこの俳句の解釈は、むつかしい。しかし、解釈したい気持ちに誘われ続けていた俳句である。 この俳句の着想点は、作者のこういう感情に発するだろう。  ■ 遊女のいる処と言えば、岡場所 ( 非公認の遊里 ) であって、こちらから  そこへ出向いて行って会うものが遊女と思ってきたが、長旅ゆえの、一所  不在の宿りを続けていると、自分と同じ旅客同士として遊女に出会い、色