見出し画像

「仕事とプライベートを分けたい」という人の為のキャリア戦略とは

今回は、あるテレワークをされているフリーランスの方から頂いた、以下のご質問にお答えしたいと思います。

Q.私はクラウドソーシングで在宅ワークをしています。在宅でのクラウドソーシングでは、夜遅い時間や土日などの休みの日でも仕事の連絡が来たり、PCワークをする事があったりします。その為、仕事をしていない時まで、頭の中が仕事の事でいっぱいになってしまいます。私は仕事とプライベートをハッキリ分けたいのですが、こういうタイプの人がテレワークに上手に取り組んで行く良い方法はありますか?

▼今回の内容は以下の動画でもご覧頂けますので、ぜひご覧ください!

●前提1:会社視点では、仕事とプライベートを分ける人よりも、仕事とプライベートを分けない人を評価しがち

画像1

まず仕事とプライベートを分ける戦略を考えていく上で、その前提とすべき基本的な事柄を確認したいと思います。

まず1点目の前提は、「会社視点では、仕事とプライベートを分ける人よりも、仕事とプライベートを分けない人の方を評価しがち」という点です。

これは実際に多くの企業で採られている評価基準と言えます。私は自分自身で経営者をしていましたし、一部上場企業の役員もしていたのですが、やっぱり会社の中で評価される、幹部になったりとか活躍していく人というのは、仕事時間とプライベート時間を分けることなく、夜や土日を問わずに仕事をしたり考えている人で、やはりそういう人にどんどん仕事が回ってくるという現状があると思います。

一方で仕事とプライベートを分けてプライベート時間を侵食して欲しくないという人、夜の7時に連絡しても返ってくるのは翌日の仕事時間になってからといった人。もちろん、それはそれで問題があるわけではありませんが、残念ながら並べてみると、やはりすぐにリアクションを返してくる人の方がやる気があるように見えてしまいます。会社の視点の実際としてこういった視点はあると思います。

もしご自分自身が仕事とプライベートを分けたいと思っているとしても、現実として「会社はこういう風な視点で見てしまいがちである」ということは、意識として持っておいた方が良いと思います。

●前提2:ルーティーンの業務はどんどん価値がなくなっていく

画像2

2点目の前提は、「ルーティーンの業務はどんどん価値がなくなっていく」という点です。

AIやプログラミングなどの進化により、どんどんそういった仕事は人間から機械へと代替されていくので、人間が行う価値はどんどん下がっていきます。

従って、今後個人で稼いでいこうと思えば、何かしらの付加価値が上がるルーティーンではない価値がある仕事ができるようになる必要があるということが前提としてあります。

●有効なキャリア戦略の考え方とは

画像3

以上の前提を踏まえた上で、次に「どのようなキャリア戦略の考え方があるか」を解説していきたいと思います。仕事とプライベートを分ける戦略を考えていく上で は2つの軸を踏まえて、戦略を練ることが有効だと考えています。

1つ目の軸は「どれぐらい仕事で活躍したいか」という軸です。 片や「仕事でしっかり活躍したい」ケースと、もう一方で「仕事はほどほどで良い」ケースという軸での対比です。

2つ目の軸は、「特有のスキル派かゼネラリスト派か」という軸です。自分自身のタイプとして、「スキルと言える趣味があったり、特殊な技量がある、強みがある」というケースか、もしくは「明確な強みがなくてゼネラリストと言える色々なことがそつなく出来るタイプ」の人。このどちらかによっても戦略変わってくるのではないかと思います。 

私は、この4つの要素を掛け合わせることで、3つのタイプ別キャリア戦略が考えられると思っています。

●タイプ別キャリア戦略1:安定企業の正社員へ

画像4

タイプ別キャリア戦略1点目は、まず「仕事がほどほどで良い、そんなに稼がなくても良い」という人。このタイプの人は、安定企業(もしくは公務員など)で正社員になっていく。そしてその中で人間関係をしっかり構築して、変な人間関係のリスクとかトラブルが起こってやめなきゃいけない状況ということを作らない。これが一番良い選択ではないかと思います。 

