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サメ本のPRで行った海には何もありませんでしたが、最終的には最高でした。

 会社の偉い人が「次のnoteの記事、君の担当した『サメ図鑑』らしいじゃない。noteはビジュアルも大事だし、暖かくなってきたし、海、行けば?」というので、海に来ました。
 “こどもの本の編集者が、「いま」伝えたいこと、アピールしたいことを熱く語る“という、このマガジンですが、まずお伝えしたいのは、サメ図鑑じゃなくてサメ事典だということ。                     『ヤバかわ! ユルすご!! まるごとサメ事典』です。

あと4月の海はまだ風が冷たいということです。

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▲とにかく寒い……。おでこのシワが寒さを物語っています。

 まあ来てしまったものは仕方ありません。やれることをやろうと思います。サメ事典はもう出版されていますが、何しろ「サメだけをテーマにしたイラスト事典」というニッチな内容なので、その存在をもう少したくさんの人に知ってほしいところです。そういうのも、編集者の仕事のひとつですので。

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▲いいお天気だったので、ソーシャルディスタンスで海岸散策する人も。

 まわりを見回すと、海浜公園内なので、家族連れがチラホラといらっしゃいます。子どもさんに声をかけて、サメ事典を読んでもらって感想を聞けたりしたら、記事的には嬉しいのですが。いかんせん、こちらは全体的にヨレヨレの中年編集者……。今日はいちおう本のPRで来ていますし、通報案件は避けたいところですので、グッと我慢して海を眺める人に徹します。

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▲とりあえず海をバックに一枚。自撮り棒が役に立った瞬間。

 そもそもこのご時世、むやみに人に声をかけるのもはばかられます。何枚か写真をとったら、もうすることが無くなりました。今日のために自撮り棒も買ったのに……。薄々予感はありましたが、海に来たからといって、どうにもなりませんねコレ。

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▲海の向こうは千葉県。サメは……いませんね。

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▲空港のそばなので飛行機が近い

 さて、帰るか……。

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▲泳げないし……。

 と思いましたが、そういえば近くにもう一か所、おあつらえ向きの場所がありました。

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▲そうです、ここ、しながわ水族館

 ここにはたしかアレがいたはず! 休日ということもあって、子ども達が楽しそうに走り回っています。イルカショーとか、テンション上がるもんな。でもね、ただ、私はサメが見たいんだよ。目的はサメのみ。
 そう、しながわ水族館には、サメの水槽があるのです。サメはどこだ!?

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▲おー!!あった!!これこれ!!!

 「シャークホール」の案内板を発見し進んでいくと、見えてきました。円柱型の水槽に、編集中にイラストでは何度も見た、あの姿が!

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▲いたー!ほんものだー!!

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▲おんなじ! おんなじーっ!

 ネズミザメ目オオワニザメ科シロワニです。最大で4メートルを超えるという巨体が、水槽の壁に沿ってゆうゆうと泳ぐ、この迫力。すごい。
 館内は、フラッシュにさえ気をつければ撮影OKということですので、めちゃめちゃ近くで写真もとれます。シロワニと一緒に本の表紙をアピールし放題です。最高。

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▲来てよかった!!貴重な3ショットも!!

 イルカショーが始まって館内の家族連れがあらかたそちらを見に行ったので、気兼ねなく写真をとりまくっていると、後ろで「お、トラザメじゃん」という声がしました。見ると小学校低学年くらいの男の子でしたが、マイナーで似た種も多いメジロザメ目の小型ザメをひと目で判別するあたり、ただものではありません。

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▲トラザメとは、シブいところをついてくる。

 邪魔にならないよう脇に避けながら、ひょっとして彼はイルカでも他の魚でもなく、とにかくサメが好きなのかなと思いました。編集部に読者ハガキを送ってくださる、サメ事典の読者の方とイメージが重なったのです。
 「“なぜか”サメが大好きで」とか、「“サメだけ”の本を探していた」とか。本当にありがたいことです。ただ、そういう子は、学校とかで変わり者だと思われちゃったりするのでしょうか。「サメだけが好きなんて変なの」なんて言われたり?                             

 でも担当編集者としては、イルカショーそっちのけでマイナーな小型サメを見に来ちゃうような子にこそ、「この本は、あなたのために企画しました」と伝えたいです。
 この本、サメのことだけ一生懸命考えた人やサメの研究をずっとしてきた人が作った、サメが好きな人のための本なんです。そういう人たちって、けっこういるんです。ひとつのものがなぜかどうしても好きだっていう人。だから、あなたがずっとサメ好きでいても、ぜんぜんオーケー」と。

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▲ミツクリザメ。カッコイイ!本とツーショット撮ればよかった……!

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▲アオザメの歯ですって。こんな生き物、夢中になって当然、て感じです。

 そんな気持ちで、『サメ事典』をさりげなくカバンから出したりしまったりしながら、しばらく彼と並んで水槽を見ていましたが、男の子はクールに去ってしまいました。まあ今日は、これくらいにしといてやりましょう。挙動不審ラインのギリギリまでは攻めました。

 サメ事典のアピールには、なっていなかったかもしれませんが、生のシロワニとイラストをじっくり見比べられたので、大変満足です。記事の内容が連載の趣旨とずれている点については、あとでnoteの連載担当者と会社の偉い人に謝っておきます。
 ともあれ、本が出版された後の編集の現場(の片隅)からは、以上です。 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

 そういえば、この記事を読んで下さった、あなた。もし「なぜか○○が好きで仕方ないんだけど、そんなニッチな本は無いよな」とお思いでしたら、お知らせください。次はあなたのために企画した本をお届けできるかもしれません。PRは、あまりうまくできないかもしれませんが。

               ポプラ社児童書編集 勝屋圭

ご協力いただいた「しながわ水族館」
〒140-0012
東京都品川区勝島3-2-1 HPはこちら https://www.aquarium.gr.jp/

※ソーシャルディスタンスを守り、必ずマスクの着用、こまめな手洗いやアルコール消毒剤による手指の消毒を徹底して取材をしております。