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ポップインサイト創業記(31)〜単月黒字の次の目標は?

単月黒字化という当初の目標達成できた訳ですが、では次にどんな目標に向かうのか。正直な所、明確な目標はほとんどなく、「事業をもっと成長させたい」とは思いつつも、「会社としてどうしたい」という思考は弱かったのです。 今回はその辺りのエピソードをお伝えしていきます。


目標は無事達成。さあ次は…

創業時からの目標だった単月黒字を達成した私でしたが、次をどうするかという明確な目標は特にありませんでした。

そもそも起業した時も、「ゆくゆくは上場しよう」とか、「VC(ベンチャーキャピタル、ベンチャー投資を行う投資組織のこと)から資金調達をして一攫千金を狙いに行こう」みたいな、「会社の将来」を考えたことはありませんでした

当時あったのは、「ユーザーテストの素晴らしさが広まるといいな」「その為には、専用のサービスがあった方が良いよな」という想いと、なし崩し的に起業することになった状況。そして、「妻も子供も居る中でやるからには、生活を成り立たせて行けるビジネスにしなければいけない」という覚悟でした。

そういった背景を踏まえて自分に課した最初の必達目標が、「1年以内に単月黒字にできなければ止める」というものでした。

そのような感じだったので、他にこれと言った目標が無かったという状況でした。

「会社」の将来の4つの選択肢とは

今だから分かることですが、起業した後の会社と起業家の行き着く先には、以下の4パターンの選択肢しかありません。

1つ目は、パブリックカンパニー(株式公開会社のこと)として大きく成長していく方向性。成長を前提として、より大きな価値を世の中に提供して行き、社会のある側面とか領域を変えていくといった、大きな路線を狙って行くパターン。

2つ目は、会社を売却するという方向性。1つの事業を立ち上げて完成させたら、大手起業に会社を売却して、そのグループ会社として事業を続けてもらう。創業者は別途新規のチャレンジをして行くパターン。

3つ目は、「良き中小企業」「オーナーカンパニー」としてあり続けるという方向性。あまり規模の拡大を意識したり求めたりせずに、良き中小企業、オーナーカンパニーとして自分や社員が満足できる位の形を維持するパターン。

4つ目は廃業・解散。何かの理由で会社の存続を放棄して、会社を終了するというパターン。

会社の将来には、実質この4つの方向性しかありません

起業した会社を、こういったゴールに辿り着かせることを「EXIT(イグジット)」と言い、この方向性をどうしていくか策定することをEXIT戦略と言います。

経営者はこの様に、会社を将来的にどうしたいんだということを、きちんと考える必要があるのです。


「良き中小企業」をなんとなく意識していたが「時間による淀み」も避けたかった

とは言うものの、私もポップインサイトを起業するときには、EXIT戦略のような会社をどう育成していくかということを決めていた訳ではありませんでした。

強いて言えば、3つ目の方向性に近い感覚でした。「どうせやるからには、やっぱり良い会社にしたいよね」といった感じです。

しかし一方で「組織は一定以上続けると淀む」という危機意識は持っていました。

私の前職でも、設立10年・50人という規模感であっても、しがらみがあったり、経営陣と一般社員では大きな境目があるのも感じました。

実は、大学のサークルでも同様の経験をしていました。私が所属していた編集サークルは、30年位の歴史があるサークルで、私が第30代編集長のような立場でした。

そこには、歴代OBが大勢いて、かなり口出しや干渉がありました。大学のサークルなど、所有権がある訳でもないし、株を持ってる訳でもありません。はっきり言って、辞めたら関係ないのです。しかし実際には、何かにかこつけて「昔は」みたいな感じとか、「過去の経緯からすると」といった感じを持ち出してくる先輩がいて、すごく残念な感じでした。

「組織って、一定期間経つと歴史とかから淀みが出来てしまって、動きがとれないような感じになってしまうんだな」ということを感じていました。

設立30年の大学サークルや、10年も経っていないベンチャー企業ビービットでも、やっぱりそういう淀みがある。ましてや、政府や行政なんて100年位続いていて、どれだけのしがらみや淀みが渦巻いているんだろうと。

組織を続けると、老害とも言うべき、歴史であったり経験だったり、昔の人しか知らない事がたくさん出てきます。そういう古き悪しきモノによって新しい取り組みが制限されてしまうことは避けられません。

会社の設立時点では、先々の目標とかはなかったものの、「淀んだ組織にはしたくない」という、他山の石とすべき逆の目標があった感じでした。

このように考えていた私は、自分で立ち上げたポップインサイトに関しても、「良き中小企業」を意識していたものの、続くとしがらんで淀むのは避けられない。だから、適正なタイミングで新規の会社を作っていくとか、どんどん分化して行き、新しい組織に生まれ変わって行かないといけないと考えていました。

3年目くらいから会社の方向性も考え始めた

起業当時は、ユーザーテストを拡めるという事業ありきでやってたので、会社をどうしたいというビジョンはありませんでした。

しかし、実際に会社を持つと、事業と会社は別の話なので、両方とも考える必要が出てきます。会社としてどういうあり方をすべきか、どう行くべきか。私も先程の4つのパターンを考えつつ、自分と会社が行きたい道は何なのかを、3年目位から徐々に考えていったという感じでした。

今から考えると、会社と自分の将来のイメージを早い段階から持っていた方が、進めやすかったかも知れないとも思います。

しかしその一方で、最初から「EXITありき」のような発想も違う気もします。将来の事を考える以上に、目前の事業に精一杯取り組んでいたような時期を経たことは、それはそれで貴重な体験だったとも思います。

最終的には4社のM&Aを経験するという、さも「新規立ち上げに特化」するようなキャリアになってはしまっていますが、あくまで結果論であり、会社をどうしていくか、どうありたいかは、自分・会社の成長とともにその都度変わっていくものでもあるかなと思います。

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