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イエスタデイ

こちらももれなく、公開当時に映画館に行きたかったもののなんとな〜くダラダラ過ごしているうちに公開が終わってしまったシリーズ。アマプラで見て、「もっと早く見るべきだった…!」と後悔しました。

ビートルズ、リバプールへの思い

早速個人的な話になってしまいますが。
私は学生時代をリバプールで過ごしました。長期留学は確実に私の人生を大きく変えたビッグイベントだったのですが、初めての海外、当時は全く喋れない英語、という状態の中、リバプールを選んだ理由は、「ビートルズが好きだったから」。
今思えば、曲の強い鈍りがあるリバプールは初めての留学としてはあまり良いチョイスではなかったかもしれませんが(笑)とってもとっても楽しい日々を過ごしました。当時、既に好きだったビートルズに加えて、リバプールにもかなり思い入れがあるのです。
なので「リバプール」「ビートルズ」「イギリス」と聞くと、無条件で反応しちゃう。笑
今回も、そういった理由で興味があった本作なので、かなり色眼鏡というか、偏った想いがたくさんあります…笑

ストーリーはいたってシンプル

予告編やポスターでも言われていた通り、ひょんな事から世界がビートルズが消えてしまう、というところから、唯一存在を覚えていたミュージシャンを目指す青年がビートルズの曲でのし上がる…という。もちろん予想される通り、本人は良心にさいなまれて苦しむ事になるのですが。

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エド・シーランに見出され、どんどん売れっ子街道を進んでしまい、でかいライブとかもするんですが…

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最終的には色々悩んで、普通の人として生きていく道を選ぶのです。

主人公、ジャックの美声

ビートルズの存在を覚えていた主人公、ジャック・マリクを演じるヒメーシュ・パテル。この映画を見るまでは全然知らなかったのですが、魅力的な俳優さんでした。

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売れない頃のヒゲ姿もなかなか似合っていましたが…

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事故後、ひげなしの姿もなかなか良い感じ。

歌が圧倒的にうまくて、ビートルズとはまた違った良さのある歌声だと思うんですけど、各楽曲どれもビートルズの良さも残しながら、でも彼らしい歌い方でとても良かったです。迷ったり、苦しんだり、戸惑っている姿もリアルで良かったなあ…

リリー・ジェームズはいつだってかわいい!

主人公ジャックを支える中学教師、エリーを演じるのはリリー・ジェームズ。「ベイビー・ドライバー」からかわいいなあと思っていましたが、今回もやっぱりかわいい。最高のヒロインでした。

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ジャックの幼馴染で、売れない頃からマネージャーとして応援しつつ、実はジャックの事が好きで…でも言えず…というなんとも切ない設定。
最初のレコーディングで一緒に歌うシーンはほんとに楽しそうで、素敵なシーンだった!ジャックもエリーもかわいい…

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ジャックが売れてからリバプールまでやってくるところは、ほんと恋する乙女そのもので、別れのシーンも切なかった…

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エド・シーラン、良い味出している

ジャックの才能に気付き、スターダムへの道を作ったきっかけであるエド・シーランが本人役で登場。

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彼、前髪&大きめメガネのせいなのか、表情があんまり見えないのがちょっと怖いんですが(笑)淡々としていてクールな感じが良かったです。
歌っている姿しか基本的に見かけないので、こんなに喋っているエド・シーランが見れるとは思っていませんでした。そういう意味では貴重かも?
そして劇中、彼の曲が2曲流れるのですがどちらも良い曲で…残念ながら音源化されていないそうです。残念すぎる。

やり手マネージャーがちゃんと悪どい

エド・シーランに見出され、そしてスターダム街道を進んでいく際にマネージャーにつくデブラ。

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敏腕なんでしょうけど、ほんとに「やなやつ!」という感じでとても良い。そして本当に根っからの悪役ではない訳です。彼女は仕事に信念を持っていて、大好きな名声とお金の為に「ちゃんと頑張っている」んですよね。(やり方は少々強引ではありますが)だからこそイライラもしないし、愛せるキャラクターとして考えられる。絶妙なバランスが素晴らしい。ラストはコメディっぽく終わってくれるのでそれもまた微笑ましいのです。

ラストシーンはみんな幸せ

結局、「自分が売れる」道は手放すジャック。でもビートルズの音楽は残したい。だからみんなが聴ける様にする。ジャックの決断はなかなか勇気がいるものではありますが、優しさに溢れた決断だったんだなあ。
その少し前に「ビートルズにならなかったが為に78歳になり穏やかに生きているジョン・レノンに会う」というイベントが発生するんですが、私、最初にこのシーン見た時にちょっとげんなりしたんですよね。

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ジョン・レノンは出してほしくなかったなあ…と。でもあの出会いと会話があったからこそ、最後のジャックの決断に至るわけで。ビートルズを覚えていた他の2人(レオとリズ)との会話もそうですが、誰もジャックを責めない訳です。ひたすらに優しい世界。だからこそ、ラストでみんなそれぞれ幸せに過ごしている姿はラストシーンにぴったりな良いシーンでした。(レオとリズが2人で踊っているのもまたかわいいカットで素敵!)

「悪役」はいない

この映画に登場する人はみんなひたすらに優しく穏やかで、誰かを陥れようだとか、そういう負の感情が見える事がほとんどないんですよね。ビートルズを覚えていたレオとリズが登場した時も、ジャックは「ああ、バレたどうしよう…」となる訳ですが、2人の言葉は「ビートルズの曲を残してくれてありがとう」な訳です。おやおや?っていう。確かにそうだけど、あの流れだとめっちゃ怒られると思うじゃないですか…他人の著作物で利益を得ている訳ですから…
そして、ジャックが観客に全てを告白した時も怒りや炎上じゃなくて、曲がいっぱいダウンロードされた!って感じの描写な訳です。現代社会なら大炎上どころの騒ぎでは済まないと思いますが、それがこの映画の良いところ。「やなやつ」はいないんです。見方によってはご都合主義だし、こんなにうまく事が進む訳ない…と思ってしまいそうになるけど、不思議と素直に受け入れられる雰囲気がこの映画には流れていました。

ビートルズやイギリスに興味がなくても楽しめる事間違いなし。(ビートルズ以外にも消えちゃったものがいくつかあるのでそれもまたちょっとした楽しみ)
そして観賞後はぜひ、ビートルズを聴きながらゆっくり過ごしてみてください。


イエスタデイ

Yesterday
2019年 イギリス
監督:ダニー・ボイル
出演:ヒメーシュ・パテル、リリー・ジェームズ、ジョエル・フライ、エド・シーラン、ケイト・マッキノン、ロバート・カーライル、他


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