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【ライブレポ】ハンブレッダーズ ヤバすぎるワンマンツアー2023 京都(後編)

ハンブレッダーズのライブに行ってきました。ライブレポの後編です。
セットリスト、MCの内容など書いています。前編はこちら。↓

ヤバすぎる後半戦スタート!

「才能」が終わり会場のボルテージは最高潮。暗転中もメンバーを呼ぶ声は止みません。
「ここから後半です」「これはもう愛と呼んだって過言じゃないような感情」
始まる「アイラブユー」。イントロが素晴らしくワクワクします。
途中、前の方で将棋倒しが起きたようで、曲が止まりました。
すぐに「大丈夫か!?」と呼びかけるでらしさん。大丈夫ってわかったら「ごめんね、ぎゅっとなる曲をやってしまって。いい曲なんです〜」と優しくユーモアを交えて呼びかけるムツムロさん。アイラブユーは途中「阪急電車だ!」とか一緒に歌える部分があって、とても楽しかったです。

「皆さんは引き続き、常識の範疇で楽しんでくださいね」からの「常識の範疇」。この曲が大好きなので、めっちゃ嬉しかったです。はじめのセッションの時点で一緒に弾いているかのような高揚感がありました。この曲、私的に1番「おもしろい」曲なんですね。どこかでムツムロさんが1番弾いていて楽しい曲って言ってた気がします。その感じが伝わってきました。
私がハンブレッダーズを好きな理由のひとつが、「バカになれない人のための歌だから」っていうのがあって、タガを外してやってしまえっていう生き方ができない・したくない常識人の気持ちをわかってくれてるなぁと思うんです。だからこの歌が大好きです。「くだらない日々に\乾杯/」「普通に生きるなんて\論外/」「エンジョイ!イェーイ!」のコールアンドレスポンスができてよかったです。

その後すぐ、「ごめん、楽しすぎて、、ギター。」ムツムロさんの一言で、常識人は壊れ始めます。「ギター」です。私が渇望している、「小難しいことばっか考えて 馬鹿になれない君と僕だけの歌」。「考えすぎておかしくなりそう」でらしさんも精一杯叫んでいて、歌が歌でなくなるような、壊れ方が気持ちよかったです。常識の範疇からの崩れ方、振り幅を感じたので、この順番は秀逸すぎると思います。「あの日からずっと待っていた時が今来た」まさにこの瞬間、ライブに来てよかったなぁと思いました。

「お前らの人生のフルコーラス、俺がギター弾いてやる」
ここで「ヤバすぎるスピード」のイントロが流れ、「ワンツー!」のコールと共に、バンド後方の「ハンブレッダーズ」と書いてある幕が一気に降ろされました。そこに現れたのは、KBSホール名物の美しいステンドグラス。圧巻でした。
私はムツムロさんの書く歌詞が好きでハンブレッダーズにハマった経緯があります。何が好きか全部書くと紙幅が尽きるので割愛しますが、ひとつは、言葉の豊富さです。でも、これは「ヤバすぎる」という語彙力皆無の小学生みたいなタイトルなんです。これがまた、いいんです。いつも豊富な言葉で楽しませてくれる人の解像度の低い言葉って、めちゃくちゃ重みがあります。言葉の可能性をわかっているからこそ、あえて「ヤバすぎる」なんです。
「だけどシャイな奴らが熱くなる場面は最高のハイライトだろ?」普段は大人しそうな4人が、大きくてカラフルなステンドグラスを背負って楽しそうに演奏する姿が脳裏に残っています。最高のハイライトです。

続く「」。新体制になった彼らの新たな決意の歌だと思います。キジマさんのドラムも効いていますよね。相変わらずギターソロもカッコいいです。もうどの曲だったか忘れてしまいましたが、ムツムロさんがうきくんの膝に足を乗せて弾いたり、うきくん、ムツムロさん、でらしさんがお立ち台を使ってトーテムポールみたいになって弾くやつとか、写真でしか見たことがなかった、例のアレが見れて嬉しかったです。

ラストに向かって

「2年前に東京に行って、東京って人も多いし、お金持ってる人も多いしってイメージしてたけど(中略)歌詞を書くためにカフェに向かう道とか、バンドの練習をするために4人で会うスタジオに向かう道とか、こうやって京都で来てくれるみんなのためにここに来る道とかが自分にとっては大事で」「当たり前のことを当たり前にやるのが難しくて、バンドを続けることも当たり前じゃなくて」「みんなちゃんと朝ご飯食べてますか?最近食べない人もいると思うけど、明日はちゃんと朝ごはんを食べてください」「東京って曲を聞いてください」
この曲、やっぱり好きだなと思いました。環境を変えたからって何者かになれるわけでもない。自分にとって大切なものを守るために、案外危うい毎日を、自分のために生きてみようと思う曲です。

「この3年間、体育祭や文化祭がなくなってしまった、卒業ライブができなかった、卒業ライブでハンブレのコピーをする予定だったので見てくださいって動画がメッセージに送られてきたりしました。俺はすごい悔しくて。俺らが音楽をやったからって、文化祭が戻ってくるわけじゃないけど、俺らの音楽を聴いてる時だけはお前らを17歳に戻してやる!」
私はバンドをやっていたわけではありませんが、大学の部活の卒業コンサートや卒業式、卒業旅行がなくなったことを思い出しました。その頃はもう22歳だったけど、17歳に戻してもらおうじゃないか。さほど輝かしくなかった青春を、ここでやり直してやろう!
「みんな今日はいっぱい歌ってくれたから、次は俺が歌います。」
「愛と平和を歌っても〜」と始まった「BGMになるなよ」。初めて、私もここまで全曲口ずさんでいたことに気がつきました。この曲は、かなり救いの曲であると同時に、彼らのロックバンドとしての使命・決意的なものを強く感じる曲で、カッコよかったです。

