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インドで集団詐欺にあった大学生の文章を読んで。

不用心だと言わざるおえない。

「駅の近くで、インド人二人に話しかけられました。一緒にチャイを飲もうよ!インドでよくある誘い文句です。」

そうそう!これはよくある断らないといけない誘い文句。

駅だぞ!インドの駅だぞ!絶対断るべき!

しかし、チャイまでだったらまだ良かった。結婚式は行くな!

そこまで信用するな〜〜〜!!!

ひとしきり不用心過ぎる〜っと感情が高ぶった後に、ふとこの文章読みやすいな、情景が浮かんでくるな、緊迫感伝わってくるな、感情移入できるなと思った(この大学生の文章が上手いということはもちろんだけど)。

感情移入できる訳を考えると思い当たることがあった。
正直に言えば、自分はこの大学生に偉そうに言うことはできない。

自分も騙された経験があった。だから感情移入できるのだ。

自分は大学3年次を終えて、一年間休学した。引越しのバイトでお金を貯めて、東南アジアを約2ヶ月間バックパッカーした。

ベトナム・ハノイから入ってシンガポールまで抜けた。

その旅行の初日、ベトナム・ハノイで事件は起こった。

初めての一人旅、初めての海外という事で、さまざまな感情が入り混じり、とてつもなくハイになっていた。

ベトナムの入国審査を終え、右も左もわからないまま、ハノイのノイバイ国際空港の外に出た。

すると、タクシーの兄ちゃんが英語で乗らないかと言ってきた。結構強引だった。
タクシー乗り場の掲示板に市街地までの料金が表示されていて、これなら安心だなと思い、料金表の写真撮って、流されるままにタクシーに乗った。

バックパックはトランクに入れられた。

移動中の車内、タクシーの兄ちゃんはめちゃくちゃフレンドリーに話しかけてきた。「日本人か」「ベトナムは初めてか」「ベトナムのことを知っているか」などなど、今思えばリサーチされていたように思う。

すると途中でタクシーが路肩に寄った。

ん?と思うと1人の男が助手席に乗ってきた。
タクシーの兄ちゃんは「同じ会社の運転手だから大丈夫だ」と言って、免許証らしきものも見せてきた。

スムーズな乗車からの発車に自分は呆気に取られて拒否することができなかった。

今思えばこの時に2人対1人の構図になった。
しかし、その時の自分はちょっとラッキーとすら思っていた。

良いネタが出来たと思ったのだ。

「ベトナムのタクシーではいきなり見知らぬ人が乗ってくるんですよ〜!」と旅の様子を得意げに話す自分を想像した。良い感じだ!

しばらく走って、今度はガソリンスタンドに寄った。

ガソリンスタンドに停車中、運転手の方が「ここでお金を払え」と言ってきた。

お!了解と思って財布を出して払おうとした。金額はさっき写真に撮ったから大丈夫と思って支払うと「違う!足りない!」と言ってきた。

そうか、日本円とベトナムドンの通貨の単位違い(現在のレートだと100円=21284ベトナムドン)に困惑して支払う金額を間違えてしまったんだなと思った。

間違えないように手元で数えながら確認していると運転手がいきなり財布ごとお金を奪い取った。そして「これで大丈夫だよ」とお金を見せて、明らかに少なくなった財布とお金を渡してきた。

ここで自分は騙されている!と気づいた。そして相手が2人だということにも気づいた。

しかし、騙されたということに頭に血が上ってしまい、日本語と方言でめちゃくちゃまくし立てた。

すると運転手が車の外に降りて「探せよ」と両手を上げてきた。

自分も車を降りて「ソーリー」と言いながら身体検査をした。なぜ騙している相手に対してソーリーと言ったかは謎だけど、自然に言葉が出てしまった。情けない。

運転手のどのポケットにもお金は入ってなかった。

諦めきれなかったので運転席を勢いで調べた。するとシートの下からお金が出てきた。慌ててそのお金を取って財布の中にしまった。

運転手は悪びれる様子もなく運転を再開した。さらに移動中も話しかけてきた。どういう神経してるんだ!!!だけど、完全にシカトは出来なかった。2回に1回ぐらいは受け答えしてしまった。情けない。

運転手と情けない自分に怒り心頭のまま目的地に着いた。

すると運転手はチップを要求してきた。は?と思って突っぱねようと思ったけど、トランクに入れているバックパックのことが気になった。

ここで断ったら、バックパックを持って行かれるんじゃないかと思った。

チップを払って、無事にバックパックを取った。

あたりを確認してみると目的地の宿と全然違うところに降ろされてた。

そこから20kgの荷物を背負いながら20kmぐらいさまよった。

もう日本に帰りたかった。だけど、現金しか持ってなかったのでネットで帰りの航空券を予約できなかった。旅を続けた。

自分が旅行中に持っていたガイドブックにも、「ベトナムの空港のタクシーはボッタクリだから注意!」と書かれてあった。

今思い返せば、タクシーの運転手間抜けだし、自分はもっと間抜けだった。

もし当時自分がインドで巧みな集団詐欺にあっていたら、騙されなかった自信はない。

みんな似たような経験をして、旅慣れてくるんだと思う。

しかし当時の自分、宿はその日に飛び込みだし、プリペイドSIMとかも持ってなくて、よく東南アジアバックパックしてたな。若さとは恐ろしい。

空港タクシーの運転手はクソだったけど、ハノイで完全に道に迷った時に拾ったタクシーの運転手はめちゃくちゃ親切で料金も適正だった。

どの地域でも良い人もいれば悪い人もいる。

安全に気をつけて、できる限りのことはして、また旅に出て欲しい。

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