クロのお名前

クロ という名前は保護施設にいたときにつけられたものだ。

クロと出会うまではいくつかつけたい名前の候補があったのだけど、いざクロに出会ってしまったら、「じゃあクロでいっか」となってしまった。

黒いから、クロ。
なんの捻りもないストレートなその名前はとても呼びやすく覚えやすい。しかし、老若男女問わず人間たちには愛されているものの、本人（本犬）においてはいまだに馴染む様子がない。

家族に「クロ」と呼ばれ、散歩をしているときにご近所さんに「クロちゃん今日もかわいいねえ」と声をかけられてかれこれ1年以上。もしかして聞こえてないの？と思うほど、彼は華麗に知らんぷりをする。

本当は馴染みのある名前で呼んであげたいものだけれど、彼の過去にまつわる情報は全く教えてもらえなかったので仕方ない。これからも、我が家での彼はクロだ。

いつ彼が「あ、おれ、クロだ」と気づくのか、お楽しみに。

2022.3.7 西垣ポプラ

（黒色のそばが落ち着くのかな）