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ひとり旅、ちいさな挑戦と一期一会を楽しむ。



行動力がぐーんっと上昇中です。

二十歳の頃、此処ではない何処かへ行きたくなりひとりで京都へ向かったところ、朝から夜まで誰とも会話しないことに耐えきれませんでした。

駅までの帰り道が分からなかったのですが、Googleに頼ることをせず隣を並んで歩いていた方に道を尋ねました。僕の奥さんも岡山出身でねー!という会話をしたことを覚えています。

その時私は思ったのです。私はひとり旅には向いていない。綺麗だと思ったり美味しいと思った時に誰とも会話出来ないのは寂しい。だから泊まりでひとり旅なんて到底無理だ。

しかし、それから十年の月日が流れ、私はひとり旅(宿泊)を決行しました。先に結果だけお伝えしておきますと、めちゃくちゃ楽しかったんです、お伊勢さんひとり旅。


初めてのドミトリールームは、私にとってちいさな挑戦でした。

だって初めましての人と同じ部屋で寝るなんて。寝る時間も起きる時間も違うだろうし、お互いどれくらいの気を遣う感じなんだろう。物音で起こしてしまったら、忍びないよなあ。ちょっとした会話を楽しみたいタイプの人なのか、ずっとカーテンを閉めてプライバシーを護りたいタイプの人なのか。

そんな風に考えることはたくさんあったのですが、きっとひとり旅でもしなければドミトリーに泊まることなんてないだろうから。そう思って、えいやっと予約しちゃったのです。


予約したのは十月一日。

一日って、神社だと何か特別な行事があるかな?と思って検索してみると、朔日餅というものがあることを知りました。赤福で毎月一日にだけ販売されるお餅で、月毎にメニューは違うとのこと。十月の朔日餅は、栗のお餅。

、、、食べるしかない。

けれども店内で食べるには朝の4:45の開店に合わせる必要がありそう。それはさすがに大変というか前泊しなければ間に合わないし、前泊しても二見興玉神社から参拝したいからスケジュール的にやはり厳しい。

ということで、特設会場で引き渡しとなるお持ち帰り用を購入。6個入り。消費期限は当日。ひとりでは食べられないから、ゲストハウスでその日居合わせた人にお配りしよう。少なくともスタッフさんはいるだろう。と、誰かにお裾分けすること前提で、一箱予約をしました。


当日、無事に朔日餅を受け取り、私は宿泊先のゲストハウスへ向かいました。どうやら女性専用ドミトリールームの宿泊客としてはいちばんに辿り着いたようで。どんな人が一緒のお部屋になるんだろうかと、そわそわ。

しばらくして、同じお部屋の方が到着されて。こんにちは〜と軽く会釈をし、その方とスタッフさんとの会話が耳に入りました。

「この辺り、銭湯あるんですよね?」
「ありますよー。」

「え、銭湯あるんですか?!あ、ごめんなさい、、盗み聞き、してしまった上に反応してしまいました、、」


いきなり盗み聞きをしてしまってどうしようと思ったのも束の間、「行きますか?一緒に!」と、彼女から返ってきたのです。まさか。たったいま初めましてをしたのに、これから一緒に銭湯へ行こうとしている。

ひとり旅、面白すぎる。

夜ご飯もまだだった私たちはまずは一緒に近くのお店でご飯を食べて、それから支度をして銭湯へ。初めましてなのが不思議なくらい、心地よい距離感とリズムで会話が弾みます。

相手の方からも、初めましてじゃないみたい!ゲストハウス泊まってこんなに話すの初めてだよ!と言われました。そうだよね、毎回こういうことにはならないだろうから。ご縁かな〜。つくづく、運が良い。

すっかり仲良くなって宿へ戻ると、もう一人の方が到着していました。相手のパーソナルスペースを伺いつつ、まずは挨拶をしてみます。そして名乗った後に質問してみます。

「あの、お餅、お好きですか?お腹に少しスペースあったりしますか?」

きっと名乗った後にそんな質問がくることは稀なので、お餅ですか?と、戸惑った様子で返答がありましたが、一連の流れを話し、良ければ食べてくれませんかと伝えると、是非!と言ってくれました。

、、、良かったぁ。

ちなみに、なんと3人とも台湾に繋がりがあって。台湾出身、台湾へ留学経験有り、台湾の人とお仕事してる。共通点は台湾な夜でした。台湾のことを勉強しなさいってお告げかしら。

結局スタッフさんにも声をかけ、4人で6個のお餅を分け分けして食べました。不思議だなあ。生まれも育ちも、現在の生活でも交わることのなかった人たちと一緒に、お餅を食べている。旅をすると、こんなことも起こりうるのか。


上品な甘さでおいしかった、十月の栗餡入り朔日餅。

心配ごとの9割は起こらないという言葉の通り、寧ろ楽しいことしか起こらなかった。これも、お伊勢さんパワーかしら。私が岡山出身だからかしら。朔日餅が、まるで吉備団子だ。おかげさまで、楽しい夜となりました。


その場で偶然居合わせた。
その時たまたま一緒だった。

私はそんな出逢いや関係性が好きだったりします。オーストラリアの生活は、それが多かったから楽しかったという部分もあるんです。偶然一緒に信号待ちをしていた、偶然前後でカフェの列に並んでいた、そんな偶然からそこでしか生まれない会話があって。じゃあね、良い一日を!って、決まり文句を言って手を振る。

またどこかで会うかもしれない。もう二度と会うことはないのかもしれない。そんなことはどうだって良くて。

限られた人生の中で、広い地球の中で、大勢の人の中で。全く違う地図を広げている他人同士が偶然出逢って、会話をする。時には助け合ったりする。それが学びになったりもする。その思い出が、ずっと心に残ったりする。

きっと私は、そういう体験がとても好きなんです。そして、それを何歳になっても体験していたいと思うんです。

久しぶりの旅行は、初めてのひとり旅は、そんなときめきを思い出させてくれました。

本当に、行って良かったなあ。
ときどき大切、ちいさな挑戦。

じっくり読んでいただけて、何か感じるものがあったのなら嬉しいです^^