「みなさん、また会いましょう。会えない時のために、おはよう、こんにちは、おやすみ、そしてヘッドフォンをしろ!」からの「THE SONG」。この曲も大好きなので最高でした。2番の「送信中」とか「コーティング」の時にムツムロさんのジェスチャーが可愛らしかったです。2番のサビを繰り返してくれたのが嬉しかった。私は2番のサビの歌詞「これといった不満はなくて だけどテンション上がらなくて 毎日ほんのりと鬱なら アイラブユーをあげるよ つべこべ言うな受け取れ 先行投資してやる ヘッドフォンをしろ!」に日々めちゃくちゃ救われているので。。やかましくてこれっぽっちの短い歌で私たちを惜しげもなく絶好調にした彼らは、軽く手を振って去って行きました。

アンコール

着替えて元気に登場し、「またね」。さよならに、一方的にまたねを付け足してくれる彼らに、なんだか安心しました。
グッズの宣伝がありました。ステンドグラスをどこで見せようとかめっちゃ会議したよね〜みたいな話もあり。
「次は、1番声出しでやりたかった曲をやります、DAY DREAM BEAT」会場の熱気はMAX。最後の大合唱をイヤモニを外して確認したムツムロさん「マジで愛してる」。もう出てるかわからん声でいっぱいに歌いました。楽しかったです。

「新生活始まって、つらいことがあったら逃げてもいいと思います」
そしてラストは「逃避行」。ロックンロールは魔法じゃないけど、この120分間の無敵感はきっと気のせいなんだけど、わかっててもワクワクする。なんだってできる。そんな勇気をくれるフィナーレでした。

ダブルアンコール

ふんわりと戻ってきた彼ら。「京都で録った曲やろうか」
「学生の人、手挙げて〜」正直思ってたより多かったです。
「挙げづらいし挙げなくてもいいけど、童貞の奴いる?お前らのために歌うわ」
まさかの廃盤?の「チェリーボーイシンドローム」。愛情だけに裏付けられた初々しいラブソングは、会場を熱狂させるには十分すぎました。
こうして最高潮の興奮のなかライブは終わり、さほど名残惜しい様子もなく4人は去って行きました。

まとめにかえて

1曲終わるたびに「ありがとう」と言う姿、楽しそうに演奏する姿から、ハンブレッダーズは音楽が本当に大好きなんだなということを、改めて感じました。
普段音源を聴いていても感じますが、彼ら自身が音楽に救われてて、ユーモアを音楽に乗せてちょっと世界に反抗して、みたいな姿勢が彼らの魅力だと思います。ライブだと、音源とは違うので、また違ったユーモアやメッセージを感じました。
大学時代を振り返り、「大学生の時と、規模が大きくなってもやってることってそんなに変わってない」って言ってました。音楽が大好きで、歌詞を書くのが好きで、それをひたすらやってきただけ。
有名になっていくと、ただ音楽を続けるのも難しくなっていくんだろうなと思いました。途中、何度か音楽を止めざるを得ないほど、押したりする人もいました。「節度を守って楽しみましょう」と注意したメンバーの語気に少々怒りというか冷たさを感じました。大きくなるにつれて、彼らの音楽を、いろんな意味で邪魔するものが現れるかもしれない。だからこそ、ハンブレッダーズのその時々の感性で、好きな音楽を守る戦いを続けていくんだろうなと思ったし、ついて行きたいと思いました。

私は「スクールカースト」という言葉が嫌いで、「スクールカースト最底辺から青春を歌う」というコピーもなんだか青すぎると思っていました。でも、ライブに行って、この言葉の内にあるものを感じました。それは、目立たない、ドラマもない、冴えない日常の中にちょっとした高揚感や無敵感を持ちたい、そんな祈りです。
大人になって、日常は、ドラマなんてなくて、その他大勢としてノルマをこなす日々だなぁと感じます。でも、好きな音楽で耳を塞ぐ時だけは、無敵になれる。なんか楽しくなるかもって思える。私はハンブレッダーズを通してこんな音楽体験をしてきたので、ある意味、大人にこそ必要な青春バンドだなと思いました。学生のファンにも、大人になってからまた、響くものがあると思います。

V系とジャニーズとKPOPのライブにしか行ったことがなくて、初めてのハンブレッダーズどころか初めてのロックバンドのライブだったので、ペンライトも頭も振らないなんてどうしたらいいんだろうと思っていました(笑)。
でも、同じバンドを好きな人があんなにたくさんいる空間で感動を共有して、時にはハンブレッダーズと1対1の気持ちで没頭して、無敵になれた私は、腕のだるさと愛おしい耳鳴りを抱えて、大手を振って帰途につきましたとさ。めでたしめでたし。

プレイリスト

※チェリーボーイシンドロームは入っていません。

ここまで読んでくださってありがとうございました。

このステンドグラスの前に立った人史上、一番覇気のないキジマさん(ムツムロ評)

※撮影OKでした。

ハンブレッダーズ
ヤバすぎるワンマンツアー2023
京都・KBSホール
5月12日(金)
OPEN 17:45/START 18:30

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