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テレワークでも人間関係を育む5つの方法

「リモート起業家」の私がテレワークで活躍する秘訣をお届けするリモート仕事術シリーズ。今回は「テレワークでも人間関係を育む5つの方法」をテーマにお伝えしていきます。

私は2013年にポップインサイトという会社を起業しまして、その会社の業務形態を2016年からフルリモートに変えました。 フルリモートの形態を進めていく内に、だんだん入社した当初から一度もリアルで会わない、面接もリモート、その後の業務も全てリモート、という状況で社員を増やして行くという運用形態になりました。 2020年ごろには社員数も50人程になっており、月に1人ぐらい新しい社員が入社していたのですが、やはり最初からリモートなので、人間関係を作っていくのは簡単なことではありませんでした。 

「リモートだから人間関係は要らないんじゃないですか?」とよく聞かれるのですが、実際は逆でした。物理的距離があるリモートだからこそ、やはりある程度人間関係がないと、信頼し切れなくて不安ですし、仕事が上手く回らないんですね。

如何にリモートで人間関係をきちんと作って仕事を円滑にするのか、良い仕事をしていくのかということには相当苦心して来ました。 今回はその結果を具体的な取り組みとともに皆さんにシェアできればと思います。

▼今回の内容は以下の動画でもご覧頂けますので、ぜひご覧ください!

※当記事では、見出し下の画像をクリックして頂くことで、動画版の該当箇所をご覧頂くことができます。

今回のサマー

1.リモート化だと残念ながら社内のつながりは間違いなく減る。

2.そのため、人と人をつなげる人間関係を育む仕組みを会社単位チーム単位で意図的に作る必要がある。

3.この仕組みの運用のカギを握るのはマネージャーである。

以上が今回お伝えする内容です。それでは早速内容を見て行きましょう。

なぜリモートだと社内の繋がりがなくなるのか

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それではまず「なぜリモートだと社内の繋がりが無 くなるのか」という理由について紹介して行きたいと思います。

理由の1つ目は「出会いがない」ということです。 やはりオフィスに出社していれば、横に座っているとか、カフェで一緒にお茶するとか、すれ違うとか、色々な場所で同じ会社の人と会う機会があって、少なくとも顔見知りになりますし、顔見知りになっているからこそ、 ちょっとしたきっかけでも新しい人間関係ができるということがありますよね。

リモートの場合、残念ながらそういった事はほとんどありません。仕事で関係ない人は、コミュニケーションをとる機会が全く無いですし、同じ会社であっても顔も存在も知らない、名前も覚えないといったケースが多くなりがちです。

理由2つ目は「同期する時間が少ない」ということです。出社していれば横に座っていたりとか、同じ部署の人と同じ時間同じ場所を共有しているので、明らかに話しかけやすくて、話しかけないまでも一緒にやってる感がでます。

ところがリモートだと、同じチームであったとしてもそれぞれ別の環境で、場合によっては違う時間軸で働いています。これによって、こういった同期する時間というのが非常に減ってしまうのです。

その結果どうなるかというと、やはり雑談などがほとんど起こりません。 勿論、業務の連絡などは必要に応じて行われますし、そこにおいては「リモートであっても問題ないよね」「むしろ生産性上がるよね」ということは色々な調査でも結果がでています。しかし、やはり雑談が減ると人間関係を育んでいく上では明らかにデメリットがあります。

マイクロソフト社の調査結果

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これに関して、マイクロソフトが今年2021年9月に出した従業員6万人の動向をコロナが起こって世界的にリモート化した後に定量的に分析したレポートがあります。

このレポートでは、「リモート化したことによって、新しい繋がりやあまり関係性がないと思われる弱い繋がり、また部署横断的な繋がりというのが激減してしまう」。また「コミュニケーションの時間も無くなっている」。さらには「コミュニケーションの方法として、電話であったりオンライン会議といった、時間を同期するリッチなコミュニケーションが減っている」「メールやチャットといった非同期のちょっと薄めのコミュニケーションが増えている」ということが定量的に検証されています。

さらには、このレポートの中では別の先行研究も紹介されていて、繋がりが無くなることで組織の生産性が下がるということも説かれています。個人が活躍しづらいであったり、コミュニケーションがリッチでないと人間関係が疎遠になってしまうといったことも紹介されていて、マイクロソフトの定量的なデータと、この先行研究の結果を重ね合わせると、リモート化で繋がりやコミュニケーションのリッチ化が減り、組織の生産性や組織の人間関係にあった悪い影響を及ぼすということが説かれています。

