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【読書感想文】82年生まれ、キム・ジヨン

本がヒットした時も、映画が話題になった時も目にしていたし概要は知っていたつもりだったけど、いざちゃんと読んでみるとこんなに苦しくなるとは思わなかった…!#MeToo運動のきっかけになったと言われるのも納得できるくらい、強い力がある本でした。

あらすじ

ある日突然、自分の母親や友人の人格が憑依したかのようなキム・ジヨン。誕生から学生時代、受験、就職、結婚、育児…彼女の人生を克明に振り返る中で、女性の人生に立ちはだかるものが浮かびあがる。女性が人生で出会う困難、差別を描き、絶大な共感から社会現象を巻き起こした話題作!韓国で100万部突破!異例の大ベストセラー小説、ついに邦訳刊行。
(Amazonより引用)

感想

女性なら誰しも経験したことがある事…とはいいつつ、韓国に比べると日本はまだマシなのかもしれません。特に私自身が恵まれていて、目立った差別や区別、ハラスメントを受けた事がないからそう思えるのかもしれませんが。ついこないだである2010年頃でも、賃金の差や明らかな差別があったんだなあと驚く。
ラストに明かされる独特の文体の正体は「主人公キム・ジヨンを診察した医師のカルテ」でして、これが淡々と進んでいくので、より事実を突きつけられて辛い時がある。時々、キム・ジヨン氏の言葉も間に入るのですが、やっぱりどこか人ごとというかあっさりさっぱりしている感じがあって。だからこそ、女性は共感するし、男性は想像しなかった事実に驚いたりするのかなあと思いました。
あとは数字的な情報も途中で入ってくるので、論文的な要素も感じました。こういう揺るがない数字を出されるとより現実味が出ますよね。意外にも小説部分とちょうど良いバランスで、感情移入しているこちらの気持ちが削がれる事もなく、スムーズに読めました。韓国ってすぐお隣だけど、結構日本と違う文化を持っているんだよなあ…(今更)
何より皮肉なのは、キム・ジヨン氏を診察している医師は「自分は他の男性より理解があるし身近にいる奥様にもちゃんとしてるもん」っていう割に、自分の病院で勤めている看護師には思いっきり差別しているというこの構造。この本が受け入れられたのは「覆してやろう」とか「論破して黙らしてやろう」「間違いを正してやるんだ」みたいな気持ちではなくて「ただ淡々と事実を突きつける」という部分に特化しているからなのかなあと思いました。
あとがきにもあった、「男性には夫以外には名前がなくて、女性にはどんなにちょっとしか出てこないキャラクターでもフルネームが設定されている」というのも、著者の強い意思を感じました。確かに、確かにそうだったわ…と読み終えてから驚いた。

映画も見てみようかなと思いました。(コン・ユが出てるみたいだし)


2021.10.13〜2021.10.16


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