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有名な絵を覚える意味って?英国テートブリテンで立ちすくんだ話。


てなわけで、kodomoe.webさんで連載中の「先生、あの日あの時」の10話が更新です。今回は美術館(特に常設展)の話です。皆さんは美術館や博物館に日常的に行きますか??


今回のお話は私の実体験がベースになっています。

イギリスに住み始めてまもない頃。
まだまだ生活に慣れず、夜に帰りたいと夫に泣きついたりしていた頃。
たまたま行ったテートモダンで、私はジョン・エバレット・ミレーの『オフィーリア』を見つけます。


有名な絵なのに、そのために大きなスペースが用意される…ということもなく、たくさんの絵に紛れて飾られていました。あまり大きな絵ではないのですよ(知ってました?私は知らなかった)

それを見た時、私「あ!」ってなって。
まだ1歳にもならない娘をバギーに入れたまま、そこに立ち尽くした。オフィーリアは有名な絵だけど、別にそこまで思い入れがあったわけでもない。だけど「何故か狂おしいほどの懐かしさに駆られて」、ちょっと泣きそうになったのです。

「ああ、ここにいたんだね」って。

知り合いも誰もいない。思うように毎日が運ばなくて、ここにいることが四六時中場違いに思える。だけど、その絵を見た時に、この絵を見に来たというだけで、この国に来た意味があったんじゃないかなって思えた。

それから私は、イギリスで出来るだけ美術館やミュージカルやオペラを見に行った。その度に素晴らしいものに出会い直して、「ああここに来て良かったんだ」「私がここにいるのは間違いなんかじゃなかったんだ」って。

アートや芸術になんの意味があるのか?
私にはこれが答えでした。


そしてこうやって私が色々と感銘を受けることができるのも、学生時代にたくさん学べたおかげだと思う。授業に飽きて、パラパラとめくった美術の副教本。便覧。大学時代に単位取得のためになんとなくで受けた「一般教養」枠のオペラの授業。全部無駄じゃなかった。そういったことを全部全部、支えている先生方、学校という場所。

そこへの感謝を込めて。
そしてどんどん実利主義になり効率を求める教育現場になりつつあることに、お金を「教育」に回さない政治に、歯痒さと怒りを持ちながら。

ぜひ読んでみてね。
そしてあなたに取っての芸術の意味も教えてください。



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