このマイクロソフトのレポートに関しては、別途noteで要約と解説をしていますので、是非ご覧頂ければ幸いです。

方法1.入社したらまず全社員と1on1を行う

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以上の背景を踏まえて、次に私が実際に行って来たリモートワークで人間関係を作る5つの方法を紹介して行きます。

1つ目は「入社したらメンバー全員と1on1をする」という取り組みです。1on1というのは1対1で話す機会のことです。 リモートではオンライン会議やZoomで1対1で話すことを言います。

私が起業したポップインサイトでは、入社したら必ずまず全社員と1回30分の1on1をするというルールにしていました。 

やはり一度1対1で話したことがあるか無いかで、仕事のしやすさ、コミュニケーションの取りやすさが全然違うんですよね。 1回でも話していて、少しでもお互いのエピソードや背景情報を知っていれば、オンライン会議で何人かで話しているときにも、「さすが○○さん、あの経験が活きていますね」といったちょっとした良いリアクションや盛り上げができる訳ですが、一度も話したことがなくて人となりを知らないと、業務の話はできても円滑なコミュニケーションを取ることは難しいですよね。そういったことからも、社員数が増えて時間を要する事になっても大切な投資だと思い実施していました。 

大きな会社になると全社員相手は難しいと思いますが、チームの中や部署の中では、ぜひ全員と1on1をする機会を設けることをお勧めします。

方法2.メンバー同士の定期的な1on1を行う

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2つ目の方法は「メンバー同士の定期的な1on1を行う」です。入社時だけではなく、その後も定期的にメンバー間の1on1を行うことをルール化するということです。

通常1on1は上司と部下間で行われるケースが多いですよね。評価や人材育成を促進する上で、1週間や2週間に1回1on1をして、上司が部下の悩みを聞いてあげたり相談に乗って、同時にパフォーマンスを確認して行くという取り組みとしての1on1が一般的ですが、これを上司部下間だけでなく、横のメンバー同士でも定期的に行うということです。

私のチームの場合は、毎週1回30分づつチームのメンバー同士で1on1をするという運用です。それによってリモートで減ってしまう雑談やコミュニケーションの時間を自動的に確保していました。

勿論真面目なメンバーだと、そこで仕事の話をしたり、他のメンバーの心配をしたり、雑談ばかりしている訳ではありませんが、1対1でしっかり話せる時間が定期的にあるので、チームメンバーの中での人間関係が確実に育まれていき、業務にも大きくプラスになります。こちらも大変お勧めな取り組みです。

方法3.毎日チーム朝会を行う

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3つ目の方法は「毎日チーム朝会を行う」です。 私の会社やチームでは、毎日朝会を行って来ました。全員きちんとビデオをオン(映像をオン)にして朝から30分位コミュニケーションを取っています。

その際には冒頭15分位それぞれちょっとした雑談をします。人数が多いとフリーの雑談は難しいので、1人1分位で、昨日あった良いことを共有する「Good and New」と名付けた取り組みをします。後半15分では、「今日自分は何をするのか」という業務の進捗をそれぞれが発表し共有します。こういった朝会をしてきました。

こういった取り組みをすることによって、互いの人となりや近況を知る機会にもなりますし、顔が見えて様子がわかるので、相互のコンディションも分かります。

もし落ち込んでいる方がいれば、朝会が終わった後に個別にメッセージしたり、場合によっては電話をしたりして「大丈夫?何かちょっと顔色が冴えない感じだったけどどうしたの?」といった感じで気遣いのコミュニケーションができます。こうすることで、未然にメンタル的な悪いことや落ち込みを防止することもできます。

朝会というと古い印象があるかも知れませんが、リモートだからこそより有益だという事が言え、お勧めの取り組みです。

方法4.グループを分けた雑談タイム

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4つ目の方法は「グループを分けた雑談タイム」です。私のチームだと朝会を10人位で行う訳ですが、10人全員でフリーに雑談やコミュニケーションをするのはちょっと難しいんですね。そこで、雑談をしたい時には3〜4人ぐらいにチームを分けて、その中で雑談をするという取り組みをしています。

