イギリスのジャーナリズムの授業でちょっとハッピーになった記念日のメモ
交換留学先でジャーナリズムの授業を取っています。新聞好きでメディアのあり方を考えることがテーマのこの留学ですごく取りたかった授業がいよいよはじまりました!
今日はその授業の初セミナーがあり、とても緊張したけれど現地点で最大限の力を振り絞った発言ができてすごく嬉しかったので記念にnoteを書きます!
どんな授業?セミナー?
授業名は
Journalism-Critical Discourse Approach
ニュース、ジャーナリズムを言語学の観点から批評、分析する手法を学びます。
セミナーとは大抵講義のあとに行われる少人数のワークショップ。
授業ごとのゼミのようなもので議論を通して理解を深めることが目的です。
セミナーに参加する前に準備でSeminar Questionの自分なりの解答を作ります。今回のSeminar Questionの一つがこちら。この質問の答えを示せる具体的な最近のニュース記事を選び、説明するという課題でした。
1.2) How does this relate to newspapers’ ideal readers?
訳)記事内の使用単語が新聞の理想的な読者とどのように関係しているか
なんだか難しそうだあ…。とりあえずニュース記事の選定から始めました。
ニュース記事を選ぶ
比較がしやすい大きなニュースを選ぼうと、イギリスの新聞1面記事を比較することにしました。
BBCやガーディアン紙が毎日新聞1面比較をしています。便利!
https://www.bbc.co.uk/news/blogs/the_papers
さて、私がこのセミナーの予習をしていた2月15日の一面は、
「イギリスのボリスジョンソン内閣改造における財務大臣の急な辞職」
を報じる記事がほとんどの新聞社を占めていました。(日本語の記事はこちら。https://www.bbc.com/japanese/51498922)
大事なのはニュースの内容ではなく、新聞社のスタンスを言語学の視点から分析すること。この分析の前提として
「記者や新聞社は特定の読者層を意識して、単語を選び、文章を構成し、読者の求めるOpinion意見をより強調できるよう記事を書く。」
という考え方があります。はじめてこの考え方を聞いたときはそれなりに衝撃をうけました。ニュースというのは偏る考え方を助長するように作られていること。この話はまた別の機会に詳しくしたいです。
分析対象の記事
言語学による分析初心者の私はHeadline見出しに注目しました。
今回のニュースについて、Gurdian紙とDaily Express紙を比較していきます!
■Gurdian-Brutal Johnson tights grips as Javid forced out
訳)残忍なジョンソン(首相)はジャビッド(元財務相)を排除することで権力を強化する
ー2020/02/14 Gurdian紙1面より引用
■Daily ExpressーBORIS THE IRON MAN TIGHTENS HIS GRIPS
訳)鉄の男ボリス(首相)は彼の権力を強化する
ー2020/02/14 Daily Express紙1面より引用
自力で分析してみた
使用単語の違いと新聞社のIdentity, Politicalスタンスの違いに注目。
【使用単語の違い】
もう一度見出しを並べてみます。
■Gurdian-Brutal Johnson tights grips as Javid forced out
■Daily ExpressーBORIS THE IRON MAN TIGHTENS HIS GRIPS
ボリスジョンソン(首相)を修飾する形容詞を太字にしてみました。
Guedianは「Brutal」「残忍な」、という強烈でマイナスイメージのある単語を使っています。
一方Daily Expressは「THE IRON MAN」「鉄の男」、でどちらかといえばポジティブなイメージ。強そう。
【新聞社のIdentity、政治へのスタンス】
イギリスの新聞は購読している新聞で支持する政党がわかるほど新聞社の中で右派、左派の住み分けがはっきりしていることで有名です。
■Gurdianー左派 Left
■Daily Express-右派 Right-Wings Pro-Conservative
参考:https://www.thepaperboy.com/uk/uk-newspaper-guide.cfm
新聞の種類が少し違うので単純には比較できないのですが、今回がGuedianが左(Labor労働党寄り)、Daily Expressが右(Conservative保守党と思っていたけどちょっと違うかも要調査…)という雑な分け方でいきました。
【分析結果】
Gurdianは左派で労働党を支持することから、保守党党首であるボリスジョンソンのことは批判する姿勢。そのため「Brutal」「残酷な」という単語でその政治的立ち位置を表現、強調している。
一方Daily Expressは保守党を支持していると見なせば、保守党党首のボリスジョンソンのことは応援する。だから「THE IRON MAN」というポジティブな単語を選んでいる。
なんとか自分なりの解答をつくりました。
セミナーに参戦なのだ
さて、なんとか自分なりの分析を一つしたところでセミナー当日を迎えました。
一人ずつ選んだ記事と分析内容を先生に口頭で報告していくスタイル。スタートを切った二人は専門がジャーナリズムのイギリス人とシンガポール人の男の子。半端ない分析力で5分くらい喋っていた気がします。英語が速く、かなり聞き取りが厳しかったです。内心自分の分析のレベルの低さにめっちゃ焦りました。
でもせっかく課題やってきたし、自分にあうアドバイスをもらいたかったので先生に目でアピールして発言権を獲得。たどたどしい英語ながらなんとか自分の見解を伝えることができました。やった!やった!はじめてセミナーで1分くらい文章で話していたように思います。
先生からのアドバイス、フィードバック
・単語と新聞社の政治的立ち位置の関係に注目したのは◎
・ボリスジョンソンの呼び方に注目しよう
■Gurdian-Brutal Johnson tights grips as Javid forced out
■Daily ExpressーBORIS THE IRON MAN TIGHTENS HIS GRIPS
Gurdianは敵対する政治家として彼を書くので姓で書く。
Daily Expressは同志、仲間、友人として彼を書くので名前で書く。ここにも各新聞の政治的立ち位置が表されている。
・Daily Expressの「THE IRON MAN」の表現は、20世紀末英国首相サッチャーの愛称「THE IRON LADY」「鉄の女」がもと。Daily ExpressのIdeal Readerターゲットの読者層は年配であり、その層に刺さる表現を使っている。
短い見出しの中にこんなに分析できる単語が詰まっているのかととても驚きました。発言して適切なアドバイスをもらう。初回セミナーにしては上出来、はなまる!!
まだ授業ははじまったばかりですが、日本語の言葉の綾が大好物な私にとってとても楽しい授業になりそうです。もっといろいろ分析できるようになりたい。おいて行かれないように次の予習とReadingがんばろう~!
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