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「天使と悪魔」を読みながら巡るローマ旅。

8月のなかば、灼熱のイタリア・ローマを「天使と悪魔」を読みながらめぐった。ローマ(とヴァチカン市国)が舞台、ダン・ブラウン著のミステリー長編だ。

ローマでなにが有名か、どこへ行くべきか、まったくと言っていいほど調べていなかった。コロッセオしか思い浮かばず、あとは天使と悪魔に出てくる場所をめぐろうとおもっていた。当時はスマホもガイドブックも持っていなかったので、小説の中にある、小さく、ものすごく簡易的すぎる地図のようなものをたよりにして。

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これがその簡易地図。いまふりかえってみると、よくこんな地図かどうかもあやしい図でめぐろうとしたな…とおもう。当時は謎に登場場所をめぐることのできる自信に満ちあふれていたのだけれど、結果80%くらいはローマの街で迷子だった。

一応地図ももっていた。探してもみつからなかったから写真をのせられないのだけれど、駅に積み上げてある無料の、B5くらいのやつ。まんなかに「M」のマーク。マクドナルドここやで、っていう地図。もう一度言うけど、よくこんな地図かどうかもあやしい図であんなに広いローマを巡ろうと思ったよな…当時のわたしって…(10年前の、2012年です)

まずは唯一知っていたコロッセオに行ったとおもう。コロッセオ、天使と悪魔には出てこないんですけどね…。たどり着いたはいいけれど、とにかく暑くて暑くて、コロッセオの中で日陰を探してすわりこみ、天使と悪魔のつづきを読んでいた。覚えているのは、それだけ。

そのあと、たしか、サンタ・マリア・デッラ・ヴィットリア教会と、サンタ・マリア・デル・ポポロ教会に行った。でも、小説にはもちろん外観なんてでてこないし、なんとなくたどり着いた場所はあったのだけれど、果たしてそこがラングドンが訪れた教会なのかどうかはまったくと言っていいほどわからなかった。なにこれ。

何年かたってから、トムハンクス主演の映画の方をみたのだけれど、サンタ・マリア・デル・ポポロ教会のシーンは、教会が修復中で中身もぐちゃぐちゃだった。おそらく映画を見てもわからなかっただろうね…。

でも、いちおう写真撮ったのだけれど、やっぱりここだったみたい!中にははいれなかった。サンタ・マリア・デル・ポポロ教会。

DSCN3604のコピー

この近くからてきとうにバスに乗った。時間やバス停などいっさい調べていなかったけれど、人が多い場所で降りればなんとかなるだろうとおもった。右も左もわからない場所でバスに揺られながら、車窓をながめるのはとても新鮮でたのしい。

ぶじに都心部につき、ヴァチカンへと足を運んだ。サン・ピエトロは圧巻で、行ってよかったと心から言える場所。

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天使と悪魔では、サン・ピエトロのなかにシスティナ礼拝堂があると書かれており、ここから枢機卿たちのように行けるとおもいこんでいたわたしは、まちがえてクーポラにのぼってしまうのです…。

それから、ナヴォナ広場。ここはたのしかった。

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作品の中で、ラングドンがベルニーニの噴水(写真のまんなかあたりの、オベリスクのような彫刻の噴水)という場所で暗殺者とたたかうシーンがあるのだけれど、まさにベルニーニの噴水のめのまえのベンチにすわりながら、その場面を読んだのだ。ラングドンが噴水のてっぺんの風見鶏に石を投げる場面も、「こんな高さに石を投げるのは無理じゃないか?」とか、「こんなに大きな噴水をよじ登ることは果たして可能なのか」とか考えながら。とてもぜいたくなひととき。日が少しずつ落ちてきている時間帯で、広場はとてもうつくしかった。

もちろん、パンテオンの天井にぽっこり空いている穴もちゃんと見た。

DSCN3593のコピー

頼りないふたつの地図を持って旅をしたもんだから、ほぼ迷子だった。このパンテオンのまわりをぐるぐる迷子になっていたのがなつかしい。迷子になってトレヴィの泉にたどり着き、しかも当時トレヴィの泉を知らなくて、みんながこぞって写真を撮っているもんだから便乗して撮影し、その日ホステルに帰ってから有名な観光地だと気づいたほど。ちなみに迷子になって行ったので次の日行こうと思っても道がわからずたどり着けなかった。

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夕ぐれのサンタンジェロ橋あたりからの写真。作品だと、サンタンジェロ城からサン・ピエトロまで地下道があると書かれていた。自分がいまふみしめている地面の下に、もしかしたら秘密の通路があるのかも…そう考えるとわくわくした。ザ・観光地を巡る旅ももちろんとてもたのしいけれど、あえて小説や映画の聖地巡礼をする旅もとてもたのしいよ。迷子になってばかりだったわたしが言うのだから、ほんとうです。やってみてね。

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