以前私の会社が社員数50人位の時に、毎週月曜日の1時間位で全社リモートミーティングを行っていたのですが、この全社ミーティングの中で部署横断した人間関係を作るために、前半30分はランダムでメンバーを決め、小グループに分けた雑談タイムにしたのです。

その雑談タイムの中で、今週あった良いことや、もっと会社を良くするにはどうしたら良いのかといったテーマを決めてグループで話し合ってもらい、話した内容をスプレッドシートでそれぞれ書いて全社員で共有するということを毎週行っていました。

メンバーをランダムにシャッフルすることで、別のチームの人とも話す機会が持てる訳です。小グループに分けることで、リモートであっても人数が多すぎないので、雑談やプラスアルファのことも話せることによって人間関係を育めるという取り組みでした。

方法5.チャットで自分/つぶやきチャンネルを作る

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5つ目の方法は、「ビジネスチャットの中で自分のチャンネルを作り、状況を呟いてもらう」ということです。例えるならビジネスチャットの中に自分専用の発信チャンネルを作り呟くというTwitterのようなイメージのことをしている取り組みですね。 

最近世界のトップビジネスシーンで、よくある「日報」に対して「分報」という手法が流行しています。勿論毎分報告を上げるという訳ではありません。しかし1日1回の報告では昨今のビジネススピードには全く足らず、必要性に応じて分単位、なるべくリアルタイムに情報を共有しようという取り組みです。私の会社やチームでは、この「分報」を自分のチャンネルの中で行っていくようにしていました

これに対してよく「雑談チャンネル」とかを作るということを耳にします。しかし、私の印象では残念ながらこの雑談チャンネルはあまり使われている印象がありません。仕事に関係ない呟きをどうぞ、と会社に言われてもどうして良いのか分からないですよね。

しかし、「自分チャンネル」を作り報連相やあらゆる発信をそこで行うというルール化をすることによって、俄然やりやすさも必要性も向上し、自然と使用頻度が上がります。

呟きがあった際には、それに対して他のメンバーや別部署の人や、上司が反応します。これによって一緒に仕事している感も大いに出ますし、これをきっかけに雑談やコミュニケーションの種になるので、非常にお勧めの手法です。

これらの取り組みはマネージャーが鍵を握っている

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以上のように5つの取り組みを紹介した訳ですが、ポイントは「導入の鍵はマネージャーが握っている」というところにあると思います。

新しい取り組みをいきなり全社単位で行うのは現実的になかなか難しい面があると思います、それに対してチーム単位で行うのであれば、実験的アプローチとして簡単に導入することができます。そんな時に導入を決めるのも運用を実質的に担うのもチームのマネージャーだと思うのです。マネージャーの采配で全然実現可能だと思います。

マネージャーがその気になりさえすれば、チーム内の1on1も、朝会も、小グループに分けての雑談タイムも、自分チャンネルも、全て簡単にスタートでき活発に運用できます。

ぜひこのnoteをご覧頂いたマネージャーの方、またメンバーの方もマネージャーの方に連携して頂いて、早速1個でも2個でも実践して頂ければ、格段にチームの人間関係を育むことができると思います。ぜひこれをきっかけに取り組んで頂ければ幸いです。

今回のおさらい

それでは今回の振り返りをしたいと思います。リモート化にすると、残念ながら社内の繋がりは減ってしまいます。 だからこそ、具体的な人間関係を育む仕組みが必要です。 

入社時の全社員との1on1であったり、メンバー同士の定期的な1on1、朝会を行ったり、小グループに分けて雑談タイムを設けたり、またチャット上で、自分チャンネルを作って呟く仕組みを作る。 

そしてこれらの運用の鍵を握るのはマネージャーで、マネージャーさえその気になればどれもすぐ出来ると思いますので、早速1つ2つ実践して頂き、ぜひ皆さんのチームの人間関係を育んで頂ければ幸いです。

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▼動画版はこちらです。ぜひご覧下さい!

▼YouTubeチャンネル「テレワークで活躍したいなら~池田朋弘のリモート仕事術」

▼テレワークで活躍したい方向けのnoteシリーズ

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ぜひ、テレワークを導入される皆様の、より良い職場環境作りや、より楽しくて幸せなチームコミュニケーションの一助になればと心から願っています。


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