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新幹線で起こるドラマたち

伊坂幸太郎の小説「マリアビートル」を読んだ。

なんでこの本を読もうと思ったのかというと、ずっと前から読みたいと思っていた伊坂幸太郎の新刊「トリプルセブン」がこの作品の続編だというからだ。順番を守りたいぼくにとっては1作品目を飛ばしてシーズン2を観ることは許されない。なので、新刊を読む前に「マリアビートル」を読みたいと思ったということだ。

ものすごく簡潔に内容を説明すると、「新幹線の中で殺し屋たちが殺し合う」というシンプルなものである。

シンプル過ぎて、しかも「新幹線」という限られた枠組みの中で描かれているものだから中身は薄いのではないかと思ったが、まったくそんなことはない。

それぞれに登場人物にドラマがあり、伏線がいたるところで散りばめらていて少しずつ回収していく作業が面白いと思った。
こんな新幹線の中で隠れるところも暴れるようなところもないのに、ここまで話の展開をおもしろくできる伊坂イズムにあっぱれである。

こんな感じに新幹線のなかで起きるドラマなんてそうそう作れないよなって思っていたら秒速で出会ってしまった。

韓国映画「新感染 ファイナルエクスプレス」だ。2017年に公開された映画なのだが、三浦しをんのエッセイを読んでいたら、ものすごく感動したと書かれていたので気になったので観てみた。


ヤバい。言語化したいけど。ヤバいに尽きる。とにかく感動する。最近で一番感動した映画は「余命10年」という映画だったけど、個人的にはそれを遥かに上回る。

これもまた新幹線がメイン舞台となる映画だ。ゾンビが襲ってきて逃げてワーギャーする。これもまた限られた空間を使って絶妙に設定をコントロールし「新幹線」という枠組みをフル活用している。


この二つの作品のように、自分にも新幹線で起きるドラマが過去になかったか振りかえってみた。できれば新幹線で落ちる恋なんて物語があったらいいのだけど、そんな淡い青春みたいなものは残念ながらありませんでした。

あったとすれば、東京のセミナーに参加するために特急列車を使ったとき、(そもそも新幹線に乗ったことがありませんでした泣)人見知りが暴走し始めて途端に緊張が止まらなくなったことがあった。そうだ!と思ってこんなこともあろうかと持ってきていた「緊張を和らげる方法」が書かれた本を持っ読んでみた。だけど、余計に具合が悪くなって状態の悪化により余計に心配事が増えて、緊張が増加してしまったことくらいだ。

とてもとてもくだらない話。こんな話だったら小説なら3行、映画なら予告でおわってしまう。


こんなくだらない話は置いといて、二つともとても面白い作品なのでオススメです。とくに「新感染」は涙もろい人は涙腺が崩壊してしまうと思うので、フル満タンの箱ティッシュを用意することをオススメします。

そしてこの記事を書いていて気づいたのだけど、今さらなのかもしれないけど、「感染」のまえに「新」をつけたのは「新幹線」に掛かっているのか?この作品……そんなコミカルな作品ではないぞ……。以上。終わり。

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