見出し画像

【PubMedで翻訳練習:人名=病名編】Bの巻:Batten Disease(バッテン病)

*PubMedで「人名を冠した病名」をアルファベット順(A-Z)に検索→論文を1つ選びアブストラクトを和訳。(なぜ人名=病名をキーワードにしたかは、この記事の最後をご覧ください。)

●本日の人名=病名:B (Batten Disease) バッテン病

●本日の論文:『バッテン病の治療動向:現在の治療法と今後の可能性』
Johnson TB, et al. "Therapeutic landscape for Batten disease: current treatments and future prospects." Nat Rev Neurol. 2019;15(3):161‐178. PMID: 30783219

●病名の由来:1903年にイギリスの小児科医Frederick Battenが最初に記述

●アブストラクト和訳

(神経セロイドリポフスチン症としても知られる)バッテン病は、非常に深刻なリソソーム蓄積疾患の1つであり、他のリソソーム蓄積疾患と合わせて、世界で最も罹患率の高い先天性の小児神経変性疾患である。バッテン病は、13の遺伝子のうち1つの遺伝子の変異でも発症し得る。これらの変異は、緩やかに重なり合う症状および病理を持った疾患グループの原因となる。表現型として、バッテン病は、視覚障害や失明、認知や運動能力の低下、発作、そして早期の死をもたらす。病理学的には、バッテン病は、自己蛍光沈着物質のリソソーム蓄積、グリア反応性、およびニューロン欠損といった特徴を持つ。複数の型のバッテン病に対する効果的な治療法や処置において、かなりの進展がみられており、2017年には、セルリポナーゼアルファ(ブリニューラ)によるトリペプチジルペプチダーゼ酵素補充療法が、CLN2バッテン病に対する治療として世界で初めて承認された。本論文では、現在FDAに承認されている臨床試験および今後予想される治療法に焦点を当てて、バッテン病に対する有望な治療法の概要を示す。

●PMID: 30783219

●検索日:2020年6月13日

*できるだけ新しい論文(Display optionsをMost recentに設定)、かつ論文全文が入手可能なもの(Free full textにチェック)、そして病態がざっと分かるように各論ではなく総説(Publication typeをReviewに設定)を選ぶようにしています。

●感想・難しかった点

先天性の遺伝子疾患は、特に小児や若年者で致命的となる点においても、深刻だと思います。そんな中、有望な治療法の開発が進み、薬事承認を受けた薬も出てきていることは、一条の光ですね。

翻訳としては、神経変性疾患に関する専門用語が難しかったのと(lysosomal accumulation of autofluorescent storage material、glial reactivityなど)、"collectively represent"のように意味は分かるんだけど、日本語にするときに迷う表現がありました。

※どうして、人名=病名をキーワードに?

「PubMedで翻訳練習」の別シリーズとして、人名が病名になっている疾患をキーワードにしています。アルツハイマー病や、パーキンソン病など人名が病名になっている疾患はたくさんありますが、その疾患を最初に発見した医師や研究者などの名前=病名になっているために、病名を見ただけではいったいどんな病気なのか見当がつきません。先に挙げたアルツハイマー病やパーキンソン病であれば、広く知られているため病態を知っている方も多いと思いますが、マイナーな病気であれば、お手上げです。ということで、勉強もかねて、人名=病名をキーワードにしました。できるだけ、一般に浸透していない病名を選ぶつもりです。

#PubMed #翻訳 #医薬翻訳 #バッテン病 #神経変性疾患 #人名を冠した病名 #病名の由来 #メディカル