自分で会社を起こして事業をしたり、フリーランスとして独立して仕事をしようと思うと、どうしても仕事がうまく受注できないストレスを受けたり、受注できても日々仕事に必死に集中しなければいけなくて、プライベートの時間を侵されてしまうのは間違いないと思います。そこで「仕事はほどほどで良いし、稼ぎもそんなにいらないんだよね」 という方であれば、自分で独立してチャレンジするよりも、安定企業に入って正社員になったり、公務員になる方が向いていると思います。 

次に、安定企業とはどういったものかという話ですが、大企業やワークライフバランス重視系の中小企業、もしくは公務員や公共の仕事などかなと思います。 安定企業は、残業禁止のところも多いですし、残業した場合もきちんと残業代が支払われます。 有給消化も配慮されます。

例えばタニタさんなどは、法令や社会の方向性を遵守しながら働きたい人に合わせる取り組みをされています。積極的に業務委託に切り替えて、残業もなく仕事がしたい人は仕事ができるといった雇用体系に変えていっています。関連書籍の中でも、「もっと働きたい人がいるけど、企業としては残業時間も許容してあげられない。そんなことをしたら行政から怒られてしまうのでできません」といったことが書かれていました。これは今回のテーマの「安定的に働きたい人」にとってはベストマッチだと思うのです。

もちろん、そういう企業の中でも当然仕事とプライベートを分けずに連絡はいつでもとれるというタイプの人もいて、役員とか上席の人はそういうタイプの人かなと思いますが、プライベートを尊重したくて、仕事はほどほどで大丈夫という人は、こういう安定企業に入って、一定の価値を出しながらしっかり長期的に努めていくというのが最も賢い戦略ではないかと思います。 

反対に、このタイプの人が向いていないのは、いわゆる中小企業的なオーナー企業などで、あまり労務系の意識が高くないスタートアップとかベンチャー企業です。 前者などはどうしても社長の意向重視で、プライベート度外視でガンガン働かなければいけません。こういう系の会社はこのタイプの人は全く向いていません。

スタートアップとかベンチャー企業などは、そもそも入ってる人は、ガンガン仕事して稼ぎたいと思っている人が多いので、プライベート重視で仕事はほどほどにと考えている人は、おそらく人間関係的に浮いてしまいますよね。居づらくなると思うので、元々そういう会社は選ばない方が良いと言えます。

このタイプの人は、安定型組織の中で良好な人間関係を築いて長期的に勤務していくことがお勧めです。末永く続く良好な人間関係を作るために、私がnoteやYouTubeで紹介しているリモートコミュニケーションの技法を身につけて頂ければと思います。

●タイプ別キャリア戦略2:強み強化

画像5

続いては、「仕事で活躍したい」かつ「没頭できる趣味や特殊スキルがある」方です。こういう方は、自分の強みを強化して行くのが良いのではないかと思います。 

自分の趣味や特技といった強み。例えば手芸をしている人であれば、自分の手芸を使って作ったものを売れるマーケットプレイスとかに出してみて、仕事にプラスオンをして稼ぐ。 元々好きで趣味としてでやっている訳なので楽しく稼げる、このような方法を見出して行くということです。

プログラミングやデザインなど、自分がしている仕事と通じる趣味があるのであれば、仕事は仕事でやりつつ、趣味の方でさらに能力を上げて仕事に還元して行くことで専門プレイヤーとしてレベルを上げていくことができれば、会社の中でキャリアを積んでいくこともできると思いますし、副業や独立の道も拓けていきます。このタイプの人は、この様なキャリアステップの可能性に向けて、自分の強みを活かして強化して行く方向性が良いと思います。

●タイプ別キャリア戦略3:レバレッジ強化

画像6

続いては、「仕事で活躍して稼ぎたい」 という方で「あまり自分の強みがなかったり、没頭できるものない」という方。実は私なども本来こういうタイプだと思いますが、こういうタイプの人は、いかに自分の力だけではなくて、自分の能力、能力にレバレッジをかけるかが重要だと思います。 

