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洋画は英語の表現力を向上させる絶好のツールだというのを今回のセリフでも実感しました。

映画「リメンバーミー」で Final death (2度目の完全な死) が間近に迫っているチャチャロンへ最後の歌をヘクターが届けるシーンです。

チャチャロン: You play me something. (お前、何か弾いてくれ)

( ヘクターが歌い終わる )

チャチャロン: Brings back memories. (懐かしいな)

( チャチャロン消えて亡くなる ):

ミゲル: Wait.  What happened? (どういうこと?)

ヘクター: He's been forgotten.  When there's no one left in the living world who remembers you... you disappear from this world.  We call it the final death. (忘れ去られた。覚えてる生者が誰もいなくなると、ここからも消える。“最後の死”と呼ばれている)

ミゲル: Where did he go? (どこへ行ったの?)

ヘクター: No one knows.  (さあな)

      ( 中略 )

But there's no one left alive to pass down Cheech's stories.  Hey, it happens to everyone eventually. (彼の思い出は語る人がいなくなった。人は誰でもそうなる)

映画「リメンバーミー」より

セリフの太文字の部分を見ていきたいと思います。

play me something「(私に)何か弾く」

この表現を見た時、新鮮味を覚えました。というのは give (人) (物) や buy (人) (物) などと同じように play (人) (物)で使われていたからです。play のこの用法は随分昔に出会ってからかなり経っています。

でもその時に見たのは play ... for (人)だったように思います。ですから play (人) (物)もいけるんだと少しびっくりしました。

そして、その驚いた理由がわかりました。それは play me the guitar は不自然で、play the guitar for me は問題なく使えるからです。

Q & A サイトの HiNative に聞くと返ってきた答えは次のとおりです。

Q: Can you play the guitar for me? と Can you play me the guitar? はどう違いますか?

A: the second doesn't sound natural to me. ( 2番目の文は私には自然に聞こえない )

Q: How about “Can you play me some songs on the guitar”?  Does this sound natural?

A: yes that sounds good to me.
( それは問題ない )

HiNativeより

答えてくれたのはアメリカ人です。

play the guitar for me「私にギターを引いてくれる」はOKだけれど、play me the guitar は変である。しかし、play me some songs on the guitar「私にギターで歌を引いてくれる」はOKです。

give, send, buy などは(人)と(物)を常に入れ替え可能なので play だけができない場合があるのは面白いです。

Brings back memories.「懐かしいな」

( That song ) brings back memories. と That song ( ヘクターが歌った曲 ) が省略されています。

bring back ...「呼び戻す」から、「思い出(memories) を呼び戻す」が直訳です。そこから「懐かしい」と意味になるのはわかりやすいですね。

ただ、「〇〇、懐かしい」がすぐに “〇〇 bring back memories” と口から出てくるかはどうでしょうか。

私は「懐かしい」に相当する英語として真っ先に浮かぶのは nostalgic です。カタカナで「ノスタルジー」というので nostalgic がまず思い起こされて “This song makes me feel nostalgic.” などと表現することが多いです。

でも nostalgic って案外 big word かもしれません。ですから bring back memories も口からすぐに出るようにしておこうと思った次第です。表現力の向上が必要ですね。

it happens to everyone eventually.「人は誰でもそうなる」

eventually「最終的に」なので、直訳は「それは最終的にすべての人に起こる」である。そこから、例外なく最後は皆そうなる、という意味になります。

it は final death (最後の死)で、一度死んだ後に皆から忘れられて再度死ぬことです。ヘクターが歌を歌った後にチャチャロンはその final death を迎えたのです。

ですから、「Final death は例外なく皆に起こること」だとヘクターはミゲルに言ったのです。

ここで取り上げたい表現は、It happens to everyone. です。

今回のヘクターのセリフでは、ネガティブな意味で使われていますが、「大丈夫。よくあることだし」と相手を励ます時にもよく用いられます。

It happens. という言い方もありますが、「仕方ないよ」という意味で、It happens to everyone. と似ていますが、後者は everyone があるので、「あなた1人じゃないよ」というのを強調しています。

毎回思うことですが、洋画は英語の表現力を向上させる素晴らしいツールです。今後も洋画という媒体を通して英語力の向上を目指して行きたいですね。

That’s all for today.  See you!

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