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昔からピンクが苦手な女の子だった

結婚したくない。子供が欲しくない。

そう言ったときに「なぜ?」と訊かれるのは、なぜ?

たとえば「子供が2人ほしい」とか「30歳までに結婚したい」という人が「なぜ?」と聞き返される場面は、あまり想像できない。
子供を持つことに理由は要らないの?結婚しないことには理由が必要なのか?

逆だと、わたしは思う。

もちろん、よその家族計画に首を突っ込むような迷惑行為を推奨したいわけじゃない。その選択が何であれ、ずけずけと理由を聞くのは良くないことだ。
でもその選択に理由があるのは「結婚する選択」「子供を持つ選択」のほうなんじゃないかな。だって、自分や周囲の現状を敢えてがらりと変える重大な選択なのだから。ただの現状維持にたいした理由なんかないでしょう。

本人にはとくに理由なんてなくても、ステレオタイプな人生設計からすこしでも外れていればもっともらしい理由を求められる。だが、パートナーや家族ならともかく、自分の人生に登場してもしなくてもいいようなモブキャラを納得させる義理なんかない。モブキャラの説得にリソースを割くつもりはない。

結婚や子供をのぞんでいないことについて、父に理由を問い詰められたのは数年前のことだ。父はわたしにとって主要キャラとモブキャラの中間的存在ではあるが(失礼)、とはいえ父にとってのわたしは主要キャラだろうからいちおう説明責任があると考えた。当時はうまく答えられなくて、まるでわたしの我儘を責められているみたいで、悔しかった。悔しかったというか今でも全然悔しくて考えるたびに涙が出る。わたしを非難するような態度をとった父に、もう何か相談に乗ってもらったり理解を得ようと期待するのをやめた。

それ以来ずっとずっと考えてようやく気付いた、わたしの「結婚しない」「子供を産まない」選択に理由なんかなくて、ただ「したいと思わないから」「欲しいと思わないから」としか言えないことに。ない理由を探すのは大変だったけど、理由がなくて何が悪いんだ?と思えるようになってすこし気が楽になった。
ステレオタイプと異なるからって誰もがすっごい立派な主義主張をもっているわけじゃない。ちょっと肌に合わないというだけのこと。批判されて考えが変わるようなレベルの話じゃなくて、女の子だけどピンク色やハート柄が好きじゃないとかそんな感じ。憧れていないから仕方ないのだ。

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