「レバレッジ」とは何かと言うと本来「テコの原理」を意味し、自分の力だけではなくて周りの力も使って大きなエネルギーにして行くという意味で使われます。

例えば投資などで「レバレッジ」という言葉が使われる際は、100円の元金でレバレッジを5倍かけて500円分の投資ができると。 もちろん、そうすると損した場合、得した場合両方の振り幅が大きくなるので、レバレッジをかけるほどリスクも大きくなるわけなんですけれども、少量の資金力で大きなエネルギーを動かせるようになります。

今回紹介する、ぜひとも3つ目のタイプの方向けにお勧めしたい仕事におけるレバレッジには2つの方向性があります。1つはコンピューターを使うレバレッジ。もう1つは人を使うレバレッジ、つまり「クラウドコンピューティング」と「クラウドソーシング」の2つのクラウドです。

●レバレッジ1:クラウドコンピューティング

画像7

ぜひお勧めしたい2つのレバレッジ、1つ目は「クラウドコンピューティング」です。これは極簡単に言うと、簡単なプログラミング技術を身に着けていくということです。

これができると、例えばExcelなどで単純業務を格段に便利にすることができます。1万行のチェックをしなくてはいけないという場合、「全部自分の目視でチェックする人」と、「エクセルの関数をほんの少し覚えて、その関数で自動的にチェックできるものをチェックした上で、怪しいものだけ目視でチェックする人」。どちらの方が早くクオリティ高くできるかと言えば、どう考えても後者ですよね。 

Excelの関数は実は非常に簡単で、全然プログラミング知識がなくても誰でもすぐに使えます。しかし、喰わず嫌いしている人が非常に多いですよね。 ライバルが少ない状況の中で、ほんの少し関数をググりながら使えるようになるだけでも仕事を便利にクオリティアップでて、高いバリューが獲得できます。

この様に、コンピューターでできる機能やツールを自分で勉強して、その場に応じて適応して行く力がある人のことを、「クラウドコンピューティングのレバレッジがある」と言います。

現在ツールなどのリソースは急激に進化していて、Google、AmazonとかMicrosoftなどが、物凄い勢いでどんどん便利に、どんどん安価にしてくれています。昔であれば初期費用が凄く高かったり、機能も特殊な知識や技能を持った人でなければ使えなかったものが、今はほとんど無料で非常に高い性能を簡単に使いこなすことが出来るようになっています。そういった力を活用できるようにしておくということです。

例えば1万件のチェックをしなければいけない場合に、クラウドのツールで簡単なプログラムをかけてチェックができる人と、全部自分で目視でチェックしなくてはいけない人、どっちの方が生産性高く価値が出せるかといったら、完全に明白ですよね。 無限に近いコンピューターパワーを引き出せる人の方が圧倒的に有利な訳です。

こういったことを紹介すると、自分はエンジニアじゃないし、文系だし全然わからないと思ってしまう人が多いと思います。もちろん本格的に凄く難しいプログラムやサービスを作ろうと思ったら難易度が高いと思いますし、これから0から習得するというのはあまりお勧めできません。

しかし、簡単な処理のプログラムを作るぐらいは、多くの場合ググればできますし、1冊本を買ってきて読んだらきっと誰でもできます。そしてそれができるかできないかで、これからの皆さんご自身の市場価値が全く変わってくると思います。

私は学生起業にCTOという役職で参加した時に、全然プログラミングできなかったのですが、他にできる人がいなかったので、本を読みながら頑張ってプログラムを作ったんですね。

ある時、営業担当者がテレアポをするために電話番号のリストをエクセルに落としているのを見かけました。iタウンページというタウンページのWebサイトから、自分の担当エリアと業種を絞り込んで、1個1個コピーアンドペーストしてエクセルに持ってきていたのです。 昼は電話して、夜中に何時間もかけて自分でコピペするという毎日を繰り返していたのです。

そこで、私はそれを自動で一瞬でできる仕組みを作って提供したのですね。実際には特に難しいことではありませんでした。1冊本を読んら誰でもできるレベルのシステムです。しかしこれを提供したら数十人の営業担当者がめちゃくちゃ喜んだのです。これまで毎晩夜中に数時間かけていた作業が5分で済むようになったと。とても喜んでくれました。 

