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【超短編小説】投稿炎上

 ――ここ数日、我が家の庭にやってくる野良のネコちゃん。我が家の子が食べているキャットフードを与えると勢いよく完食! うちにはもう既に四匹の家族がいるので、外に簡単な寝床を作ってあげました。大きな病気はしていないように見えますが、少し様子を見ていこうと思います。

 このfacebookの投稿が炎上しているのを見て、タナカは苦言を呈した。
「ダメじゃないか!」
 画面をタップすると、寄せられたコメントが十数件。添付されているネコの画像に対して「可愛らしい野良ちゃんですね」と顔文字をつけて感想を述べている者も居たが、大半は「ネコちゃんは寒さが苦手です。早めに保護をして暖かい部屋で過ごせる環境を……」というようなお説教。
 タナカに怒られて、シュンとする彼は俯いたままだ。タナカは画面を指し示しながら、更に続ける。
「こうして保護ができないとか、正しい行動を取れないとかで説教されて傷ついて、そこにいいことなんて何もないだろう! お前の軽率な行動で色々な人に迷惑がかかっているんだぞ、分かるか?」
 怒られた彼は俯いて、耳をぺしゃんと寝かせて、尻尾をふらふら揺らしている。
「ニンゲンにキチンと保護をしてもらうために、相応しい行動というものをイチから教えてやろう」
 タナカはそう言って、ヒゲをぴくぴく動かした。
「幸いまだ本格的な冬になるまで時間がある。お前には愛されニャンコの素質もあるし、問題ないはずだ……」
 名も無き野良ネコは、飼いネコのタナカに「にゃあ」と鳴いた。

 しばらくして、facebookに一件の投稿がされた。

 ――以前野良ネコの投稿をした者です。人なつっこい野良ちゃん、うちの先住ネコのコノハと仲良しになってしまい、結局五匹目を迎え入れることになりました。名前は家族で話し合った結果、「ハル」になりました。これからよろしくね、ハルちゃん。


気の利いたことを書けるとよいのですが何も思いつきません!(頂いたサポートは創作関係のものに活用したいなと思っています)