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美術鑑賞とオーディオガイド。ジレンマ。

美術館に行く時オーディオガイドがあるならば積極的に借りて鑑賞している。

海外で日本語の音声ガイドが無い時は英語で聴いている(私のリスニング力ではなかなか意味を理解できないことも多いけど)。

オーディオガイドはお手頃な値段で芸術に明るくない私に色々な知識や見方を教えてくれる。

例えば、アトリビュート(歴史上の人物や神々と関連づけられた持ち物。このアトリビュートでその人物が誰かを特定できる)を教えてくれたり、ある絵画作品は明暗によって鑑賞者の視線の誘導していることだったり、宗教改革の時にパイプオルガンがカトリックの象徴として破壊の対象だったことだったり、何気なく描かれた「犬」が従順を表現していることなどなど。

しかし、美術鑑賞でオーディオガイドを使うことに少しばかりジレンマが生じてしまう。

それは、オーディオガイドから流れてくる解説(知識)に意識を持っていかれて、目の前にある作品に集中しきれてないことだ。またそのガイド通りに作品を見てしまう。悪いことじゃないけど、自分で考えて見る割合が減ってしまう気がする。

オーディオガイドの解説が無い作品の方が自分の頭で考えて、作品に込められた意図を読み解こうと真剣に観ている自分がいる。

でもやっぱりそれは自分の頭の中にある少ない知識から関連しそうなものを引っ張っているだけで、芸術家が込めた思いとは違うのかもしれない。

ジレンマである。

美術作品は芸術家が一から創造しているモノだ。それは細部のいたるところまで作りこまれており、無駄なところなどない。それが美術館に展示されている作品ならなおさらだろう。筆のタッチ、素材の選定、依頼者の意向、時代背景などさまざまなものが構成要素となっている。それを全て決めるのは芸術家だ。

もっともっとその作品が作られた背景や込められた思いなどを考えたいし、知りたい。

そのためにはオーディオガイドが必要だけど、自分で考えることも放棄したくはない。一度オーディオガイドで正しい見方(?)を提示されてしまうとどうしてもそれに沿った見方をしてしまう。

どうすればいいかと考えているともっともベストな美術鑑賞の方法を思いついた。

もちろん一番良いのは自分自身が美術史を深く学ぶことだが、さまざまな美術作品(絵画、彫刻、装飾など)があり、時代と地域で差がある全てを学ぶことは一般の鑑賞者にはできない。

一般の鑑賞者にもっともベストな美術鑑賞の方法は、その美術館を2回まわる方法だ。1回目はオーディオガイドを使わずじっくりと自分で見て考えて鑑賞する。2回目はオーディオガイドを使ってまわる。そうすれば、自分で作品について思いを馳せながらじっくり鑑賞できるし、オーディオガイドでちゃんとした知識、新しい見方も得られる。

すこし問題があるとすれば時間とお金がかかってしまうことだろうか。

今度実践してみよう!

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