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「自分を表現」するためのコツ 〜「自己トリセツ」を作ろう(テンプレ&チームで使えるワークショップ資料付き)

「自分を表現」するための重要なポイントの1つは、自分がどういう人間か知ってもらうこと。それにより、仕事がスムーズにできたり、話していることの真意がちゃんと相手に伝わったりします。

そこで有用なのが、自分の取扱説明書を作ること。名付けて、「自己トリセツSheet」です。生まれや育ち、どんなことに関心があるかなどのバックグラウンドを記したもので、相手の見方や反応を変化させるのに大きく役立つこと間違いなし!です。

YouTubeチャンネル(リモートコミュニケーション実践塾)でも同内容を公開しているので、よろしければぜひこちらもご覧ください。

バックグラウンドを知っていると見方が変わる

話す人のバックグラウンドを理解したうえで、発言を捉えることができるかどうか。その人の人生の流れの中での発言が理解できると、解釈の仕方が統一的になるはずです。逆に、バックグラウンドを全く知らずに聞く発言は、解釈が変わってくるはずです。

例えば、こんな話があります。

「ある午後、電車に乗り合わせた男性は、とても機嫌が悪そうに見えた。その男性を見て『感じ が悪い人だな』と思った。しかし、後に、男性は午前中に妻を事故で亡くしていて、その帰り道 だったことが発覚。ものすごく辛い状況の中で電車に乗っていて、結果的にそう感じさせる態度 をとっていた」

バックグラウンドを知らなければ「ただの感じの悪い人」でしかありませんが、バックグラウンドを知っていれば「辛い思いに直面しながらも、前に進む人」という風に、男性の見え方は大きく変わってくるはず。このように、全く同じ状況でも、そのバックグランド=エピソードを知っているかどうかで、モノの見方が大きく変わってきます


また、私が経営していたポップインサイトに、去年の秋入社してきた社会人経験がない女性がいました。

その女性に書いてもらった「自己トリセツSheet」には、「敬語が苦手」と書いてありました。実際、 10歳以上年齢が離れた社長の私に対してもタメ口で話しかけてくることがありましたが、「自己トリセツSheet」で情報を共有していたので、「気をつけたほうがいいよね」と冷静にアドバイスすることができました。もしこの情報がなかったら、「こいつ、なんだ?」と嫌悪感が先行してしまう事例です。取扱説明書に記載されていたから、敬語を使うように努力しようとしている姿勢、 タメ口が出てしまわないように気をつけようとする姿勢が見えてきます。だからこそ、重要な取り組みだと思っています。

【テンプレあり】「自己トリセツSheet」は、バックグラウンドやコミュニケーション特性を伝えるツール

つまり、周りの理解を促すためには、自分がどういう人間なのかを、ストーリーや矢印をもって発信することが大事です。そこで有用なのが、自分の生まれや育ち方、どんなことに関心がある かなどのバックグラウンドを記した取扱説明書「自己トリセツSheet」。自分がどういうタイプ の人間か周りに伝わりやすくすれば、天秤にかけるような事態があっても理解されやすいですし、 許されやすいです。

以下、私の実例とテンプレートを公開しておりますので、ぜひご活用ください。

自己トリセツのきっかけは、精神障がい者セミナー

そもそも私がこの取扱説明書の必要性を感じたのは、精神的に問題を抱えている人たちのセミナー に参加したことがきっかけです。その際に、セミナー講師が、精神的に問題を抱えている人たちのことを「電池がかなり消耗しちゃってるスマホなんです。知能や機能は同じでも、エネルギーが すぐに減ってしまう」と例える発言がありました。購入から2年経ったスマホのように、バッテリーがすぐに切れてしまい長持ちしない、ということです。減りゆくバッテリーを意識しながらでないと、決められた時間を働き続けることができません。

一方、障がいがない人は、比較するならば、ある程度充電できちゃうスマホ。多少無茶な使い方をしても尽きることはないので、1日8時間の通常運転ができているように見えます。

「1対1で話すことが苦手」、「集団の中にいることが苦手」など、人によってエネルギーの切れ どころは違います。その傾向をつかみ、対策が取れれば、そのような人にとっても働きやすい環境をつくることができるはずです。

そこで、この団体が始めた取り組みの一つが、「自分の取扱説明書を作る」というものでした。 作って共有してみると、特性を知ってもらうことができ、お互いの理解につながっていったとい います。

このセミナーに参加して思ったのが、「これ、普通の人も一緒だな」ということです。精神的な 問題を抱えているかどうかに関わらず、すべての人にあてはまること。みなバックグランドも興味関心も、コミュニケーションのとり方も違います。お互いを知って理解し合い、より良いコミュニケーションスタイルをつくっていくためには、誰もが自分の取扱説明書を作ることが大切だと感じました。

