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チキチキ! 第一回「予算一万円・制限一時間で好きな本を買ってお披露目しよう」大会

きっかけは、このツイート。

書店員であり人気tiktokerでもある「ほんやのなす」さんが投稿したツイートは、1万RT、4.3万いいねをたたき出し、大バズりしました。

それもそのはず。
予算を決めて誰かと本屋さんに行って、みんな勝手に散らばって好きな本買いあさって、そのあとどっかのカフェでお披露目会するなんて……
控えめに言って最高じゃないですか?

誰かと本の話をしたいし本屋さんに行きたいけど、本は一人でゆっくり選びたい。だって読書の好みや嗜好は人それぞれで、だからいい。でも、ほかの人はどんな本が好きで、どんな本を買うのかすごく気になる。
そんな本好きあるあるを的確に表したツイートで、この記事をまとめているモリも全力でいいねを押したものでした。むしろいいねが一回しか押せないのがもどかしかった……。

そんなバズりツイートを頭の片隅に残していたある日。
編集部のフジタさんからこんなお誘いが来ました。
「ほんやのなすさんと本屋に行って、予算一万円でおのおの本を買ってそのあとお披露目会するんだけど、よかったらモリくんも来る?」
そりゃあもう、ぜひ行きたいですとも!!

というわけで、本当に上記ツイートの企画を実施してきました。
参加者は三人

ほんやのなすさん
ポプラ社フジタさん
ポプラ社モリ

ルールはこちら

・自腹予算一万円でそれぞれ本を買う
(税込税別は細かく決めず金額は目安)
・制限時間は一時間
(一時間たったらお店の入り口で集合)

場所は、三省堂神保町本店にお邪魔してきました。せっかくの本好き企画だし、やはり本の聖地ですよね!

待ち合わせはお店入り口。(はやくも、なすさんは合流前に古本屋さんで本を一冊買ってきました)
ルールを確認したら、「解散!」の掛け声とともに散開。
誰かと一緒にわちゃわちゃしゃべりながら売り場を見ることもほとんどなく、さすが本好き同士ということでみんな黙々と買いたい本を選びました。

予算一万円って、大概の本を買えるような気がするじゃないですか?
決してそんなことはなくて、面白そうな本をぽいぽい籠に入れると一瞬でオーバーするし、あまりにも慎重にいくと一万円を超えなかったりする。絶妙に難しい設定金額なんです。
それに時間。
一時間もあれば十分だろうと三人とも思っていたのですが、ぜんぜん足りない足りない
なにせ6階建ての三省堂神保町本店なので、各フロアを覗いているとあっという間に時間が過ぎてしまいます。最後に慌てて買う本を決めたものでした。

そんなこんなで、三人が予算一万円でどんな本を買ったのかご紹介していきます。

〇ほんやのなすさんの選書

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・堀江宏樹『偉人の年収』(定価:880円)
・一條次郎『チェレンコフの眠り』(定価:1800円)
・真梨幸子『シェア』(定価:1650円)
・京極夏彦『地獄の楽しみ方』(定価:570円)
・乗代雄介『十七八より』(定価:610円)
・新堂冬樹『ホームズ四世』(定価:900円)
・クリスティーナ・スウィーニー=ビアード 『男たちを知らない女』(定価:1360円)

7冊で合計7,770円。
税込み8,547円
となりました。

おやおや1万円から少し遠いのではないかと思ったあなた。
ご安心ください。
お披露目会を終えて解散したあとに、なすさんは三省堂に戻ってまだまだ買い足しておりました(笑)

今回の企画を終えたなすさんのコメントはこちら

一万円分って、結構すぐ選べちゃうな、と思ったんですが実際選んでみると結構あれもこれも買えるので悩んじゃいました。
生活してると、食費とか生活費のことも考えてしまって単行本一冊でも買うこと自体迷ったり我慢したりするんですけど、
本だけに使える一万円!と思うと普段買わない本とかもどんどん手出せちゃうんですよね。純粋に読みたい本のことだけ考えて選べる時間、というのが幸せすぎました。
めちゃくちゃ満たされたのでこれは定期的にやりたいです!


