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最近読んだ本の感想

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2021年3月の記事一覧

さぶ 山本周五郎 感想

容姿端麗で仕事ができる栄二。この自己肯定感の高さにも頷ける要素が揃ってる。
一方、ずんぐりしてて糊の仕立てくらいしかできないさぶ。葛西の実家でも実の親から酷い目にあわされた過去があり、さぶの自己肯定感は低い。だがなんでも背負いこんでしまうタイプで、人にとことん尽くす優しい心持ち。
この2人はお互いが持っていない光るものを持っていて、尊敬しあってる関係。
本のタイトルは『さぶ』だけど、主人公は栄二だ

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赤ひげ診療譚 山本周五郎 感想

・あらすじ長崎で蘭学を学んできたエリート青年医師の保本登は、その医術でもって名をあげ、出世街道まっしぐらを夢見ていた。そんな登が、汚くて臭い貧乏人ばかりを相手にするうえに最低給料の小石川養生所に送り込まれる。そこには人々から「赤ひげ」と呼ばれる粗暴な医長がいた。その赤ひげの熱い人間性に触れ、そこで出会うさまざまな人間や出来事を通じて精神的に成長していく人情物語。

・赤ひげは怒らない「徒労に賭ける

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舟を編む 三浦しをん 感想

好きなシーンを抜粋。※ネタバレあり。

・夢中になること 熱中すること

主人公の馬締は、冴えない見た目で人とのコミュニケーションもあまり得意ではないが、言葉ひとつひとつに対する思考の巡らせ方は常人の域を超える。そんな馬締は『大渡海』という辞書づくりに熱中していく。
一方の西岡は、なんでもそつなくこなすタイプ。でも何かに夢中になったり熱中したりしたことがない。そして馬締みたいな何かに熱中するタイプ

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