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【PubMedで翻訳練習:人名=病名編】Eの巻:Ehlers-Danlos syndrome(エーラス・ダンロス症候群)

*PubMedで「人名を冠した病名」をアルファベット順(A-Z)に検索→論文を1つ選びアブストラクトを和訳。(なぜ人名=病名をキーワードにしたかは、この記事の最後をご覧ください。)

●本日の人名=病名:E (Ehlers-Danlos syndrome) エーラス・ダンロス症候群

●本日の論文:『エーラス・ダンロス症候群 IV型の結腸合併症の管理:系統的レビューおよび科学的根拠に基づく管理戦略』
Speake D, Dvorkin L, Vaizey CJ, Carlson GL. "Management of colonic complications of type IV Ehlers-Danlos syndrome: a systematic review and evidence-based management strategy." Colorectal Dis. 2020;22(2):129-135. PMID: 31260161

●病名の由来:20世紀初頭に、デンマークの皮膚科医EdvardLauritz Ehlers とフランスの皮膚科医Henri-Alexandre Danlosが報告した

●アブストラクト和訳

目的:エーラス・ダンロス症候群 IV型は、約10万~20万人に一人が罹患する結合組織疾患である。平均余命は、特発性血管破裂や結腸穿孔に伴い低下し、手術により、重大な合併症や死亡率の上昇が引き起こされる。

結腸穿孔の管理には、腸管安静目的のストーマを造設する/造設しない1次修復、ハルトマン手術、エンド回腸造瘻術(end ileostomy)および回腸直腸吻合術を使用した経腹的結腸全摘術などがあるが、エビデンスは矛盾しており、これまで治療戦略を形作るための評価はなされてこなかった。

本論文では、既刊文献をレビューし、エーラス・ダンロス症候群 IV型の結腸穿孔に対する手術的管理の転帰データを特定することを目的とする。

方法:Pubmed、EM-BASE、Cochrane library、Google Scholarを、"Ehlers Danlos Syndrome AND colonic surgery"で検索した。エーラス・ダンロス症候群 IV型患者に対する、結腸手術後の再穿孔率が主な評価項目であった。手術の特性や経過観察についての記述があった場合は、PRISMAガイドラインに従いSPSSデータベースに記録した。

結果:44の症例集積研究において、患者51名に対する109の手術について記述があった。内臓の再穿孔26件のうち、2件が小腸、24件が結腸の穿孔であった。生存率分析では、結腸を原位置に残す手術に比べ、経腹的結腸全摘術でより良好な結果であった。

結論:エーラス・ダンロス症候群 IV型における結腸穿孔後の戦略として、エンド回腸造瘻術または回腸直腸吻合術を使用した経腹的結腸全摘術が最も安全であるが、吻合部漏出率は高い。一孔性結腸瘻造設術では、結腸再穿孔のリスクが高く、吻合部漏出率は極めて高い。結腸連続性の修復は避けるべきである。

●PMID: 31260161

●検索日:2020年8月7日

*できるだけ新しい論文(Display optionsをMost recentに設定)、また病態がざっと分かるように各論ではなく総説(Publication typeをReviewに設定)を選ぶようにしています。

●感想・難しかった点

術式の英語がちんぷんかんぷんでした。すいません。どのような手技か想像しながら訳すにはまだまだ勉強が必要です(;^_^

専門用語以外では、carryの訳し方に苦労。"Surgery carries significant morbidity and mortality."の部分。また同じ文中の"morbidity"には、異常、疾患、病的状態、罹患率、合併症など様々な意味があり、どれを選択するか悩ましいです。。。「手術により、重大な合併症や死亡率の上昇が引き起こされる。」としてみました。

今回の病名は、デンマーク人医師とフランス人医師の合作(?)です。"Ehlers"とか、読めない。。。

※どうして、人名=病名をキーワードに?

「PubMedで翻訳練習」の別シリーズとして、人名が病名になっている疾患をキーワードにしています。アルツハイマー病や、パーキンソン病など人名が病名になっている疾患はたくさんありますが、その疾患を最初に発見した医師や研究者などの名前=病名になっているために、病名を見ただけではいったいどんな病気なのか見当がつきません。

先に挙げたアルツハイマー病やパーキンソン病であれば、広く知られているため病態を知っている方も多いと思いますが、マイナーな病気であれば、お手上げです。ということで、勉強もかねて、人名=病名をキーワードにしました。できるだけ、一般に浸透していない病名を選ぶつもりです。

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