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携帯電話業界 その2

前回は
・今日までの携帯電話の歴史
・4つの料金体系
・イレギュラー発生のリスクヘッジ
・クラウド保存のメリデメ
をご紹介した。

今回は、
・MVO、MVNE 、MVNOの違いとそれぞれの役割
・支払っていて損を回避する為の最低限度の知識


について書いていきたいと思う。
予め断り書きしておくが、携帯通信事業者の料金プランを比較する意図は無い。
携帯電話の料金は事業者毎にプランが不定期に変更されるので、正直な話
「向こう数年を見越して自分の支払い・通信料に合わせた料金プラン」
を選ぶものなのだ。
自分で比較して、実際に自分で利用するにあたって是々非々で判断するものなのである。


MVO・MVNE ・MVNOの違いは一般消費者には馴染みのない単語ではあるが、通信事業者なら全員知っている重要なキーワードである。
しかしこの事実を知っているのと知らないのとでは後々の理解度が全く変わってくるので、絶対に頭の片隅にでも抑えておくべきキーワード。
実際に我々が関与するのはMVO・MVNOの2社が大半。
詳しくはこちらのURLを掲載しておくが、こちらでも大まかにご説明する。
https://mvno.mobile.rakuten.co.jp/business/column/vol02.html

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MNOは、「Mobile Network Operator」の略であり、自社でモバイル回線を提供している会社のことである。「移動体通信事業者」という意味である。
日本国内ではdocomo・au・SoftBankが該当する。初期はこの3社が市場を独占している状態が続いていた。
大手3社の通信料金が高い最大の理由として、基地局の増設・設備メンテナンス等の維持費が最も掛かっている。
そして第4のMVOとして、楽天モバイルが新規参入を表明している。(2020.7時点)

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MVNOとは、「Mobile Virtual Network Operator」の略でMNOにVirtualという概念が加わった「仮想移動体通信事業者」と言う意味である。
最大の特徴として、自社で回線を持たず、大手3社から回線網を借りてサービスを提供している。
最大のメリットとして、基地局の増設・設備メンテナンス等にお金が掛からないので、大手3社よりも低価格でサービスを提供できる。
イメージとしては、大手3社からショバ代を払ってインターネット回線を借りて、独自の料金設定でビジネスしていいですよ、ということ。

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携帯電話を持つにあたって敢えて判断基準を設定するなら、

「知識が頭に入らない・リスクヘッジが出来ないのであれば大手キャリアを契約した方がいい」

と思っている。
自分の不得意分野に関してはコストを払ってアウトソーシングするのはなんら不自然では無い。
勿論高い金額を支払っている以上、通信事業者は様々なサポートは完備している。
しかし実際は専用窓口に繋がらない、保険・保証・サポートを活用できていない方が一定数いるのが現状である。

そもそも携帯電話が動作する条件として、契約している通信事業者のSIMカード+SIMフリーの端末(Android or iPhone)さえあれば、通信・通話はできるのである。

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海外ではチップ・端末を分離して販売しているのが一般的だし、外国人が日本に旅行に来るときは、日数に応じてSIMカードをレンタルして通信・通話・キャッシュレス決済(アプリをインストールしてクレジットカード紐付け)しているのが現状なのだ。

つまり昔から続いているSIMカードと端末のセットの販売は、生命保険みたいに不要なものを詰め合わせてパッケージ化した「ブラックボックス商品」に非常に似ているのである。

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今までは「携帯電話を購入するのはSIMカードと端末のセット販売」というのが主流だった。
言い換えるなら、「契約する場合はSIMカード・端末セット購入」が前提であった。
この概念が「SIMロック」、つまり〇〇社で購入した機種は〇〇社で契約していないと使えませんよ。という形になる。大手3社の市場独占状態が続いてきた一因となる。筆者自身も不自然に思わなかった。


一昔前を振り返ってみよう。
大手3社はそれぞれ有名人・イメージキャラクターを起用し、宣伝してきた。
端末も各メーカーが3社それぞれ別名称・別商品をリリースしてきた。
それはそれで市場競争を促していたので、独占禁止法には抵触していないことにはなるのだが。


勿論今となっては国内消費者のリテラシーは全体的に上昇し、SIMカードは〇〇社で契約、端末は量販店・専門店で新品・中古で購入するといった選択肢が年々増えてきている。


この事実を理解せず、「携帯電話を購入するのはSIMカードと端末セットが前提だから」という考えをお持ちの方が一定数いらっしゃるのが現状。
自分自身もそうだった。しかし自分から勉強し、知識を身につけたことで根拠を持った消費、明確な選択ができるようになった。

そして近年、総務省による「SIMロック解除の義務化」「中古端末のSIMロック解除の義務化」「SIMロック解除即時解除義務化」。
完全な後出しジャンケン。
楽天に関しては有識者会議において「SIMロックは不要」と言い切っている。
関連記事はこちら。
https://japanese.engadget.com/jp-2019-09-20-sim-3.html?guccounter=1&guce_referrer=aHR0cHM6Ly93d3cuZ29vZ2xlLmNvLmpwLw&guce_referrer_sig=AQAAALtUBHXrjpkvV26eydv-nS2ZoZIqiiZFz1rJZVFxLumlC0HWuoQD2dXyZ3J5y_ilYLt-A-LbW_pvsrDb4BBVexuOpktOa5yONI-S5HqEUY7yWQzwOLpJMSjn2CGb0VFO5LpOs_wPLnrsaknlM9brbOr-9Wvwh8_BIqsFD-XZ6_mx


反面、SIMロック設定が犯罪の抑制にもなっているのは事実。
シーズン毎にリリースされる最新機種の購入・転売のブレーキになっている役目もある。現代に於いてはスマートフォン・iPhoneは世界単位で使用されているので国内で安く買い、海外で高く販売する業者も一定数いる。
現在では総務省の指示により端末値引きの金額に制限が掛かり、通信事業者の乗り換えは税込¥22,000の端末値引きしか適用できない。


つまり、SIMロック端末の販売は無知な消費者を相手にした社会悪な商品なのではないか。と私は思う。
「知らない」が故に、無知の代償として高い端末代金・手数料を少しずつ情報弱者から搾り取っている昨今の現状。
消費者が自ら情報を取っていき、不要な支出を見直すべきだと私は発信する。


もう一つ筆者が伝えたいのは、
「個人情報(電話番号・メールアドレス)をアプリ提供先に晒してアプリを使用する以上は完全に自己責任である。」
ということだ。
これはユーザー以外が不正に利用しない為のシステム上の問題なので、この仕組みを変えることは構造的に不可能である。
加えて、データの引き継ぎをするのであれば必ずメモを控えておく事。
これは絶対マスト。
登録した時の以下の項目は必ずアナログ・デジタル問わずメモを取っておく事。
・メールアドレス
・電話番号
・パスワード


以上が私が伝えたい、携帯電話を契約・使用続ける上での「最低限の心構え」である。

自分の身は自分で守る。
誰でも聞く言葉ではあるが、できていない人が多い。
日々新サービスがリリースされるので、本当に社会の変化は早い。
自分を守る為、そして情報弱者を守る為、少しでも発信していく。

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