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ポップインサイト創業記(30)〜単月黒字化を半年で達成できた理由

2013年2月から実質スタートしたポップインサイトですが、半年も経たない同年6月には、当初の目標だった単月黒字化を達成することができました。今回はその理由を紹介します。

6月に大幅前倒しで単月黒字を達成

実は、ポップインサイトは創業して半年経たない6月に黒転(赤字だった状態が黒字に変わること)に成功したのです。その時の状況は、以前の記事でも紹介した、当時四半期に一度行っていた家族・親族向け説明会(参照:(27)〜家族・親族向け説明会を実施)でも紹介しました。

(▼「第一期第二四半期後の状況報告 親族向け説明会」資料より

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もともと1年間で単月黒字にいかなかったら止めるという条件で進めていたのですが、意外と早くその目標を達成できました。6月に154万円の売上を上げることで、半期を待たずして目標を突破しました。

翌月以降も、黒字ラインを突破。実際は、500万位売上を上げた月もあったので、結構大幅に前倒しができ、予想以上に収益が入って初年度黒字達成しました

このように順調に進めることができた理由は、一体何だったのでしょうか。

特定の取引先に依存しないビジネスモデル確立に成功

当時の資料を見てみると、売上を上げた取引先が特定の会社に偏っているのではなく、1社当たり10万円から20万円位でバランスよく売上をあげていることが見て取れます。これは、とても良い形がとれていたんじゃないかなと思います。

私達のような、B TO B(法人向けのビジネス)のサービス形態では、どうしても特定の顧客会社に依存する形になりやすいという傾向があります。ある会社からの発注だけで売上を上げて、それで満足して他の顧客の獲得に力を入れないという形になりがちです。

特に営業力とか販売力が無いような会社や事業だと、その傾向は強く見られます。
一旦この体制になってしまうと、ごく少数の顧客会社への依存度が上がってしまって、簡単に言うと、「その会社から切られたらおしまい」という状況になってしまいます。
こうなってしまうと、その会社から言われたことは何でも飲まないといけない、という状況になってしまい、自由度がかなり下がるということになるのです。

勿論、大きな取引先があるに越したことはありませんが、理想は取引先が分散してあって、「最悪1社無くなっても大丈夫かな」と思える位が良いと思っています。(勿論、1社1社の取引先を無下にしないで、大切にするということが大前提なのは言うまでもありません。)

取引先が分散していると、何かあった時には毅然とした態度で取引先と交渉もできますし、こちらに希望がある時にも、きちんと相談して実現できるので安心感が全く違います。

私は当時からそのように考えて、営業努力や販売努力を行ってきました。特定の取引先を確保して安心するのではなく、一社一社新たな取引先の顧客の開拓に努めるようにしていました

このような取り組みが、リスク分散にも、売上の積み重ねにもつながりました。

日夜きちんと取引先を拡げて行くような努力をしていたという点は、振り返っても評価してもいいんじゃないかなと思っています。

OEMでリピート重視の売上構成

また、リピート顧客を重視して営業努力を行ったことも、単月黒字化の大きな要因の1つです。

単月黒字を達成した6月は9社からの売上がありました。その内、5社がリピート顧客でした。さらに、新規の4社の内2社はその後に継続発注を頂くことになりましたので、全くの単発は2社だけです。

そして、リピート5社は全てOEM形式の発注でした。直販形式はこの時期ではリピートにつながっていなかったのです。

そもそもOEMは、継続的に発注してもらう前提のモデルでしたので、私もかなりその点を意識して力を入れていました。

継続発注獲得に努力した事に関して、強く思い出されることがあります。それは、「これらの継続案件も、最初の契約体系としては継続ではなく単発だった」ということです。

単発でスタートした案件が、私達が精一杯良いサービスを提供する事に努めることで、クライアント側も内容が良くてニーズに合っているからと、結果としてリピート発注して下さっているという形でした。

良いサービスの提供する努力を積み重ねることで、結果的に同じ会社の発注が繰り返される、新規顧客が継続顧客として残って下さるといった流れが出来たのを感じたのがこの頃の事でした。

今、結果を振り返ってみても、非常に良い構成が確立できて、望ましい状況にできていたと思います。

OEMだと単価も安定

また、単月黒字化達成の要因として、OEM戦略の価格面での優位性もありました。

以前の記事でご紹介したように、私達には、サービスを開始した少し後に、とても似た形のサービスを行う競合が出てきました(参考:(10)〜突然、ライバルが出現!!)。この競合がもの凄く安い値段設定をしていたので、価格競争になると共倒れしてしまうことが容易に想定できました。

私としては、前職からのユーザーテストの実地経験が豊富にありましたし、サービス向上の努力も絶えず行っていましたので、サービスの内容では間違いなく勝っているという自負がありました。

しかし、サービスの内容の差など、顧客にはなかなか伝えることができません。本気で説明しようとすれば、莫大なコストが必要になります。

そこで、競合との真っ向勝負を避ける選択をしました。競合が直販に絞っていたので、それを避けてOEMモデルに注力したのです。

OEMの形であれば、私達ポップインサイトの名前は表にでません。競合相手にも知られることなく売上を伸ばしていくことができます。さらに、OEMならリピート受注も受けられるし、単価も安定して儲けられる額をキープできます。

この様に、手強い競合と似たようなサービスで戦いながらも、私は全く違う市場を見るように努めていたのです。

この様に、競合との差別化の努力から、安定した市場と単価を確保できたことも、良い結果につながった要因の1つでした。

絶えず「次」を考える姿勢の積み重ねが結果を生む

このような取り組みや努力の積み重ねの結果、創業時の目標だった単月黒字化の達成を、わずか半年の間に実現することができました。

実は、このような目標達成の瞬間、私の中には「目標達成した!やったぜー!」といったような、凄い喜びみたいな感情はほとんどありませんでした。

なぜかと言うと、その時にはもう、「次にどうしていくか」「次にどう成長していくか」、「次にどう展開していくか」ということを考えていたからです。

経営者には、そういった「次へ次へ」と考えていくことが、とても大切だと思います。

このように振り返って考えてみても、絶えず次を考えることの積み重ねが、結果として半年以内での目標達成につながっていました。

その事からも、次を考え続けて向上し続けることが、ビジネスで結果を出す上でとても重要な事だと言えると思うのです。

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