見出し画像

ポップインサイト創業記(74)〜M&Aの打診を受ける

これまで8ヶ月に渡ってお伝えしてきました「ポップインサイト創業記」も、いよいよ第1部のエンディングに近づいてきました。今回は、その後にグループ入りしたメンバーズ社からM&Aの打診を受けた際のエピソードをお伝えしたいと思います。

新体制ができて再チャレンジに向けてスタートした矢先に…

ポップインサイトの再チャレンジに向けて、新体制や新たなビジネスモデルを整えていた2016年10月、別に立ち上げていたクラウドソーシング会社のM&Aでのバイアウトを行いました

こちらの事業は、当時流行し出していたクラウドソーシングの分野で、事業としての伸び代を見込んでスタートしたものでした。実際に、中心になって担ってくれていたS君の奮闘もあって業績も伸びていた事から、良い形でM&Aできるのであれば、それも大いに有益な選択肢になり得ると考えていました。

そこで、M&A会社を使ってバイアウトに着手していた所、順調に話が進み、その年の10月に無事に完了することができていたのです。

自身初のM&Aを無事に完了し、片やメイン事業のポップインサイトも危機的状況を乗り越え、新役員体制や新たなメンバーも整えた。そんな正に「さあ、これからまたガンガン事業をやっていくぞ」と思っていた矢先、数ヶ月前にストック型のビジネス契約を取り交わしていたメンバーズ社から、「さらにより良い連携を相談できませんか」という打診が届いたのです

メンバーズからM&Aの打診を受ける

私としては、私達との連携をより深めて、ユーザーテストのサービスをメンバーズの事業の有益な1ツールとしてさらに積極的に使って行きたい、といった話だと思い、早速メンバーズの髙野 明彦さんの元に足を運びました。髙野さんは、現在メンバーズ唯一の社内取締役として、会社を支えるNO.2の役割を担う方です。当時も既に会社の中核的な存在でした。

髙野さんとの面談が始まると、すぐに私がイメージしていたよりもずっと大きな話だということが分かりました。その内容はM&Aを前提とした資本業務提携の打診だったのです。

「あ、そっち系のお話なんですね」と。私はちょうどその2ヶ月前に、1社M&Aし終えたばかりで、さらに他の人が経営する2つの企業に参加していた際にもM&Aを経験していたので、全く違和感無くお話を聞くことができました。

ただクラウドソーシング会社をM&Aした直後だったので、「そんなにすぐ次の話が来るかな」といった、あまりに早いタイミングへの驚きはとてもありました。

実はもともと可能性の1つとして考えていた

元々私はポップインサイトの方向性を考えていた時に、そのサービスの性質やビジネスモデルから、一社単独で上場したりメガ企業になるなどの巨大な成長をしていくタイプではないと感じていました。

むしろ大きく成長していく会社の1ツール、1パーツとしてサービスを提供し、共に成長していく事の方が可能性としてあり得ると思っていました。さらには、そういった実績を重ねる事で企業バリューを高め、最終的にM&Aでバイアウトするのも大変有益な選択肢だと考えていました。

同時にメンバーズ社に対しても、クライアントのサイト運用で大変業績を伸ばしている、高い顧客ニーズと豊富な資金力を持つ企業として非常に好印象を持っていました。正直な所、M&Aをするのであれば、バイアウト先の候補となり得ると考えていた数社の内の1社でした。

そんな会社から実際に打診が来た訳です。私は改めて熟考した上で、前向きに話を進める事を決めました。

M&Aに向けて進み始める

M&Aでは、会社の価値を調べるデューデリジェンス(Due Diligence)という調査が行われます。デューデリジェンスとは、投資を行うにあたって投資対象となる企業や投資先の価値やリスクなどを調査するものです。つまり、私達ポップインサイトが、購入するに値する会社かどうか、また購入の支障になる要素が無いかどうかを調べて行く訳です。

事業実績は勿論の事、今後の事業計画はどうなっているか、法務系の契約書はどういうものがあるか、事業の概況や競合の存在などのリスク要因、成長要因・・・といった多種多様な検討要素に対して、全て補完する書類や資料を完璧に整えなければいけません。その作業量は膨大です。

その上でこちらの要望や希望する条件を提出して、それに対して先方の意見が返ってくる、それに対して再び意見を返す、といったラリーを何度も繰り返しながら、双方の意見や条件をすり合わせて行き、合意の大枠を決めて、細かい所を各論でさらにデューデリジェンスして行くといった流れで進んでいきます。

条件には具体的で詳細な内容が盛り込まれます。例えば、ポップインサイトの社員にはリモートワーク前提の人が多くいたので、リモートワーク可能という事は必須条件にしたい、といった様に希望条件を細やかに提示する訳です。

そういった要望や条件を提示し、先方が検討の上修正案が出され、それを再度検討して再修正案を提示する・・・という形で双方の条件をすり合わせていき、最終的な合意契約内容を決定していく訳です。

幸い私はM&A経験があったので、必要資料やこういった全体的な流れ等が分かっていました。これが全くの初めての経験であれば、相当苦労したと思います。

さらに、そもそもメンバーズ社が求める「クライアントワークのサイト運用において、より成果を出して行きたい」という方向性と、ポップインサイトのユーザーテストの「リサーチにおける高い有益性」の相性度合いが非常に高いという事は、明白でした。

その為、メンバーズ社の剣持 忠社長にお会いした際にも、スムーズに基本合意に到り、すんなりと詳細な手続き段階へと進んで行く事ができました。

この様な感じで、少し前のタイミングに危機的状況を乗り越えて上昇に転じたばかりのポップインサイトでしたが、いきなりM&A検討という非常に大きな局面に入った訳です。

これらが2016年の12月から翌1月にあった出来事ですが、そこからさらに「年度内の3月末までに手続きを終えましょう」という事になり、膨大にある全ての資料を僅かな期間に猛烈なスピードで整えていく、“怒涛の3ヶ月間”に突入する事になるのです

次の記事((75)〜M&A交渉と繁忙期が重なる)へ進む

前の記事((73)〜オフィスレスなのに採用増加)へ戻る

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?