【詩】 無題 (2023/10/04)


十分な幅員を持たない
道路
その端を歩いていると
すぐ横にトラックや乗用車は走り過ぎる
風が起きて
前髪が乱れ
肩が揺れる
渦巻く風に呑み込まれ
車道にはみ出しそうになる
危うい想いをする

このまま轢かれてみてもいいか

僕の方へと近づいてくる
白い車
右半身が打ちつけられて
肉体はゴムみたいに
伸縮しながら
宙を舞っている
背景は白色
宙を舞ってる体はスローモーションで
地面に打ち捨てられる
宙を舞ってる間は様々な思い出で
身体は満たされる
走馬燈のように
いやまさしく
これこそが走馬燈
愉しかった思い出
哀しかった思い出
印象深い思い出ではなく
こういうときに
思い出される記憶というのは
なんでもない
日常の1ページ
だからこそ妙に感傷的になってしまう
この世に未練なんてものは
とうにないから
走り過ぎていくはずだった
車のボディに
身を当てたのに
こんなことを思い出してしまったら
こんなにも感傷的になってしまったら
途端に死ぬのがこわくなっちゃうじゃないか

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