〇ポプラ社フジタさんの選書

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・ジェーン・スー『きれいになりたい気がしてきた』(定価:1400円)
・ビアトリクス ポター『ピーターラビットのおはなし』(定価:1500円)
・川上未映子『春のこわいもの』(定価:1600円)
・中島美鈴・あらいぴろよ『マンガでわかる 精神論はもういいので怒らなくても子育てがラクになる「しくみ」教えてください』(定価:1300円)
・WRITES PUBLISHING『毎日読みたい365日の広告コピー』(定価:1850円)
・テイラー・ジェンキンス・リード 『デイジー・ジョーンズ・アンド・ザ・シックスがマジで最高だった頃』(定価:2400円)

6冊で合計10,050円。
税込み11,055円
でした。フジタさんの本体価格合計がニアピン賞ですね。

なお、どれも写真が微妙なのは、カメラの性能とモリの腕が悪いせいです。

フジタさんのコメントはこちら。

出版社に勤めるようになってからというもの、どうしたって企画を考えたり売り方を考えたりしながらしか本の買い物ができなくなってしまった私。心穏やかに買えるのは子どものドリルくらいなもので、どれを見ても何を手にとっても、どこか何かに生かせないかとか、どういう売り方してるのかとかばっかり考えてしまう日々。そんな中でほんやのなすさんから声をかけてもらったこの企画。時間制限いっぱいいっぱいまで一心不乱に書店内をかけずりまわり、ただ自分のためだけに欲しい本を漁るという至福の時間を過ごし、ああやっぱり私、本が好きだなあと改めて思いました。なんの脈絡もなく、私を幸せにしてくれそうな本だけを選べたおかげで、このお買い物以降毎日とても心が穏やかです。次回参戦者求む!

〇ポプラ社モリの選書

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・宝樹 『時間の王』(定価:2000円)
・キム・チョヨプ『わたしたちが光の速さで進めないなら』(定価:1800円)
・リチャード・フォス『空と宇宙の食事の歴史物語:気球、旅客機からスペースシャトルまで』(定価:2000円)
・筒井康隆『人類よさらば』(定価:740円)
・オラフ・ステープルドン『スターメイカー』(定価:1300円)
・堀江敏幸『オールドレンズの神のもとで』(定価:660円)
・杉岡 幸徳『世界奇食大全 増補版』(定価:800円)

7冊で合計9,300円。
税込み10,230円
となりました。

森のコメントはこちらです。

いやー、めちゃくちゃ面白かったです。普段の買い物だと2000円くらいの本を「う~ん高いかな~」と悩んで買うのをやめたり、優先順位的にその日買うのをあきらめる本もあるんですが、「一万円買っていいんだよ」と言われると金額を気にせず買える幸せ! そしてオールジャンルの中から純粋に好きな本を選べる幸せ!
また、いつもは小説の売り場しか行かないことも多いですが、時間とお金があるとほかのジャンルの売り場をゆっくり見れるんで、気づいていなかった面白そうな本と巡り合えて、すごく良い機会だなと思いました。おかげで趣味全開の本を買いまくれて満足感しかないです。この企画、半年に一回くらい定期的にやりたい!

みなさんのコメントにもありますが、予算を決めちゃうと普段はためらう本も買うことができます。また、ゆっくり好きな本を選ぶためだけに使う時間というのもすごく贅沢かつ幸せで、心を満たしてくれるイベントでした。

買ったあとのお披露目会もすごく楽しいです。誰の本もかぶらないどころか「そんな本あったっけ?」みたいな本もたくさんあって、本当にこの世には面白そうな本に満ちていますね。
また、お互いに純粋に好きな本を買っているので、その選書からその人らしさも見えてくる気がして興味深いです。

機会があれば、みなさんもぜひやってみてください。
この企画、本好きの間で流行るといいなあ。

三人で買った本を全部並べると壮観!

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最後にみんなで集まって記念撮影。
左からフジタさん、けんごさん、なすさん、モリです。
けんごさんはみなさんご存じ、大人気・小説紹介クリエイター。4月28日に『ワカレ花』で小説家デビューですよ! そっと増えたのは、途中で合流したからです)

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記事作成:文芸編集部・森潤也




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