見出し画像

【告知】アート・共生・コロナーー微生物とつきあうポスト・ヒューマニズム(7/18)

ポスト研究会第10弾は、アーティストの米谷健さんと米谷ジュリアさんをお招きして、最新刊『Dysbiotica: The Age of Imbalance(ミクロからマクロへ:バランスが崩壊する世界)』(2020、求龍堂)の作品集について語っていただき、お二人がアーティスト活動や農業を通じて感じてきたことなどから、コロナ以前/以降を通じて見えてきた不安や微生物との共生といったテーマについて再考するとともに、アートとは何なのかという根源的な問いに迫ります。

ぽすけん企画 第10弾 アート&トークイベント
アート・共生・コロナーー微生物とつきあうポスト・ヒューマニズム
出演者:米谷健+ジュリア×川端浩平(司会)
日時:2020年7月18日(土)18:00〜20:00
場所:zoom(無料)

※下記はzoom参加に必要な情報です。
https://tus-ac-jp.zoom.us/j/91129427951?pwd=ZlVUSGRGTkhqczYyaXo0OW9acUdmdz09
ミーティングID: 911 2942 7951
パスワード: 053572

【トークテーマ】
コロナ禍で気づかされたのは、ウイルスは戦うべき相手ではなく共に生きていくことになるのだろうということだ。そしてまた、私たちが「共生」というテーマをあまりにも人間関係を中心に考えるようなっていたことだろう。自然科学の用語としての共生は、戦後日本の開発と環境汚染という文脈において人間と自然の関係性として語られてきた。その後、グローバル化と国境を越えた人・モノ・情報の移動が高まることを背景として、また阪神淡路大震災や東日本大震災などの自然災害を通じて多文化(主義)という言葉と結びつき、人間と人間の関係性を示す言葉へと移行してきたといえるだろう。今回のトークでは、このような「共生」という言葉の変遷にある連続性と分断について、現代の環境問題や経済制度の問題点を作品として表現してきたお二人と共に考えたいと思う。これまで環境問題や経済システムなどから発想を経て土・砂糖・塩・ウラン・お金といった多種多様な素材を通して国際的に作品を制作し、発表してきた米谷健+ジュリア。そのモチベーションは「不安」にあると語り、カタストロフな作品は得意分野と冷静に分析する彼らは、数年前から「微生物」に目を向け始めた。無農薬農業の経験をきっかけに地中に潜む微生物の重要性に興味を持ち、体内や海中などあらゆる場所に存在する微生物が生き物と共生しながら世界の均衡を保っているという共通点に気づいたからだという。新型コロナウィルスが引き起こした世界的なパンデミックもまた、見えない微生物が引き金となった。この新たな共生を受け入れて進んで行くのか、私たちは先の見えない時代の岐路に立たされている。グローバルな消費・生産のメカニズムと結びついて展開し、私たちの社会に奥深く埋め込まれた「不安」はしばしば社会の分断を煽るものと理解されているが、「不安」があるからこそ、人間の賢明さはより進化していくとも言える。ミクロの世界からのアラートに耳を傾け、微生物と共生できるポストヒューマンイズムの思想とアートの有様について語り合いたい。

画像2

米谷健(よねたに・けん)
現代美術家兼農家。元金融ブローカー。オーストラリア国立大学School of Art修(修士号)。シドニー大学Sydney College of the Arts修了(博士号)。ジュリアと共に環境問題や社会問題などをテーマに入念なリサーチを行い、独自の手法で美しくも不気味なものへと転換する作品は、インスタレーション、ビデオ、パフォーマンスなど多岐にわたる。ヴェネチア・ビエンナーレ(オーストラリア代表、2009)、シンガポール・ビエンナーレ(2013)、フランスのアビー・ドゥ・モーヴィソン現代美術館にて個展(2014)、茨城県北芸術祭(2016)、ホノルル・ビエンナーレ(2017)、オーストラリア国立美術館にて個展(2015)、森美術館MAMコレクション(2019)など。

画像3

米谷ジュリア(よねたに・じゅりあ)
現代美術家。東京大学総合文化研究科国際社会科学修士過程修了(修士号)、オーストラリア国立大学大学院博士課程修了(博士号、歴史学)。元ニューサウスウェールズ大学准教授。2009年に大学教員の職を辞し、健と共にアート活動に専念し作品を発表してきた(健のプロフィール参照)。健との共著『Dysbiotica: The Age of Imbalance(ミクロからマクロへ:バランスが崩壊する世界)』(2020、求龍堂)がある。

画像1


川端浩平(かわばた・こうへい)
津田塾大学学芸学部多文化・国際協力学科教員。専門は社会学、カルチュラル・スタディーズ、日本研究(Japan Studies)。著書に『ジモトを歩くーー身近な世界のエスノグラフィ』(御茶の水書房 2013)、共編著に『サイレント・マジョリティとは誰かーーフィールドから学ぶ地域社会学』(ナカニシヤ出版、2018)、Cultural and Social Division in Contemporary Japan: Rethinking Discourses of Inclusion and Exclusion, Routledge 2019.など。最近はラップ音楽とマラソンに向き合っている。

記事自体は無料公開ですが、もしサポートがあった場合は今後の研究活動にぜひ役立てさせていただきます。