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「朝が好きなので、夜働きます」??

ある日の日本語の授業のこと。アルバイト募集のチラシの給与欄を見ながら、どの時間帯に働きたいかを話していた。アジア、ヨーロッパ、南米からの学習者で、ユーモアたっぷりの人たちのクラスだ。

給与  時給 7時~9時     1,000円~
       9時~22時     900円
       22時~24時30分  1,125円~

       『TRY!N2日本語能力試験 文法から伸ばす日本語』より

アジアの女性が「22時から働きたいです。時給が高いですから」と言うと、周りからは賛同とともに、遅いから大変、などの声もあがった。彼女は「大丈夫です。時間が短いですから」と切り返す。

次が、タイトルにある一文を言った南米の男性だ。

わたし「どの時間に働きたいですか」
男性 「わたしは朝が好きなので、、働きたいです」
わたし「…??」

わたしと一部の学習者は、彼の意図がわからなかった。
「わたしは朝が好きなので、、働きたいです」じゃないの??
しかし、まわりのヨーロッパの人たちも「あー、わかる、わかる」と彼に賛同するので、わたしと他数名のみが「わからない」という状態になってしまった。

よくよく聞いてみると、こういうことだ。
「朝が好きなので、(朝は仕事をしたくないから)、働きたいです」

なるほど。そういうことか。でも、それを言いたいなら「(自分が好きな)朝には働きたくないので、夜、働きたいです」などがいい。明らかに言葉たらずだ。だが、わたしが驚いたのは、クラスメートの半数ほどが彼の話を理解できたことだ。つまり、( )がわかったということ。

わたしが「『朝が好きなので』、と言ったから朝に働きたいのかと思いました」と言うと、「えー、そんなわけない!」と言われてしまった。自分が好きな時間にわざわざ働きたいわけがない、だから、( )は言わなくてもわかるでしょ、というのだ。そして、そんな私に「自分の好きな時間に働きたいと思うなんて、やっぱり日本人!」みたいなことも言うのだった。

「文化差ですね」とわたしが言うと、件の彼が一言。
「わたしがこんな文を作っても、間違いじゃなくて文化差かもしれませんから、テストの(採点の)とき注意してくださいね」。

はいはい、お互いにね。


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わたしもです!
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日本語教師。日本酒、妖怪、恐竜好き。趣味で長唄三味線を習っています。多様な人たちとの触れ合いの中で、感じた事や考えたことを綴っていきます。
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