こういうことがほんの少しできるだけでも、大きな価値を提供できるというのが、プログラミングができることのバリューだと思います。本当に簡単なことをするだけで自分や自社がしている業務をスムーズにして行くことができ、素晴らしい可能性が拡がります。ぜひ簡単なクラウドコンピューティングのレバレッジを活用できるようになることをお勧めします。

●レバレッジ2:クラウドソーシング

画像8

お勧めしたい2つのレバレッジ、2つ目は「クラウドソーシング」です。クラウドソーシングとは、 仕事を発注したい企業や個人が、インターネットを通じて不特定多数の人々に仕事を依頼できるというサービスです。

例えば、かっこいいロゴを依頼して作ってもらう、プロレベルのデザインを作ってもらう、たくさんの件数の作業を多くの人に手伝ってもらう、といったことができる仕組みがクラウドソーシングです。

そんな便利なクラウドソーシングですが、受注した経験がある方は数多いと思いますが、意外とご自身が「発注者」として使ったことがある方は少ないのではないでしょうか。

実は私は、以前クラウドソーシングの可能性の大きさを感じて、クラウドソーシングを行う会社を起業しました。私のように会社設立や事業化までしなくても、クラウドソーシングの発注者となって大きなマンパワーを使えるようになるのはもの凄く有益です。

例えば100件の文章を作らなくてはいけない場面で、全部自分1人で行おうと思うと、1件1時間かかったら100時間かかります。 1日2件ずつとしても50日間、つまり2ヶ月半かかってしまいますよね。

ところがクラウドソーシングを使うことができると状況は一変します。例えば、同じ仕事を50人を相手に1人2件ずつ発注する、1日1件の作業量として納期2日で発注すると、なんと50人×2件(2日)=100件ということで、わずか2日で100件の文章が上がってしまうのです。

自分のマンパワーだけで2ヶ月半で納品する人と、100人を使いこなして2日で終える人、どっちの方が生産性、仕事力が高いかと言えば圧倒的に100人を使いこなして2日で終える人ですよね。 この様に、クラウドソーシングを使えるようになる(=発注できるようになる)と、圧倒的な生産性が手に入ります

以上の様に、クラウドコンピューティングとクラウドソーシングの2つのレバレッジを使えるようになることで、自分に特別なスキルや能力などの強みがない人でも、圧倒的にバリューが出せるようになります。ぜひ使えるようになっておくことをお勧めします。

●今回のまとめ

画像9

それでは今回の内容のおさらいをします。仕事とプライベートを分けていきたい際には、まずは自分自身のタイプを確認し、それに合わせたキャリア戦略を考えていきましょう。

タイプを考える時には、「どれぐらい稼ぎたいのか、仕事で活躍したいのか」「ほどほどで良いのか」、「自分が強みを持つタイプなのか」「強みがないジェネラリストタイプなのか」ということを考えていきましょう。

あまり稼ぎたい訳ではなくて、安定的にやっていきたい方の場合は、大企業であったり、ワークライフバランス系の企業、もしくは公務員に入って長期継続できる方向性が良いと思います。 

一方で仕事で活躍したい場合には、自分の強みがある人はそこを活かして行く、あまり強みがあるタイプでないジェネラリストタイプの人は自分だけではない力(=レバレッジ)である「クラウドコンピューティング」「クラウドソーシング」を活かせるようになっていくのがお勧めです。

ぜひ皆様がご自身のタイプに基づいて、仕事とプライベートを分けていきながらビジネスシーンで活躍して頂けることを願っています。

***********

▼今回の記事の動画版はこちら。参考になりそうであれば、ぜひチャンネル登録お願いします!

この度、リモートでの会社経営・チーム運営を続けてきた中で得られた知見や実践例をまとめた書籍『テレワーク環境でも成果を出す チームコミュニケーションの教科書』をマイナビ出版さんから出版しました。

ぜひ、テレワークを導入される皆様の、より良い職場環境作りや、より楽しくて幸せなチームコミュニケーションの一助になればと心から願っています。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?