違いからしか学べない

アメリカと日本で違うことは何だったか?と聞かれると、いつもこう答える。「基本すべてが違うっていうか逆でしょ。例えばBig vs. Small, Loud vs. Quiet, Individual vs. Collective, Low context vs. High context、ほら逆なことばかりでしょ~」。でもその中でも一番違うと思ったのはDiversityだった。アメリカと日本という大きな比較ではなくて、アメリカ本社と日本オフィスでの経験から。

Diversityは日本語でダイバーシティといっても通じるくらい有名な言葉で、多様性が大事だと誰もが熱弁するのを見かける。でも、いろんな意見があるのは大事というのはわかるけど、なぜそれほど大事なのか、何がそんなに違うのかいまいちわかっていなかった。皆が同じ意見でも正しければむしろスムーズに良い仕事ができるのでは?と思っていた。赴任先のチームは本当にDiverseで、アメリカ出身なのは上司と同僚3人、あとはオーストリア、フィリピン、シンガポール、中国、ブラジル、メキシコ、インド出身で本当にバラバラ。ほかのチームとも働くけど、同じようにインターナショナルバックグラウンドのメンバーがほとんど。よってカルチャーも仕事の進め方も確認する方法も違うし、とにかく全員自分の意見を言うから面白いくらい色んな意見が出るので、最初はあっけにとられてしまった。

途中で気づいたのは、みんながその違いから学ぼうとしていること。同じ意見だけでは成長できないし、新しいものが作れないから。分析一つ一つにも新しい視点、新しい手法、新しい切り口が大事とされる。最初、自分からあまり発言しない私にもどう思うか、日本ではどうなのか、日本チームはどう反応すると思うか、すごく聞かれるので、気を遣って聞かれているのかと思ったけれど、本当に知りたいから聞いていることがわかった。確かにみんなが同じ意見だったらスムーズだし安心するけど、お互い新しいことに気付き、学べることはない。違いと向き合い、なぜ違うのか考えることでより多くの切り口で物事を見ることができる。

それでもまだDiversity is betterとは信じられないとき、見つけたHBRレポートはすごく納得感があった。多様性のないチームの方がメンバーは楽だが、違う意見の人と向き合い摩擦が起きて苦労したチームの方が良いパフォーマンスを出せる。多様性のあるチームには摩擦が生まれるが、その摩擦はバイアスによって過大視されがちである、というもの。

Diverse Teams Feel Less Comfortable — and That’s Why They Perform Better(多様性のあるチームは心地良くない、だからこそ良いパフォーマンスを出せる)
https://hbr.org/2016/09/diverse-teams-feel-less-comfortable-and-thats-why-they-perform-better

レポートにもあるように、ただ違えばいいというものではない。赴任先の経験では、役割分担が明確だし国は違えど同じ会社で働いているので、基本的な考え方、フィロソフィーが同じなので働きやすかった。話は逸れるが、国は違えど同じカルチャー、価値観を築いているのはすごいということにも気付いた。マネジメント層がローカルでなくグローバルタレントだからというだけではないはず。何だろう?

違うというだけで拒否反応が出がちだけど、それはバイアスだからとニュートラルに受け止めて、とにかく違いから貪欲に学んでより良いパフォーマンスにつなげたい。今回は仕事面のBenefitのことだけを書いたけれど、プライベートでも違いから学んだり考えさせられることが多々あって刺激をもらえた。これはまた今度。