個人タイトルとMVP

【負け嫌い】これはトヨタ自動車会長 豊田章男さんがイチロー選手から教わった言葉だ。
モータースポーツの現場でよくこの言葉を使っていらっしゃる機会を見たことがある人もいらっしゃるかもしれない。

つらい負けを味わったことがあるからこそ、自身に厳しく、努力するものへは敬意と声援を送る。

そんな言葉を聞いたとき、ふと我を振り返る。「果たして自分にそのマインドはあるのか?」



今回は趣味である野球の話をしていこうと思う。

6歳から始まった野球人生。あれから30数年、身体はとても重くなったが、この歳になっても草野球のフィールドではあるが、まだまだ打って投げてる自身の姿を、幼少期は想像していただろうか。

少年野球時代に監督をしていた父とすでに同じ歳でいまだに独り身なのもいかがなものかと思うが、とにかく今でもしっかり野球を続けているのである。改めて野球をやらせてくれた両親に感謝したい。

そんな野球人生、個人タイトルとは無縁だった。初めて個人タイトルを獲ったのは昨年のこと。チームの投手タイトルを獲得することができた。昨年の前半まで、口は悪いが【老害】がマウンドを譲らなかったが【老害】はとあるキッカケで退団。そこでおはちが回って来たのが私だった。今まで【老害】が意地でも譲らなかったマウンド、私は投げたい気持ちをグッと我慢していたが、遂に解放することができた。自分が思っていた成績とギャップはあったものの、初タイトルの獲得に嬉しさが込み上げた。

そして迎えた今シーズン。投手タイトルと打撃タイトル2冠だ!なんて思ってはいたが、所属チームには優秀な選手が多数いる、厳しい事は明白だ。しかし仕事の都合で土日休みが増える事になり、参加できる機会が増える事もわかったいたので、今年はチャンスの年だった。

シーズンが始まると、ここ数年悩まされていたバッティングが好調でほぼ毎試合安打を重ねる。なんと最終戦直前まで打率首位をキープしていくことになるとは思いもしなかった。

一方投手成績は特に変わりは無かったが「魔の4回」に幾度となく泣かされ、投手タイトルは諦めざるを得なかった。昨年までは【老害】時々私だった投手陣だったが、他の投手も台頭していき、個人タイトルを逃した事は悔しいがチーム力が格段に上がったことは嬉しい。

迎えた最終戦「とにかくヒット1本打てばいけるでしょう」と思ってた矢先に条件次第で逆転されることを知り心の中では焦りが出始めた。モータースポーツでも同じである、追われる立場とわかった途端に急に変なプレッシャーに襲われるのである。
土日休みが増え、規定打席には乗っているもののライバルと比較すると40打席ほど打席数に差があり、私は無安打で終わると率の落ち幅が大きく、一方で打席数の多いライバルは少ない。一気に差を詰められるのである。

そしてプレイボール、1打席目四球。2打席目センター前ヒット。ここまではなんとか自分の仕事はできた。しかし、3打席目はレフトに良いあたりがいくもグラブに触れエラーの判定。出塁はできたものの、これでは差をつけることができない。「どうしてももう一本」気負ったまま挑んだ4打席目5打席目は三塁ゴロで万事休す。ライバルはしっかり2安打2死四球を選び見事に逆転されてしまった。.413 vs .403 1分差で勝負がついた。

私たちの野球は朝7:00-9:00に行われるが、ライバルは夏場だと2時間前にはグランドに入り一生懸命練習をしている姿を見ていると当然の結果であり、賞賛以外の言葉が見つからない。しかしそれと同時に、悔しさが込み上げてきた。「もっとできたのではないのか・・・」と。

今回最後までタイトルを争った経験は【負け嫌い】に繋がるキッカケになった。

2016年のル・マン24時間レース、TOYOTA GAZOO Racingは残り3分でスローダウン。優勝を逃した。しかしこの負けを味わったことで「何をすべきか」「どう闘いに挑んで行くべきか」を徹底的に突き詰め、翌年から3連覇を成し遂げたのである。

2025年シーズンは、まさに徹底的に見つめ直すことに注力しなければならない。投手では防御率を1点下げるためにどうするか、打撃では.500に近づけるにはどうするか。しっかり問題解決をしていかなければならない。今までの自分は個人タイトル争いは無縁だと考えていたが、改めてまだ戦えるという事もわかった。個人の結果を引き上げる事でチーム内の競争も活発化し、勝利に貢献できるだろうと考える。(しかしながら、来シーズン以降は再び土日出勤が多くなり、規定数には乗らないのである)

試合後には嬉しいことが。首位打者争いには敗れたものの、シーズンMVPに選んでいただくことができた。これは何よりチームメンバーに恵まれた賜物であると強く思う。特に私が加入した時より、横のつながりは格段に上がって良いチームになったと実感している。

これからもこのチームが良い雰囲気で野球ができるよう、微力ながら頑張っていこうと思う。

と、綴った後に壮大なコラム感になってしまったと思ったが、あくまでこれは大阪のとある草野球チーム内で頑張るアラフォーリーマンの日常の一コマである。

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