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奈良まち散歩と旧奈良監獄見学          【エッセイ】おでかけ倶楽部 #1


2022年11月活動開始
おでかけ倶楽部#1

初回のおでかけは
「奈良まち散歩と旧奈良監獄見学」です

おでかけ倶楽部の活動開始予定は11月でしたが
旧奈良監獄の見学が10月いっぱいで終わってしまうと知り
初回活動日を10月27日に繰り上げてのスタートとなりました



大仏造立の立役者である行基菩薩像のある近鉄奈良駅から
大通りの喧騒を抜け細い路地に入っていくと
そこには『古都奈良』にお似合いな静謐な時間が流れていました

古い町並みの中に
時が止まったかのような場所が残っています

幕末の剣客が 菅笠を目深にかぶり通り過ぎていきそう♪


晩秋の乾いた風がカサカサと落ち葉を運んでいきます

程なくすると 家々の間から 赤レンガの塀が見えてきました
明治の名レンガ建築である旧奈良監獄です

表門
表門を入った一枚です 

ツアーに参加して実際の旧奈良監獄を目にするまでは
旧奈良監獄が二年後にホテルに生まれ変わると聞いて
きっとハラハラドキドキの脱獄映画好きな人が
全国から集まる一風変わったホテルになるのかなぁ
と思っていましたが

とんでもない
表門を入って広がる景色は
『監獄』という響きからは想像もできないものでした

ロマネスクを基調とした煉瓦造りの建物と前庭には
中世ヨーロッパの城郭を思わせる風格がありました



上空から見た旧奈良監獄(ポストカード)
1件当たりの建築面積では我が国最大の煉瓦造による文化財建造物


明治41年に完成したこの旧奈良監獄は
明治政府が領事裁判権を撤廃するために
監獄の国際標準化を目指して造った
五大監獄(千葉・長崎・金沢・鹿児島・奈良)の一つです

領事裁判権とは・・・・外国人が罪を犯しても
日本の法ではなく本国領事により本国の法に
よる裁判を受ける権利(不平等条約の一つ)


パンフレットより


明治41年に完成してから監獄として利用され
戦後になってからは少年刑務所として利用されました

ひとしきり美しい煉瓦造りの外観を眺めた後
中に入っていくと

そこには私が想像していた『監獄』がありました


むき出しの構造物
硬くて冷たい壁
無機質の鉄柵
石造りの階段
規則正しく並んだドア

奥に進むに従って
音も色もない世界に入り込んだような感覚になり
じわじわと体の中に広がる冷たい空気が
かつてここは監獄だったことを改めて教えてくれるようでした


むき出しの構造物
硬くて冷たい壁と石の階段
共同室(雑居房)
診察室


規則正しく並んだドア

二階建ての舎房には何人の少年たちが収容されていたのだろうとか

ここに来る少年たちはどんな人生を歩んできたのだろうとか

他人との関わりを避けてきた少年は
共同室でどうかかわりを持って行ったのかなぁとか

診察室や共同室を覗いては当時の少年たちの生活に
思いを巡らせていました


実習所


講堂


時々行われる慰問コンサートや季節の行事は受刑者たちにとっても
楽しみの一つだったそうです


重くて厚いドア

重くて厚いドアには小窓がついています

看守が受刑者と笑って話しているシーンを
何かの映画で見たことを思い出しました
実際にもそんなことはあったのかなぁ

冷たい壁と床ばかりの建物に
規則正しく並ぶ木製のドアが
温かい気持ちにさせてくれたのでしょうか
やっぱり木製のものってぬくもりがあります

勝手に映画のワンシーンを思い出し
少しほっこりとした気持ちで進んでいくと
放射線状に配置された舎房のすべてが見渡せる中央看守所に来ました

2⃣が中央看守所
中央看守所


この広い空間に来た時
思わず「うわ 凄い」と声が出てしまうほど圧倒されました

ここから眺める景色には
『規律』だけが存在し『規律』に従った時間が流れる
『監獄』そのもので
中央看守所にはそれを感じさせる威圧的な何かがありました

建物中に響き渡る看守の号令と
それに合わせて一斉に動き出す少年たちが感じられるようでした


隔離病舎:精神疾患者が暴れた時隔離するのに使用した



旧奈良監獄見学を終えて
再び奈良まちの散歩です

北山十八間戸
・・・日本最古の救らい (ハンセン病) 施設である
聖武天皇陵
多門城跡
転害門(国宝)
・・・幾多の戦乱を逃れ生き残った数少ない奈良時代の遺構
東大寺南大門(大華厳寺)
・・・天井を張らずに垂木など屋根裏が見える
   貫(ぬき)と言われる大仏様建築様式
   (日本人にはあまり好まれずすぐ廃れた建築様式)

下から2段目にとまっている鳥が綺麗な声で鳴いていました
大仏様建築様式のおかげなのか小鳥の鳴き声が綺麗にこだまして
いつまでも聞いていたいと思える幸せな時間でした
なんの鳥なのかなぁ

構造材の見える内部の様子です


興福寺の五重塔

全国2位の高さ

苦難の歴史を歩んできた興福寺
「廃仏毀釈」のうねりの中で
五重塔を25円(現在の20万円ほど)で
売りに出した歴史があると聞いてびっくりしました

購入した人は塔の上にある金属製の飾りが欲しかったために
五重塔を購入しその飾りを手にするために五重塔を燃やし
崩そうとしていたそうです

周りの人たちの反対でからくも文化財として残ったそうです
あまりの理由に驚きました

現地ガイドさんに案内してもらいながらの
奈良まち散歩と旧奈良監獄見学は
知らなかった話も聞けて
楽しかったです

奈良に都があった遥か昔の暮らしに思いを馳せ
監獄というなかなか触れることのできない世界を
感じられた素敵なプチ旅行でした


街のあちこちにいる鹿はとても穏やか♪
「鹿煎餅持ってないのよー ごめんねぇー」

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