このように、障がいがある人がいた時に、その人に合わせた最適解は、他のメンバーにとっても プラスに働くという話はよくあります。例えば、ジッポライターは、戦争で腕がなくなってしまっ た軍人でも使えるように作られたものですが、片手で使えて便利と広く普及しました。いわゆる、ユニバーサルデザインやインクルーシブ(包括的)デザインと言われるものです。こうした発想は世の中にとても大事だと思いますし、個人的にも使い分けを意識してやっていきたいなと思って います。

自分の取扱説明書=「自己トリセツSheet」を作り、予め共有しておくかどうかで、コミュニケー ションの仕方や関わり方は大きく変わってきます。これは、どんな人にも言えることです。リモー トワークはもちろん、オフィスで勤務する際にも有用なので、活用してみることをおすすめします。


自己トリセツにまつわるQ&A

2020年11月に『テレワーク環境でも成果を出す チームコミュニケーションの教科書』を出版してから、様々なところで自己トリセツの仕組みや価値を説明してきました。

その中で、実際にチーム導入を検討する上での様々な疑問・不安をいただきましたので、Q&Aをご紹介します。


Q. 自己トリセツは効果がありそうだが、抵抗がある人もいそう。どのようにチーム展開していくのが良いか?

以下のような工夫を行うことをオススメします。

・1. 非公式&少人数でスタートする
 →いきなり大人数でスタートするとハードルが高いため、まずは自分の範囲で少人数でスモールスタートする
 →そこで事例・実績を作り、範囲を広げていく

・2. 時限立法で行う
 →取組がチームにフィットしない可能性もあるため「まずは1ヶ月だけ」など、いつでも撤回できるようにすすめる


Q. 自己トリセツの内容には、個人情報的や後悔に抵抗があるもの(家族構成、出身地など)もありそうだが、どのように捉えているか?

「オープンにできる情報のみで問題ない」という事前周知は重要です。

人により、言いたくないこと・センシティブな内容が異なると思いますので、言いたくないというスタンスも尊重できる雰囲気は重要です。


Q. 自己トリセツの内容を充実させるためのコツは?

上司・マネージャなど、上位役職者が積極的に自己開示することをオススメします。

誰かが自己開示をしていると、それにつられて「このぐらいオープンにしてもいいんだ」という雰囲気が出てくるので、まずは中心メンバーから自分を表現していきましょう。


Q. 自己トリセツはどのようにチーム内で共有していくのがよいか?

常時見れるように、チーム内の共有スペースに配置しておきましょう(チャットツールの概要欄など)。

また、相互1on1など、少人数で話す機会にお互いに開いて参照し合うのもオススメです。


Q. 自己トリセツはいつ作るのが良い?

ポップインサイトでは入社と同時に作成していました。すでに自己トリセツがあるチームは、「チームに入った直後」などに作ってもらうとよいでしょう。

一方、これから新しく自己トリセツを作る場合は、ワークショップなどでメンバー全員で作り、そのタイミングで共有してしまうのもオススメです。


【資料あり】2時間オンラインワークショップで自己トリセツの作成&共有

先日、ベネッセ様の「テレワークでのチームコミュニケーションを強化したい」というご相談を受け、チームメンバー10名に対して「2時間のオンラインワークショップで、自己トリセツを作り、全員に共有する」という取組を行いました。

以下のように非常に好評で、今後のチームコミュニケーション活性化に有用な機会であると喜んでいただきました。

在宅が始まって以来、こんな風にコミュニケーションがとれたことがなく、とても嬉しかったです。これをきっかけに課内のかたとの距離縮めて、気軽に会話ができるチームになれればと思っています。

年度当初のタイミングでこのような機会があったこと、大変ありがたく思いました!

同じ課なのに、普段、直接会うことも、雑談をすることもほぼないので、たまには強制的にでもこういう機会を作らないと、お互いの理解が進まないですね。今日ちょっとそれを実感しました。

合宿後に質問者にチャットで返したら、2往復くらい会話も生まれ、ダイレクトメッセージの効果も感じました。


詳細やワークショップ資料は以下よりご覧ください。


リモートでの会社経営・チーム運営を続けてきた中で得られた知見や実践例をまとめた書籍『テレワーク環境でも成果を出す チームコミュニケーションの教科書』をマイナビ出版さんから出版しました。

ぜひ、テレワークを導入される皆様の、より良い職場環境作りや、より楽しくて幸せなチームコミュニケーションの一助になればと心から願っています。


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